CMAとは、Certified Member Analyst of the Securities Analysts Association of Japanの略称で、「日本証券アナリスト協会認定アナリスト」を意味する。
協会の定める所定の教育講座を受講した上で、それに基づく試験に合格し、一定の要件を満たすことで認定される資格であり、⾦融・投資のプロフェッショナルの証として認知されている。
今回は資格の概要と一次試験にオススメの本を紹介する。
証券アナリスト資格の取得の流れ
CMA資格の取得にはまず、第1次レベル講座(6つの学習分野)を一括受講する必要がある。
CMAの講座では、⾦融・投資のプロフェッショナルに必要な投資価値の分析・評価を⾏うためのスキルが学べるだけでなく、企業財務の知識はもとより、経済、資本市場や⾦融商品の仕組み、ファイナンス理論に⾄るまで、専門的な知識や分析技術を体系的に幅広く学ぶことができる。
受講終了後、第1次試験を3科目受験して全科目に合格すれば、第2次レベル講座を受講できる。
第2次レベル講座の受講後は、全学習分野の総合試験である第2次試験を受験して合格する必要がある。
第2次試験合格後、実務経験が3年以上と認定された方は、当協会に検定会員として入会すれば、資格称号として『日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)』を晴れて使用することができるようになる。
本記事ではCMA取得にあたってまず最初の関門となる第一次試験の概要を説明した後、試験合格にあたって推薦する参考書を3つの出版社に絞って紹介する。
以下がCMA第一次試験の内容である。
科目 | 出題分野 | 配点 |
---|---|---|
Ⅰ | ①証券分析とポートフォリオ・マネジメント | 170 |
Ⅱ | ②財務分析、③コーポレート・ファイナンス | 100 |
Ⅲ | ④市場と経済の分析、⑤数量分析と確率・統計、⑥職業倫理・行為基準 | 90 |
第一次試験の合格には、総配点のうち6割ほどの点数取得が目安となっていると言われている。
まず科目Ⅰの「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」は総配点の約50%ほどの比重を占めている科目であるため、まずはこの分野からしっかりと学習を進めていくことが肝要である。
続いて、科目Ⅱにおける②財務分析と③コーポレート・ファイナンスは総配点の約27%を占める科目であるが、本科目の配点割合の目安として、財務分析:コーポレート・ファイナンス=3:1と定められているため、100点中75点分を占める財務分析の内容に関しては重点的に学習を進める必要がある。
最後に、科目Ⅲにおける④市場と経済の分析、⑤数量分析と確率・統計、⑥職業倫理・行為基準の配点割合の目安は、概ね6:2:1である。そのため、90点中約54点ほどを占める「市場と経済の分析」も合格のために得意な分野に仕上げておくことが望ましい。
前述の通り、CMA資格の取得に際してはCMA講座の受講が必須であり、講座を受講せずに試験を受けることはできない。
講座を受講すれば日本証券アナリスト協会から公式テキストがもらえる(テキスト代は講座受講代に含まれる)が、本テキストの内容は全ての分野をカバーした網羅的なものであるため、効率よく試験対策を進めるにはあまり適していない。
試験合格の近道には、複数社が出版している参考書を使用するのがおすすめである。
以下では証券アナリスト1次試験を対象とした参考書の紹介を出版社別に行う。
証券アナリスト第一次試験のおすすめ参考書紹介(TAC証券アナリスト講座)
まずはじめに、TAC証券アナリスト講座の出版する参考書シリーズを紹介する。
本テキストには過去問分析に基づいた出題可能性の高い論点が多数収録されている。
各章の構成は、「Point」「例題」「解答および解説」となっており、出題傾向と対策に従いながら本試験の要となる計算問題に重点をおいた演習を通し、各論点の核心部分を理解するという方針でまとめられている。
「Point」で学習した内容を、「例題」と「解答および解説」で再確認することで、着々と力をつけていくことが可能である。
また、過去の出題一覧と重要論点のチェックリストもついているため、一通り学習が終わった後、分野ごとの振り返りを簡易に行える。
3冊を全て購入すると10000円ほどと費用が嵩んでしまうが、例えば最も配点の高い科目Ⅰに関しては総まとめテキストを購入して勉強し、科目ⅡとⅢに関しては別の参考書を使用して学んでいく方法も考えられる。
証券アナリスト第一次試験のおすすめ参考書紹介(証アナ試験研究所)
次に、証アナ試験研究所の出版する参考書を紹介する。
本書の良い点としてまず挙げられるのは、1冊あたり450円と他の参考書と比べて相対的に安価に購入できる点である。仮に全冊購入しても9冊×450円=4050円であることに加え、Kindle Unlimitedに会員登録(30日間無料、その後月額990円)すれば一定期間は無料で読むこともできる。
また、本書の内容は電子書籍のフォーマットに整理されているため、スマホやタブレットでもストレスなく読み進めることが可能であり、通勤時間や通学時間のスキマ時間を利用して無理なく勉強をすすめることが可能である。
証券アナリスト試験には確立統計や微分など、高度な数学の知識が必要な分野が多くあるが、本書は数式を使った説明を最小限に抑え、直感的にわかりやすい解説を行っている点も特徴であり、これまで数学にあまり触れてこなかった受験者にもおすすめの内容となっている。
証券アナリスト第一次試験のおすすめ参考書紹介(ビジネス教育出版社)
本書の著者である佐野三郎氏はCMAを実施する日本証券アナリスト協会の元教育第三企画部長であり、同協会で10年間証券アナリスト試験・通信教育講座を担当していた。そのため、本書は受験者が学習で躓きやすいポイントを丁寧にフォローアップした解説がなされている。
本テキストは1冊で第一次試験に必要な全ての分野を網羅しているため、複数の本を所有したくない人におすすめである。
また、価格も5000円ほどのためTACの参考書を揃えるよりもリーズナブルな価格で購入可能である。
一冊で完結している分、総ページ数は700ページに及ぶが、Kindleで電子書籍版を購入すれば持ち運びに苦労せず学習を進められる。
本書の発行は2022年4月1日と新試験に対応済みのため内容の正当性が高く、今後数年間の試験においても問題なく使用可能である点も魅力的である。
追記内容として、証券アナリスト試験の過去問題集及びその解答・解説は、日本証券アナリスト協会のマイページから5年分遡ってダウンロードすることができる。
証券アナリスト第一次試験を効率的に突破するために
これから証券アナリスト試験の学習を始めようとする場合は、まず先に過去問を見ておいて大まかな全体像を把握した後、自身の適正に照らし合わせながら参考書を選んで試験を意識した学習を進めることが肝要である。
また、上記に紹介した参考書で試験範囲への理解を深めた後、過去問題集を実際に解気進めて出題傾向や自身の苦手分野を把握すれば、効率よく合格に向かって歩みを進めることができる。