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銀行業界の近年の動向とは

本記事では、現状の銀行業界を取り巻く現状をメガバンクと地方銀行を対象にして説明を行いながら、銀行業界が抱える課題に対する解決策、これからの銀行業界の展望についての解説する。

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目次

銀行業界の現状

現在、銀行はこれまでの主な業務であった預金業務・融資業務・為替業務に加えて金融商品の販売、国債や株式などの運用業務、顧客への資産運用コンサルティング、M&Aのアドバイスなど手広い業務に参画している。

そうした銀行業界において、現状圧倒的なシェアを担っているのがメガバンクと呼ばれる莫大な預金残高等巨大な資産や収益規模を持つ銀行グループである。

日本におけるメガバンクは、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループの3つである。

2021年度の三井住友フィナンシャルグループの経常収益は約4兆1000億円、三菱UFJフィナンシャルグループの経常収益は約6兆700億円、みずほフィナンシャルグループの経常収益は約3兆2100億円である。

これは地方銀行においてトップの経常収益を誇るコンコルディア・フィナンシャルグループ(横浜銀行・東日本銀行の持株会社)の2021年度経常収益が約3060億円、同じく千葉銀行の経常収益が約2420億円であることを考えると、業界内において圧倒的な規模を誇っていることは一目瞭然である。

また、メガバンクの経常利益が全銀行内で占める割合は50%ほどであることからも、我が国の銀行業界はメガバンクがその中枢を担っているといえる。

こうしたメガバンクグループの成立は、バブル崩壊後の大手銀行の破綻や合併が徐々に進展したことに端を発する。

バブル崩壊後の不良債権処理のため銀行の再編が進み、その後金融持株会社の設立解禁を受けて、2000年に日本初のメガバンクであるみずほフィナンシャルグループ(第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が経営統合)が誕生。以降も相次いで三井住友フィナンシャルグループ(三井、太陽神戸、住友が経営統合)、三菱UFJフィナンシャルグループ(三菱、三菱信託、東京、三和、東海、東洋信託が経営統合)が誕生した。現在メガバンクは中小企業から大企業まで、全国及び世界各国で事業展開をしており日本の銀行業界において絶対的な存在感を保持しながら、国内外にお金を循環させる役割を果たしている。

しかし、現状メガバンクは経常利益において銀行業界全体の50%ほどを占めているものの、メインバンク社数においては全体の15%ほどしか占有していない。これは、地方銀行が地元の中小企業と密接に結びつきながら貸し出し・融資の役割を担い続けていることがその理由である。

地方銀行はその地域性ゆえに自分の属す地域経済からのニーズに対してメガバンクよりも細かな対応を行えることから、全体の収益は減少傾向にあるものの、依然として地域社会の維持と発展に欠かせない役割を担っているといえる。

銀行業界の抱える課題3つ

銀行業界の近年の動向とは IFA転職コラム

次に、銀行業界が現在抱えている課題について述べる。

銀行業界の抱えている課題は大きく3つある。

まず初めに、システム障害は銀行業界の抱える大きな課題の一つである。銀行は人々の生活に欠かせない金融システムである以上、システムの安定性は他のサービスよりも強く求められる。しかし、みずほは2021年の2月から9月の間に8度のシステム障害を起こしたり、三菱UFJでも2021年6月、三井住友でも2021年10月にシステム障害が起こりATMの利用不可や外国送金に遅れが生じた。
金融庁が報告を受けた障害は2020年度で約1500件に上っているため、システム障害は銀行業界全体の課題と言える。

2つ目の課題として、マイナス金利化において如何に収益を上げるかという問題が挙げられる。貸出金利の低下において、銀行の三大業務の一つである預金業務の収益性はますます低下してしまっている。こうした状況を受けて、ゆうちょ銀行は硬貨を預かる際に手数料をとり始めたり、三菱UFJ銀行は新たに口座開設を行い通帳を紙で作る場合は手数料をいただくなど、元来は無料であったものを有料化することで収益を維持しようとする動きが見られる。
しかし、こうした対応は顧客の利便性を損なうものでもあるため、個人向けを対象にした投資信託や年金保険の販売、住宅ローンの提供、カードビジネスの積極化など、様々な金融商品を個人に販売することで、安定的に収益を確保すること、銀行法改正をうけて本業以外にも手広く様々な業務に参画することで、新たに収益性を見込める分野を開拓していく必要があるだろう。

最後に、デジタル化を如何に行うかという点も議論される必要がある。銀行のデジタル化は窓口業務の負担を減らし生産性を向上させること、手続きをスムーズに行えるようになること、膨大な顧客情報の管理・共有が簡潔に行えるようになるという点で必要性の高い取り組みであるといえる。しかし、現在の銀行業界においては依然として自社開発のレガシーシステムへの依存が強い銀行が多く、IT化の進展に伴い多様する顧客ニーズに対して対応しきれていない。2021年の法改正による規制緩和によってFinTech分野に銀行が参入できるようになったことを皮切りにして、デジタル化を推し進めていくことが急務であるといえる。

銀行法改正によるこれからの銀行業界の展望

銀行業界の近年の動向とは IFA転職コラム

現在、銀行業界は日本銀行による金融緩和・マイナス金利政策の導入の影響を受けて預金金利を引き下げることができず、貸出金利の低下から収益性の悪化が続いている。

とりわけ、地方銀行はメガバンクよりも預金業務にその収益を頼る割合が高いため、生き残るために地銀同士の再編や統合を模索する状況にある。

2021年に施行された銀行法改正は、こうした現状の改善に向けた一つの大きな施策として注目される。

まず、本改正によって、金融機関は大規模な規制緩和に伴った業務領域の拡大が可能となった。また、経営統合、再編を目指す地域金融機関は、新たに設けられた資金交付制度によって交付金を受け取ることができるようになった。 

また、金融機関は銀行業高度化等会社を設立してその傘下に置くことで、広告やコンサルティング業務などといったこれまでは取組むことのできなかった領域に参画することができるようになった。

なかでも地方銀行は、農業、観光業に関する会社や、地域商社など、地域の維持発展に必要でありながらもこれまでは法規制によって関わることのできなかった業務に携わる会社を子会社化、もしくは銀行業高度化等会社として設立できるという点で恩恵が大きい。

これからは交付金を得られることで再編や統合に踏み切る地域金融機関が増え、業務範囲の拡張を受けて地域のニーズに対してより幅広く柔軟に答えながら、従来の基盤であった預金業務をサポートまたは代替するような新たな業務への注力を目指す流れが加速していくと思われる。

また、デジタル化が求められる中で行員に問われる資質も変容していく。

FinTech等の技術拡充によりデジタル化が進み、窓口業務やデータ管理といった業務がデジタルに代替されれば、金融システムを維持するために必要な行員数が減るため、採用数も同時に減らさざるを得ない。

事実、近年のメガバンクは一時のような大量採用を行っていない。

今後は事業領域が拡大するにつれ、また、ユーザーがオンライン上で即座に金融に関する情報を得られるようになるにつれて、以前にも増して、行員には幅広い業務に対応するための豊富な知識や金融に関する専門性が求められるようになる。

こうした状況下において、みずほフィナンシャルグループは、2019年10月に社外兼業・副業を認める新人事制度を導入した。この背景には、社外でさまざまな経験を積むことで、社員の成長をサポートすることに加えて、金融界を取り巻く変化の流れを受けて、これまでとは異なる人材像を育成することが急務になっているという事情がある。兼業で減少するマンパワーをデジタル化による効率性によって補うことで、行員に様々な業務を経験させながら、専門性と同時に広い視野を養わせる動きは他のメガバンクでも同様に起こっていくものと思われる。

これからの銀行業界は、既存の業務をデジタル化によって置き換えることで顧客の求めるニーズに対して迅速かつミスなく対応する一方で、従来の銀行業務から離れたコンサルティングや広告といった分野にも取り組むことで、新たなビジネスモデルを構築し、より収益性を高めていくことが必要になる。

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参考文献

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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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