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退職金の制度と仕組みについてメリットとデメリットを併せて解説

就職や転職では、企業に退職金制度があるか事前に確認する人が多い。退職金は従業員が退職する際に支払う制度だが、企業側は退職金をどのように運用しているのだろうか。

退職金の制度や運用に用いられる仕組みについて、今回は解説していこう。退職金を運用する制度のメリットやデメリットを理解して、退職金の運用相談や対策に活かしてほしい。

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目次

退職金の制度について

退職金は一括で支払われる制度や、分割で数年間受け取る制度がある。退職金制度は大きく分けると、以下の4種類に分かれる。

  • 退職一時金制度
  • 退職金共済制度
  • 確定給付企業年金制度
  • 企業型確定拠出年金制度

退職金の制度について、それぞれ概要とメリット・デメリットを確認しておこう。

退職一時金

退職一時金制度は、従業員が退職した際に一括して退職金を支給する制度である。自社で制度を自由に設計できる点がメリットとして挙げられる。従業員が退職金をどれくらい受け取れるか、計算しやすい点も特徴である。

一方で、退職金は常に現金で積み立てておかないといけないため、法人税の課税対象になる点には注意しないといけない。退職一時金を制度として用いる場合に、評価方法は以下の4つのパターンがある。

図1

パターン制度の概要
最終給与連動型退職するタイミングの給与から、勤続年数や退職理由によって個別で定めている支給率をかけ合わせる方法。
退職金テーブル型基本給や固定給とは別のテーブルを用意している方法。テーブルに支給率をかけ合わせた金額が退職金となる。年功序列の給与体系を採用している場合、退職金を一定額に抑えられる。
ポイント累積型スキルや人事面の評価といった基準をもとに、ポイントの総数で退職金の支給額を決定する方法。従業員ごとのポイント管理が求められるが、多様な観点で1人ひとりの退職金額を決定できる。
勤続年数定額型勤続年数に応じた退職金を支給する仕組み。企業と労働者にとって、退職金の額が予想しやすい点がメリットとなる。

厚生労働省が行った調査によると、退職一時金制度を採用している企業の割合は全体の89.8%となっている。企業で導入している評価方法で、割合が最も高かったのが「ポイント累積型」である。厚生労働省の調査では、79.7%の企業がポイント制を導入していた。

退職金共済

退職金共済とは、企業が加入している共済から退職金を受け取る方法である。退職金制度を自社で設計していない中小企業で導入しているケースが多い。退職金共済に加入していれば、退職金を受け取れる。

独立行政法人の勤労者退職金共済機構が運営している「中小企業退職金共済(中退共)」や「特定退職金共済制度(特退共」「特定業種退職金共済制度」と、退職金共済にもさまざまな種類がある。

特退共とは、市町村や商工会議所が保険会社などに運営を委託している退職金制度を意味する。特定業種退職金共済制度は建設、酒造、林業で働く従業員の退職金制度である。

図2

メリットデメリット
中退共約37万社が加入している共済制度。掛金は全額企業負担。企業側は損金として全額非課税。掛金の変更は従業員の同意がないと難しい。途中の解約も難しい。
特退共加入期間が12ヶ月未満でも支給対象。中退共との併用可能。支給額が納付額を上回るまでに時間をかけないといけない。
特定業種退職金共済制度働いた日数に応じて掛け金を納付するシステム。中退共とは併用できない

退職金は一括受け取りが原則だが、分割して年金での受け取りも可能である。共済制度を活用すれば、自社で退職金制度を設定していなくても退職金を支払える。

確定給付企業年金

確定給付企業年金とは、企業が外部機関に積み立てた掛け金で運用した資産を退職金として支払う制度である。退職金については年金で受け取る形が一般的だが、一時金としても受け取りもできる。

企業側にとっては掛け金を損金扱いにできるので税制面で有利になりやすい。一方で、積み立てた資金が不足していると、企業が穴埋めをしないといけない点がデメリットである。

企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金制度は、企業から支払われた一定の金額を、従業員が自ら運用先を選ぶ退職金制度である。企業は掛け金を負担するが、従業員の損失や資産の目減りに対する責任は負わない。

一方で、企業側が退職金を決まった分支払う必要がなくなったことで、従業員側から反発が出る可能性もある。

退職金制度を設けている企業は80.5%と、制度を導入している企業が圧倒的に多い。導入している退職金の制度が、企業の財務状況や目的に沿っているか確認しておく必要がある。

退職金の相場(定年と自己都合による金額の比較)

退職金の相場は定年退職と自己都合による退職で金額が異なる。定年退職の場合、退職金は1872.9万円となるが、自己都合による退職金は447.3万円と金額差は大きく広がっている。自己都合の退職金について、学歴や勤続年数によって相場も大きく変わる。

退職金の確認方法と制度の変更について

退職金は各企業が就業規則で定めている。支給条件や支給方法は、就業規則を確認する必要がある。また、退職金の制度を変更する場合には制約が生じる。新しく退職金制度を導入する場合は自由度が高い。

ただし現在の退職金制度を変更するには労働者代表の合意が必要なので、ハードルが高い。現在の退職金制度よりも内容が悪くならないように慎重に進めないといけない。退職金の確認方法と制度変更については、事前に確認したうえで慎重に対応する必要がある。

退職金の制度と仕組みを把握して資産形成や退職金の活用で適切なアドバイスを

退職金の制度と仕組みについて解説した。民間企業において、各企業で採用している方法は異なる。退職金は4種類の制度があり、中でも退職一時金制度を採用する企業は全体の89.8%と、多くの企業が採用している。

退職一時金以外にも、共済や確定給付企業年金、企業型確定拠出年金も利用されている。各企業の財務状況を見ながら、どういった方法で退職金制度を設計するべきか慎重に検討する必要がある。

退職金の制度を変更するには、労働者と合意形成のうえで変更しなければならない。退職金の運用相談や対策に活かすためにも、退職金制度と仕組みを把握しておくことは重要である。

参考文献

厚生労働省 令和3年賃金事情等総合調査

厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 「退職給付(一時金・年金)の支給実態」

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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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