アイ・パートナーズフィナンシャルは、東証グロースに上場している金融商品仲介業者だ。
IFAへの転職を検討する際、所属先候補として名前を目にする人も多いだろう。
ただし、IFA法人を選ぶときは、知名度や規模だけで判断しない方がよい。報酬体系、システム使用料、サポート体制、コンプライアンス管理、提携証券会社などを比較し、自分の顧客基盤や働き方に合うかを確認する必要がある。
本記事では、アイ・パートナーズフィナンシャルの概要、収益モデル、AUM、サポート体制、報酬体系を最新の公開情報に基づいて整理する。
アイ・パートナーズフィナンシャルの概要
アイ・パートナーズフィナンシャルは、2006年2月に設立された金融商品仲介業者である。2009年2月に現在の「株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル」へ商号変更している。
本店は横浜市西区にあり、2026年3月末時点の所属IFA数は214名だ。2026年4月末予定では216名と公表されている。
会社概要を整理すると、以下の通りである。
| 商号 | 株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル |
|---|---|
| 登録番号 | 金融商品仲介業 関東財務局長(金仲)第314号 |
| 設立 | 2006年2月8日 |
| 本店所在地 | 横浜市西区南幸2-20-5 KDX横浜リバーサイド3階 |
| 資本金 | 342,145,050円 |
| 所属IFA数 | 214名(2026年3月末現在) |
| 所属金融商品取引業者等 | 楽天証券 SBI証券 あかつき証券 東海東京証券 |
同社は、所属IFAに対して金融商品仲介業のプラットフォームを提供する企業である。IFAの業務管理、業務支援、成功支援を行い、所属IFAが顧客へのアドバイスに集中しやすい環境を整えることを事業の中心に置いている。
なお、子会社のAIPコンサルタンツは保険代理店事業を展開していたが、2026年3月31日をもって新規の保険募集を終了している。今後は金融商品仲介業を中心に経営資源を集中する方針だ。

アイ・パートナーズフィナンシャルの収益モデル
アイ・パートナーズフィナンシャルの主な収益は、金融商品仲介業による売上、システム使用料、保険代理店その他の売上で構成されている。
2026年3月期の連結決算概要は以下の通りだ。
| 項目 | 2026年3月期 | 売上比 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,584百万円 | 100.0% | 20.7%増 |
| 金融商品仲介業 | 4,071百万円 | 88.8% | 20.6%増 |
| システム使用料 | 235百万円 | 5.1% | 2.5%増 |
| 保険代理店その他 | 278百万円 | 6.1% | 45.7%増 |
| 売上原価 | 3,701百万円 | 80.7% | 21.6%増 |
| 営業利益 | 110百万円 | 2.4% | 前期は営業損失1百万円 |
売上の中心は金融商品仲介業であり、2026年3月期は売上高全体の88.8%を占めている。
金融商品仲介業の売上は、IFAが媒介した取引等に応じて、証券会社から同社へ支払われる業務委託報酬が中心である。一方で、所属IFAに対しては契約で定めた料率に基づき、委任報酬として支払われる。
また、所属IFAは同社のビジネスプラットフォームの基本利用料としてシステム使用料を支払う。システム使用料は、オフィス環境や各種サポートサービスへの対価として位置づけられている。
2026年3月期の売上原価は3,701百万円で、同社は売上原価の大半を所属IFAに対する報酬と説明している。IFAへの還元が大きいビジネスモデルである一方、個別のバック率は契約内容によって異なるため、決算数値だけで自分の報酬率を判断することはできない。
アイ・パートナーズフィナンシャルのAUMとIFA数
アイ・パートナーズフィナンシャルが重視している経営指標は、媒介する資産残高、つまりAUMと所属IFA数である。
2026年3月末時点のAUMは4,297億円、所属IFA数は214名だった。AUMは2025年3月末の3,469億円から23.9%増加している。
| 時点 | AUM | 所属IFA数 |
|---|---|---|
| 2022年3月末 | 2,421億円 | 212名 |
| 2023年3月末 | 2,401億円 | 208名 |
| 2024年3月末 | 3,133億円 | 202名 |
| 2025年3月末 | 3,469億円 | 211名 |
| 2026年3月末 | 4,297億円 | 214名 |
AUMは市況や顧客の入出金、IFA数の増減に影響を受ける。2023年3月末のように一時的に減少する時期もあるが、中長期では拡大傾向にある。
ただし、AUMや売上が伸びているからといって、所属するすべてのIFAの収入が同じように伸びるわけではない。個人の顧客基盤、取扱商品、提案スタイル、契約条件によって報酬は大きく変わる。
アイ・パートナーズフィナンシャルのサポート体制
IFAとして独立すると、顧客対応、事務手続き、情報収集、コンプライアンス対応を自分で管理する必要がある。
アイ・パートナーズフィナンシャルでは、所属IFAが顧客対応に集中しやすいよう、以下のサポート体制を用意している。
- 電話サポート、代理発注
- Zoomテレビ会議システム
- 社内イントラによる情報提供
- コンプライアンス研修、営業支援
- インフラ設備、オフィス提供
- グループ会社や各士業との連携
電話サポートでは、IFAの外出中や電話中に本社が顧客からの電話対応を受ける。IFAが顧客から取り次いだ注文について、代理発注に対応している点も特徴だ。
また、全国のIFAに情報提供を行うため、Zoomを活用した研修や情報共有も行われている。公式サイトでは、委託会社を招き、月に1〜2回、商品情報や市場見通しに関する情報提供を行っていると説明されている。
社内イントラでは、市場情報、ファンド勉強会の資料、営業活動に必要な情報などを共有している。これまで証券会社や銀行で情報提供を受けていた人にとって、独立後の情報収集体制は重要な確認ポイントになる。
コンプライアンス面では、社内イントラを通じた注意喚起や、月2回のコンプライアンス研修を実施している。複数の証券会社と提携するIFA法人では、証券会社ごとのルールや事務手続きが異なるため、最新情報を確認できる体制は重要だ。
さらに、専用デスク、電話、通話録音装置、PC、ロッカー、複合機、シュレッダーなどのインフラ設備も提供している。通常契約とリモート契約があり、2026年3月末時点ではリモート契約の割合が40%とされている。
同社は2025年8月に所属IFA向けアンケートを実施しており、サービス全体への満足度について「大変満足」が29%、「おおむね満足」が51%だったと公表している。自社アンケートではあるが、サポート体制を重視するIFAにとって参考になる情報だ。

アイ・パートナーズフィナンシャルの報酬体系
IFAの報酬体系は、所属するIFA法人によって大きく異なる。特に確認すべきなのは、契約形態、バック率、システム使用料、固定費、経費負担、報酬の支払時期である。
アイ・パートナーズフィナンシャルの公式サイトでは、同社との契約は雇用契約ではなく委任契約とされている。つまり、会社員として給与を受け取る働き方ではなく、独立したIFAとして活動する形に近い。
報酬については、「高いバック率で還元」と案内されているものの、具体的なバック率は公開されていない。そのため、所属を検討する場合は、面談や資料請求の段階で個別条件を確認する必要がある。
バック率は非公開|決算数値だけで個人の報酬率は判断できない
決算説明資料では、2026年3月期の金融商品仲介業売上が4,071百万円、売上原価が3,701百万円と公表されている。
また、同社は売上原価の大半を「所属IFAに対する報酬」と説明している。業務委託契約、フルコミッション制であることから、売上に対して一定割合をIFAへ還元する仕組みと考えられる。
ただし、この売上原価を金融商品仲介業売上で割っても、個別IFAのバック率そのものにはならない。売上原価には複数の要素が含まれ、個別の契約条件や取扱商品によって報酬率も変わる可能性があるためだ。
そのため、バック率を確認する際は、単に「何%還元されるか」だけでなく、以下の点もあわせて確認したい。
- 商品ごとにバック率が変わるか
- 売買手数料、信託報酬、残高手数料の扱い
- 紹介案件や共同担当案件の報酬配分
- 報酬の支払時期
- 解約・退職時の顧客や残高手数料の扱い
システム使用料は公開資料上では平均月9万円台の計算になる
アイ・パートナーズフィナンシャルでは、所属IFAがビジネスプラットフォームを利用する対価として、システム使用料を支払う仕組みがある。
2026年3月期のシステム使用料売上は235百万円、2026年3月末の所属IFA数は214名である。期末の所属IFA数で単純平均すると、1人あたりのシステム使用料は年間約110万円、月額では約9.2万円となる。
単純平均の計算例
235百万円÷214名=約109.8万円/年
約109.8万円÷12ヶ月=約9.2万円/月
ただし、この金額は決算資料上の売上と期末IFA数から計算した平均値であり、実際の契約額とは限らない。
同社には通常契約とリモート契約があり、2026年3月末時点では通常契約が60%、リモート契約が40%とされている。契約形態によって利用できる設備や費用が異なる可能性があるため、所属前に必ず確認しておきたい。
報酬の目安は「売上」ではなく「手取り」で確認する
委任契約型のIFAは、会社員のように毎月一定の給与が保証される働き方ではない。成果に応じて報酬が増える可能性がある一方、収入が変動する点には注意が必要だ。
報酬を確認する際は、以下のように「売上」ではなく、実際に手元に残る金額で考える必要がある。
IFAの手取りを考える基本式
対象となる報酬 × 個別バック率 - システム使用料・固定費 - 営業経費 - 税金・社会保険料
公開資料から会社全体の規模感を確認することはできる。たとえば、2026年3月期の金融商品仲介業売上4,071百万円を、期末所属IFA数214名で単純平均すると、1人あたり年間約1,902万円、月間約159万円になる。
ただし、これは会社全体の金融商品仲介業売上を期末IFA数で割っただけの数値であり、個人の報酬を示すものではない。顧客基盤の大きいIFAと独立直後のIFAでは、売上も報酬も大きく異なる。
所属を検討する際は、以下のような質問をしておくと、入社後・契約後のギャップを減らしやすい。
- 自分の顧客基盤・想定売上だと、初年度の手取りはどの程度になりそうか
- システム使用料以外に固定費は発生するか
- 交通費、交際費、セミナー費、通信費などは自己負担か
- 残高手数料や信託報酬の還元ルールはどうなっているか
- コンプライアンス上、取り扱いが制限される商品や提案方法はあるか
- 契約終了時に顧客や報酬はどのように扱われるか

アイ・パートナーズフィナンシャルが向いている人
アイ・パートナーズフィナンシャルは、委任契約型のIFAとして独立性を持ちながら、事務・情報提供・コンプライアンス面のサポートを受けたい人に向いている。
特に、以下のような人は検討しやすいだろう。
- 証券リテール営業などの経験があり、独立型IFAとして働きたい人
- 楽天証券、SBI証券、あかつき証券、東海東京証券の商品・サービスを活用したい人
- 電話対応、代理発注、研修、コンプライアンス支援などの本部サポートを重視する人
- 固定給よりも成果報酬型の働き方を選びたい人
- オフィス利用とリモート契約の選択肢を比較したい人
一方で、毎月の固定給を重視する人、独立直後から安定収入を強く求める人、営業経費や社会保険料の自己負担に不安が大きい人は、正社員型IFA法人や固定報酬のあるIFA法人も比較した方がよい。
アイ・パートナーズフィナンシャルに限らず、IFA法人を選ぶ際は、表面的なバック率だけでなく、顧客本位の提案を続けられる環境か、コンプライアンス体制が十分か、長期的に顧客を支援できる仕組みがあるかを確認することが大切だ。
まとめ
アイ・パートナーズフィナンシャルは、2026年3月末時点で所属IFA数214名、AUM4,297億円の金融商品仲介業者である。
2026年3月期の売上高は4,584百万円で、そのうち金融商品仲介業が4,071百万円と大半を占めている。所属IFAへのサポートとして、電話対応、代理発注、Zoom研修、社内イントラ、コンプライアンス研修、オフィス提供なども用意されている。
一方で、個別のバック率や実際のシステム使用料は公開資料だけでは確定できない。決算資料から単純計算した平均値は参考にはなるが、実際の契約条件とは異なる可能性がある。
IFAへの転職を検討する際は、報酬率だけでなく、固定費、営業経費、提携証券会社、コンプライアンス体制、顧客承継のルールまで確認したうえで、複数のIFA法人を比較してほしい。

出典
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル「会社情報」
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル「IFAを目指す方へ」
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル「2026年3月期 決算説明資料」(公開日:2026年5月15日)
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(公開日:2026年5月15日)
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル「重要な経営指標の推移に関するお知らせ」(公開日:2026年4月15日)
株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル「連結子会社の事業一部廃止に関するお知らせ」(公開日:2026年2月13日)

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