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第2回 証券マン麻雀カップ(10月6日 19:15〜)

データで見る2022年のヘッジファンド業界(寄稿:さんまのIPO)

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日本株ロングショート戦略のヘッジファンドに転職し、アナリストとしてIPO銘柄や製造業全般の中小型株の調査を担当されているさんまのipo氏に寄稿いただきました。

今回のコラムではヘッジファンド業界に関する様々な事実をデータに基づいて紹介する。

業界全体の市場規模から、運用スタイル毎の過去のパフォーマンスやリスクリターン特性まで、論文や海外ウェブサイトのデータを基に解説していきたい。日本ではヘッジファンドの数もヘッジファンドに投資する投資家の数も少ないため、日本語のデータソースが限られているのが現状だ。最後に筆者も参考にしている海外のデータソースを掲載した。

目次

市場規模

HRM社のグローバル業界調査によれば、2022年初のヘッジファンド全体の運用資産は4.01兆ドル(約450兆円)に達したようだ。2021年初から1年で4000億ドル(約45兆円)の増加にあたる。2012年2兆ドルから10年でちょうど2倍、2002年5390億ドルから20年で約7倍に増加した。

HRMの作成した表を見ると、2008年と2018年以外は運用資産額が増加しているように見える。2008年は当然GFC(所謂リーマンショック)、2018年は利上げ局面で年末にかけて下落した年だった。

グラフ, 棒グラフ, ヒストグラム

自動的に生成された説明

HFR Youtubeチャンネルより

2021年に最も人気を集めたのはイベントドリブンファンドだった(戦略毎の詳しい説明は次回)。17兆円の資金導入があり、AUMは120兆円へ増加した。

中でもTOB銘柄や倒産懸念銘柄などを狙って事前に買いを入れる「スペシャルシチュエーション戦略」、一定の議決権を保有したうえで経営陣に敵対的または友好的に株主提案を行って企業価値を向上する「アクティビスト戦略」の人気が集まった。平均パフォーマンスも+14.5%と良好だった。

次に資金を増やしたのが株式ヘッジファンドだった。「マーケットニュートラル戦略」、「ファンダメンタルバリュー戦略」等のロングショートによる戦略のファンドが買われた一方で、一定の数理モデルに基づいて売買を行う「クオンツ戦略」は解約超過であった。平均パフォーマンスは+11.5%とこちらも好調。

債券レラティブバリューファンド、マクロファンドはいずれも1桁後半のパフォーマンスを残し資金導入を獲得した。

戦略22年初運用資産21年設定/解約
イベントドリブン1.11兆ドル(約120兆円)+1,550億ドル(約17兆円)
株式ヘッジ1.22兆ドル(約130兆円)+1,330億ドル(約14兆円)
債券レラティブバリュー1.02兆ドル(約110兆円)+860億ドル(約9兆円)
マクロ0.63兆ドル(約70兆円)+330億ドル(約4兆円)
仮想通貨
リスクパリティ

イベントドリブン:アクティビスト、スペシャルシチュエーション、MAアービトラージ

株式戦略:MM、ファンダメンタルバリュー、クオンツ

債券戦略:レラティブバリューアービトラージ

マクロ:CTA、テーマ、コモディティ

運用資産ランキング

次にグローバルにおける大きなヘッジファンドがどこなのかについて記したい。Pension&Investmentsによれば2021年6月末時点のAUMランキングは以下の通りだ。

1位のBridgewater Associates(ブリッジウォーター・アソシエイツ)は有名なレイダリオが作った運用会社で、旗艦ファンドはグローバルマクロの「Pure Alpha(ピュアアルファ)」。他にリスクパリティファンドの「All Weather」が有名。

2位のMan Group(マン・グループ)は英国で上場する歴史ある運用会社。先物のトレンドフォロー戦略で運用するCTAファンドの「AHL」の他、通常の株式ロングオンリー等もラインナップ。複数の日系運用会社がマンに外部委託する投資信託を扱っている。

3位のRenaissance Technologies(ルネッサンス・テクノロジーズ)はクオンツファンド。創業者のシモンズは数学者。クオンツの「Medallion(メダリオン) Fund」が有名だが、これは当社の役員の個人資産のみを運用するファンド。外部向けには「Renaissance Institutional Equities Fund」等があるが、パフォーマンスがメダリオンほど芳しくないという話もある。

4位のMillennium Management(ミレニアム・マネジメント)は複数の戦略を扱うファンドマネージャー達を有するマルチストラテジーの運用会社。日本にも運用拠点があり、六本木ミッドタウンのオフィスには、日本株の優秀なファンドマネージャーもたくさんいる。

15位のCapula(キャプラ) Investment Managementは今の三菱UFJ銀行のディーラー出身の日本人である浅井將雄が創業メンバーの1人になったファンド。債券レラティブバリュー戦略がメイン。時々日経等のメディアにも出られている。

RankManager Assets
1Bridgewater Associates1$105,700 
2Man Group$76,800 
3Renaissance Technologies$58,000 
4Millennium Mgmt.$52,314 
5TCI Fund Mgmt.$40,000 
6D.E. Shaw Group$39,738 
7Two Sigma Investments/Advisers$39,550 
8Farallon Capital Mgmt.$38,100 
9Citadel1$37,630 
10Davidson Kempner Capital Mgmt.$37,350 
11Marshall Wace$33,107 
12Anchorage Capital Group$31,080 
13Baupost Group$31,000 
14AQR Capital Mgmt.$26,100 
15Capula Investment Mgmt.$23,900 
16BlackRock$23,090 
17Wellington Management$22,600 
18D1 Capital Partners$22,000 
19Point72 Asset Mgmt.$21,800 
20GoldenTree Asset Mgmt.$19,734 

1次情報の集め方

ヘッジファンド業界の情報を継続的に得たい場合にどのようなソースをあたったらよいだろうか。日本語の文献であれば、日興リサーチセンターが継続的に概況レポートを発信している。海外文献に当たれる方は、以下に紹介するデータベースやニュースサイトは業界人にかなり見られているため参考にされたい。

個人的なおすすめは、データが欲しければHedge Fund Research、日本株ヘッジファンドの情報が欲しければAsiaHedge(HFM)だ。

1992年設立のデータプロバイダー。個別ファンドのデータベース構築のほか、業界統計レポートも公表しており、業界でよく見られている。データベースは5,900のファンド情報を保有している。HFRIという業界平均のインデックス指数を公表している。

1998年設立のデータプロバイダー及びニュースサイト。週次ニュースのHFMWeekを運営する他、機関投資家向けにはヘッジファンドの情報提供、ヘッジファンド向けには投資家の情報提供などを行う。プロダクトの1つにAsiaHedge(アジアヘッジ)やEuroHedge(ユーロヘッジ)があり、それぞれアジアとヨーロッパで活動するファンドの情報を網羅している。日本株ファンドの情報が知りたければアジアヘッジにアクセスするべきだろう。2020年に競合のユーリカヘッジ、2021年に週刊ニュースサイトのHedge Fund Alert(ヘッジファンドアラート)を買収するなど、業界における地位向上を目指す。

2004年に創刊したニュースメディア。オンラインでは日刊、紙面では年6回発刊。個別ファンドの紹介・広告やインタビュー記事がかなりの数掲載されている。ヘッジファンドジャーナルアワード、Tomorrow‘s Titan(意:明日の巨人)などのアワードも開催。

2001年創設のデータベースプロバイダー。グローバルのヘッジファンドに関するデータを収集しファミリーオフィスや年金、ファンドオブファンズ等に提供。データベースに掲載されているファンド数は2022/2/23時点で26,787。ファンドが自ら自社のパフォーマンスをEurekahedgeに提供し、様々なランキング掲載や顧客とのネットワーキングに役立てるというエコシステムが出来ており、高い網羅性を誇る。Eurekahedge Hedge Fund Indexという指数を公表している。2020年に上記HFMを運営するPageant Media社に買収された。

1985年設立のデータベンダー。なおイギリスのバークレイズ銀行・証券とは無関係。2021年3月時点で6,824のファンドを掲載と、ユーリカヘッジ等と比較すると幾分、網羅性は低いかもしれない。Barclay Hedge Fund Indexという指数を公表しており、たびたびメディアに載ることがある。

次回

今コラムでは世界のヘッジファンド業界の現状についてデータでご紹介した。次回はヘッジファンドにおける運用スタイルの例をあげていき、それぞれのリスク、リターンについて統計に基づきながらお話していきます。

参考文献


◆さんまのIPO

京都大学卒、欧州ビジネススクール修了。大手資産運用会社に入社し、日本株アナリストとして中小型株の調査に従事。運用部に異動後、サブファンドマネージャーとして中小型株のファンド運用を担当。日本株ロングショート戦略のヘッジファンドに転職し、アナリストとしてIPO銘柄や製造業全般の中小型株の調査を担当。 2021年、KxShare株式会社を共同創業。

Twitter:@samma_ipo


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この記事を書いた人

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