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債券投資分析の基本とは

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目次

債券とは

 国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。投資家は、発行体に対してお金を貸す代わりに利子をもらう、というイメージです。投資家は、債券の購入を通じて、発行体に資金を提供します。発行体は資金提供の見返りとして、満期までの期間、決められた利子を支払います。債券には満期が定められており、満期となる償還日には、額面金額が投資家に払い戻されます。

債券投資において確認するべきポイント

 債券投資を行う際は以下の項目を確認し、投資家の期待リターン及びリスク許容度に応じた銘柄を選定します。なお債券には発行体が新たに発行する新発債と、既に発行され、投資家間で取引される既発債がありますが、確認するべきポイントはどちらであっても同じです。

例:アドナビ自動車株式会社の社債(既発債、2022年6月9日時点)

利率:3.08%

通貨:米ドル

単価:99.49

買付単位:1,000以上1,000単位

最終利回り:3.40%

利払い日:年2回(1/30、7/30)

償還日:2024年1月30日

格付け:[Moody`s] A1、 [S&P] A+

・利率

単価に対して1年間に支払われる利子の金額です。ただし、利率自体は投資判断の際にあまり意味はありません。債券のリターンを考える際に重要なのは最終利回りです。この利率部分が0%になっている割引債と呼ばれる債券もあります。割引債は保有期間中に利子をもらうことができません。その代わりに額面より低い単価で取引されています。そして満期償還時には額面で払い戻されます。つまり割引債のリターンは取得単価と額面の差額になります。

・通貨

発行される債券の通貨です。通貨によって基準となる金利水準が異なります。例えば円建であれば0.2~2%、米ドル建であれば3~9%、ブラジルレアル建であれば15~25%といったように通貨によって利回りの相場観が異なります。また円建の債券であれば為替リスクはありませんが、外国通貨の場合、債券自体のリスクに加えて為替リスクを負うことになります。購入時点より円安が進めば為替差益が得られますが、逆に円高になれば為替差損が生じてしまい債券投資のリターンは目減りします。ちなみに長期的に見ると高金利の通貨ほど通貨安となる傾向があります。

・単価

購入時点の単価です。新発債では額面100、すなわち満期の償還金額で発行されることが一般的です。しかし、既発債の場合は市場環境や発行体の状況によって債券の価格自体が変動します。

・買付単位

債券は銘柄毎の買付単位が設定されています。アドナビ自動車の例では、99.49ドルの債券を1000単位なので、買付単価は99,490ドル(1ドル=130円前提で約130万円)になります。

・最終利回り

利率(毎年支払わる利子3.08%)及び現在の価格と満期時に払い戻される額面との差額(100ドル – 99.49ドル =0.51ドル)の両方を考慮した、この債券を満期まで保有した場合の最終的な利回りです。

・利払い日

債券の利子が支払われる日です。キャッシュフローを管理する場合に必要です。

・償還日

債券の元本が満額償還される日です。利払い日同様にキャッシュフローを管理する場合に必要です。

・格付け

格付機関が債券やその他発行体、金融機関などの債務支払能力を評価し、信用力を示したものです。格付けが低くなるほど債務不履行(借入金などをあらかじめ決められた条件で支払うことができなくなる)に陥る可能性が高くなります。上記の例ではMoody`sという格付け機関が A1、 S&Pという格付け機関が A+の格付けをそれぞれこの債券に対して付与しているということになります。

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債券価格の変動

債券は基本的に満期を迎えた際に額面で償還されます。しかし、満期を迎える前に投資家間で売買されることがあります。期中で売買する場合は、額面ではなく時価で取引されます.

債券の価格と利回りは逆の関係になります。つまり利回りが上昇すれば債券の価格は下落し、逆に利回りが下落すれば債券の価格は上昇します。これは債券に支払われる利子の金額は一定でも、債券自体の価格が変動すれば利率も変化するためです。さらに満期償還時の差損益の変動も影響します。ちなみに価格が額面と一致(この場合は100ドル)であれば、利率と最終利回りは一致します。

 単純化すると以下のイメージです。

・価格120ドル(値上がり)、利子5ドル(一定)

 → 利率4.17%(利率低下) ― 償還差損20ドル(償還価格100ドル ― 現在値120ドル)

・価格100ドル(額面と一致)、利子5ドル(一定)

 → 利率5%(利率=最終利回り)+償還差損益0ドル(償還価格100ドル ― 現在値100ドル)

・価格80ドル(値下がり)、利子5ドル(一定)

 → 利回り6.25%(利率上昇)+ 償還差益20ドル(償還価格100ドル ― 現在値80ドル)

では債券価格(利回り)はどのような要因で変動するのでしょうか。それは主に以下の3つです。

債券の価格(利回り)変動要因

債券価格が上昇↑
(利回りは低下↓)
債券価格が下落↓
(利回りは上昇↑)
市場金利金利低下金利上昇
満期までの期間短期化長期化
発行体の信用力(格付)信用力上昇(格付引き上げ)信用力低下(格付引き下げ)

市場金利

市場金利は通貨を発行している国の国債利回りがベースになります。円建であれば日本国債金利、米ドル建であれば米国債金利です。これは同じ通貨の中であれば通貨発行国の政府が発行する国債の信用力が最も高いという考え方に基づいています。例えば、米国債金利が5%まで上昇したとします。米国債を発行する米国政府と1民間企業であるアドナビ自動車を比べると米国政府の方が信用力は上です。その米国債が利回り5%なのに信用力が劣るアドナビ自動車の社債を利回り3%で買う人はいません。でも利回り6%であれば買いたいという人はいるでしょう。このように市場金利に合わせて債券の個別銘柄の利回り(価格)も変動します。

満期までの期間

一般的に満期までの期間が短いほど利回りは低く(価格は高く)、満期までの期間が長いほど利回りは高く(価格は低く)なります。あなたが誰かにお金を貸すところをイメージしてください。返済期限が1か月後ということであれば、借り手の収入・資産等は現在の状況とそれほど変化しないと考えられるため貸したお金を踏み倒されるリスクは低いでしょう。リスクが低ければ金利も低くていいと考えます。ところが同じ相手に貸すときでも返済期限が10年後という約束だとどうでしょうか。今はちゃんと収入も資産もある人であっても10年後のことは分かりません。失業しているかもしれないし、亡くなっているかもしれません。遠い未来ほど予想が難しくなるのでリスクが高くなります。返済期限が長期化してリスクが高くなればそれに合わせて金利も高くなければ貸し手としては割に合わないという考え方です。

発行体の信用力(格付)

発行体(資金の借り手)の信用力によって利回りが変わります。最も信用力の高い発行体である政府が発行する国債であれば、利回りは低くなります。反対に業績が悪化している企業であれば、債務不履行に陥る可能性が高くそのリスクに見合う分だけ高い利回りが求められます。格付け機関が付与している格付けはその信用力を判断する目安になります。まれに格付けを取得していない発行体(日本の地方公共団体等)もあります。その場合は投資家自身が財務諸表等から発行体の信用性調べる必要があります。

格付けの定義は格付け機関によって微妙に異なります。一例としてスタンダード・アンド・プアーズ(Standard & Poor’s, S&P)の格付け基準を紹介しています。一般的にはBBB以上が投資適格、BB以下がハイリスクハイリターンのジャンク債とされています。

参考:S&Pによる日本の発行体の累積平均デフォルト(債務不履行)率 (事業会社と金融、1981-2021年) 

格付けカテゴリー累積平均デフォルト率(5年間)
AAA0.00%
AA0.00%
A0.13%
BBB1.65%
BB4.55%
B20.07%
CCC/C20.83%
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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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