みずほ証券は、みずほフィナンシャルグループ(8411)傘下の証券会社だ。みずほフィナンシャルグループの前身である第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行それぞれの系列証券会社が合併して発足した。
2013年にグループ内の証券会社再編が一巡し、現在のみずほ証券の形になった。
みずほ証券の分析(2022年3月末時点)
- 役職員数: 9,106名(内海外拠点人員数1,744名)
- 国内230拠点、海外19拠点
- 資産合計:18兆7,811億円
- 純資産:6,086億円
- 固定化されていない自己資本:8,138億円
- 自己資本規制比率(連結):268.5%
【図表1】2022年3月期決算
純営業収益(億円) | 前年同期比 | 経常利益(億円) | 前年同期比 | |
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グローバル投資銀行 | 1,093 | 6.8% | 483 | 3.0% |
グローバル・マーケッツ | 2,319 | -10.2% | 523 | -35.7% |
リテール・事業法人 | 1,640 | -0.3% | 449 | 9.0% |
合計 | 4,956 | -3.7% | 1,308 | -17.2% |
- 部門毎の重複があるため、各部門の決算数字の合計は連結決算の値とは一致しません。
部門別の収益ベースの貢献度はグローバル・マーケッツ、グローバル投資銀行、リテール・事業法人企業の順になり、部門別の利益ベースの貢献度は2022年3月期において主要3部門でほぼ同等である。
過去の業績推移をみるとグローバル投資銀行の利益推移は比較的安定しているものの、各部門とも年毎の変動が大きくなっている。
みずほ証券単体での財務基盤についても問題はなさそうだ。親会社のみずほフィナンシャルグループ全体で見ても金融危機時においても金融機関が業務を継続するために必要な、損失吸収力の高い自己資本(普通株式や名部留保など)を分子として、これをリスク・アセットで割った連結総自己資本規制比率は14.37%となっており、国際基準とされる最低自己資本比率4%を大幅に上回っている。
なお世界の大手金融機関の連結普通株式等Tier1比率は15%前後が一般的である。
みずほ証券のグローバル投資銀行部門の分析
主に企業や政府の発行する株式・債券の発行・引受、M&Aアドバイザリーなどを行っている部門だ。
プロダクト別の収益内訳は開示されていないが、債券の引受業務に強みがあるようだ。
証券会社ごとのホールセール部門における実績をまとめた2021年度のリーグテーブルでは国内公募債総合1位(シェア22.5%)、総合ABS主幹事1位、SDGs債1位(シェア24.9%)、事業会社劣後債1位(シェア21.8%)、米国DCM(IG USD債)9位、内外エクイティ総合4位(シェア12.3%)、IPO主幹事件数1位/引受金額3位、日本企業関連のM&Aアドバイザリー業務件数ベース2位/取引金額ベース5位となっている。
みずほ証券のグローバル・マーケッツ部門の分析
主に対機関投資家向けの株式や債券の売買仲介を行っている部門である。
プロダクト向けの収益内訳は開示されていないが、どちらかといえば債券の方に強みがあるようだ。公社債顧客取引シェアは10%台前半、株式の東証売買代金シェアは3%前後でそれぞれ推移している。
2022年の日経ヴェリタスアナリストランキングでは株式、債券・為替共に3位である。
みずほ証券のリテール・事業法人部門の分析(2022年3月期)
一般的に世間でイメージされる証券会社の業務だ。主に日本国内の個人富裕層や法人の資産運用に関わるビジネスを行っている。
- 国内のみずほ証券拠点数:230拠点(うち103支店、うちプラネットブース123ヵ所)
- 国内の顧客資産残高:46.5兆円
- 総口座数:186.1万口座
- オンライントレード契約口座数:137.7万口座
- 株式取引のうち、オンラインサービスを通じて売買された割合
- 売買件数ベース:67.1%
- 売買金額ベース:28.5%
- 個人新規開設口座数:6.9万口座
- 資産導入額:1兆420億円
【図表2】残あり口座数と顧客資産残高の推移
過去5年間で口座数は174万口座から186万口座へと7.0%増加しており、顧客資産残高についても株式の時価変動による影響が大きいものの、年間で1~4兆円規模の資産導入を達成した。
口座数及び預かり資産を順調に伸ばしている背景としては、みずほフィナンシャルグループの子会社であることから、同グループのみずほ銀行及びみずほ信託銀行からの顧客紹介を期待できるという背景がありそうだ。
実際にみずほ銀行との共同店舗やみずほ銀行のロビー内に設置したプラネットブースにより国内大手証券会社の中では最大の営業拠点数を確保している。
株式がオンラインサービスを通じて売買された割合は、売買件数ベースで67.1%、売買金額ベースで28.5%となっており、オンラインサービスの顧客への浸透は他の大手対面証券と比べて低い水準となっている。