IFAの報酬は、顧客と証券会社が金融商品を売買した時などに発生するが、最終的なIFAの報酬額は、業務提携先の証券会社、所属するIFA法人との雇用形態によって決まる。
今回は、IFAの報酬の仕組みとその決定方法などについて解説する。
IFAの収入は証券会社からの業務委託報酬
IFAの報酬は、顧客から直接貰うことはない。顧客が取引をした証券会社からの業務委託報酬として得ることができる。
これは、IFA法人が金融商品仲介業として、証券会社からの業務委託により成り立っているからだ。
IFAは独立系ファイナンシャルアドバイザーの略ですが、実際には、運用アドバイスに対する報酬は得ていない。IFAの顧客は、所属するIFA法人が提携する証券会社に口座を作ることで、金融商品の取引が可能になる。
取引が発生すると証券会社に取引手数料を払う訳ですが、その取引手数料の一部がIFA法人に還元される、という仕組みだ。
保険の販売で販売手数料も大きい
同様に、保険の販売でも保険会社から販売手数料の還元がある。ほとんどのIFA法人が、金融商品仲介業の他に、保険募集代理の免許を取得している。
その上で、日本生命や第一生命などの保険会社と提携すると、提携先保険会社の商品を販売することができるようになる。
顧客が保険商品の契約をすると、保険料と同時に販売手数料が徴収されるが、その一部が保険募集人であるIFA法人に還元される。
保険会社、保険商品によって販売手数料が異なる点はもちろんだが、保険会社が積極的に販売したい商品に関しては、還元率を上乗せしてIFAに報酬が支払われる場合がある。
IFA個人の収入、報酬額はどうやって決まるの?
IFA法人に勤務するIFA個人の報酬の決まり方は、所属するIFA法人との雇用形態によって異なる。
多くの場合は、IFA個人が個人事業主の立場でIFA法人と業務委託契約を締結する雇用形態だが、この場合の報酬額は、手数料売上の実績に応じた完全歩合制で決まる。
一方、近年は、社員としてIFAに所属する人も増えている。この場合の報酬額は、固定給+手数料売上の実績に応じたボーナス、というのが一般的だ。
取引手数料によるIFAの報酬額は?
業務委託契約でIFA法人に所属する独立IFAの収入額を実際に計算してみよう。
例えば、手数料が3%の米ドル建ての債券の取引を考えてみる。
証券会社の取引手数料
顧客が米ドル建ての債券を1,000万円購入した場合、顧客が実際に証券会社に払う手数料は30万円だ。
- 米ドル建て債券の取引手数料は取引額面に内包されており表示されていないが、証券会社の取引手数料が発生している。
手数料率は、債券の発行体、満期までの償還年限、弁済順位などの諸条件によるが、米ドル建て10年満期の社債であれば2% 〜4%程度は見込めるだろう。
また、永久劣後債や格付けの低いジャンク債であれば、4%〜8%の取引手数料も可能だ。
IFA法人への業務委託手数料
証券会社は業務委託手数料として30万円のうち、70%の21万円をIFA法人に支払う。
証券会社がIFA法人に支払う業務委託手数料は、証券会社が顧客から徴収する取引手数料の60% – 80%が目安だ。
証券会社とIFA法人との業務委託契約によって異なるが、一般的に取引総額の大きいIFA法人は、より高い業務委託手数料率であると言われている。
IFA個人への報酬
IFA法人は21万円のうち、80%の16.8万円をIFA個人へ還元する。
IFA法人がIFA個人に還元する業務委託手数料率(還元率)は、50% – 90%が目安となる。
IFA法人とIFA個人との業務委託契約によって異なるが、IFA個人からオフィスやシステムの利用料の固定費を徴収している場合は還元率が高く設定されている。
また、経験や社歴が長いIFAの方が高い還元率での業務委託契約が期待できるだろう。
取引による報酬額の計算式
報酬額=取引金額 × 証券会社の取引手数料 × IFA法人の業務委託手数料 × 還元率
今回の例だと
報酬額=1,000万円×3%×70%×80%=16.8万円 となる。
継続手数料によるIFAの報酬額は?
投資信託の管理報酬
投資信託の管理報酬は、運用する投資信託の残高に対して商品ごとに一定の割合で定期的に発生する。
残高に対して0.5〜2.0%が目安だ。一般的に、リスクが高く変動が激しい運用対象になればなるほど管理報酬も高くなる傾向がある。
投資顧問報酬(投資一任報酬)
投資顧問報酬は、投資一任型の運用商品を預かっている期間に定期的に発生する収入だ。
投資一任型の運用商品の代表例は「ファンドラップ」で非常に人気が高く、大手証券会社、銀行、信託銀行でも残高を伸ばしているが、多くのIFAでも提供している。
また最近では、「ロボアド」と呼ばれるAIやコンピュータ解析による投資一任サービスも話題になっている。
ロボアド大手のWealthナビやお金のデザインなどもIFAと提携してサービスを提供し始めている。
管理口座料
現在、多くの日本の銀行や証券会社では、口座を保有すること自体に手数料はかからない。
しかし、2019年、楽天証券がIFA向けの取引口座に対して一定の手数料を徴収する「管理口座コース」の提供を開始して話題になった。この口座では、顧客の預かり資産に一定の率を乗じた額(1%が目安)を管理口座料として支払う必要がある。
一方で、口座内で取引する際の売買手数料が従来よりも安くなるメリットがある。
継続手数料による報酬額の計算式
顧客が信託報酬が1.5%の投資信託を購入した場合、顧客が証券会社に払う手数料は年間で15万円だ。
そのうち、IFA法人へ業務委託手数料として70%、10.5万円を支払う。
また、IFA法人から10.5万円のうち、80%をIFA個人へ還元すると、IFA個人が得る報酬は8.4万円になる。
自分に合ったIFA法人を選ぼう
IFAにはいくつもの雇用形態があり、自身の働き方にマッチするIFA法人を選択することが重要だ。
IFA個人の報酬は取引手数料だけではなく、継続的な手数料も期待できるが、雇用形態に加え、業務提携先の証券会社の業務委託報酬の割合によってその報酬額が決まる。
そのため、所属するIFA法人を選ぶ際には注意が必要だ。
おわりに
IFAになる際に、基本的にはどこかの法人に所属する形を取ることになる。
しかし、全国には約650社ものIFA法人があり、情報を取ることや比較することが難しい。
また、
「どのぐらい収益があれば生活が安定するのか?」
「皆どのようなビジネスをしているのか?」
等、IFAになること自体に対する不安の声も多い。
IFAへの転職に悩んでいる方は、ぜひIFA特化型の転職エージェント「アドバイザーナビ」に相談してみて欲しい。
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