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一般社団法人ソーシャルビジネスバンク 代表者 東信吾氏 TOPインタビュー

本シリーズはIFA法人の代表の方に弊社転職希望者からよくご質問をいただく内容をインタビュー形式でお伺いし、まとめています。今回は一般社団法人ソーシャルビジネスバンク代表の東信吾様です。

今から25年前にプライベートバンカーに憧れ、大学を卒業後大和銀行(現りそな銀行)へ入社し、その後は外資系金融機関を経て一般社団法人ソーシャルビジネスバンクを設立されました。

UBSでは日本で初めて7年連続アジアパシフィック地域における「ドラゴンクラブ」を受賞、2015年には全世界におけるトップバンカーの一人として「UBSサークルオブエクセレンス」を受賞。クレディ・スイスでは西日本地域の営業責任者を務めた東様がなぜIFA業界に参入したのか、また業界で唯一「一般社団法人」として運営している理由、お客様への想いをお伺いしました。

目次

東様のキャリアと御社を設立した経緯を教えてください。

私は大学時代から「お客様と長い人間関係が築ける仕事をしたい」という想いから、当時は世の中であまり認知されていなかったプライベートバンカーという仕事に憧れていました。学生なりに、富裕層を担当する金融マンは不動産の知識が必要だと考え「不動産鑑定士」の資格取得を目指しました。新卒では不動産を扱える大和銀行(現りそな銀行)に入社し、その後はシティバンクPB、日本不動産研究所、UBS、クレディ・スイスを経て、現在はIFA法人を設立しております。

弊社を設立した経緯は、証券業よりも社会貢献活動を中心に生きていきたい、社会をより良くしたい富裕層と一緒に歩みたいとの想いから、昨年(2022年)1月に社会貢献を目的としたIFA法人を設立しました。

IFA業界でも前例がない「一般社団法人」としての設立ですが、どんなこだわりがあるのでしょうか。

弊社はIFA事業を主体とする法人ではなく、社会貢献活動を中心にして、その周辺業務に資産運用及び資産管理業務があるという考え方です。

「株式会社」で設立してしまうと会社の利益は株主である私の利益になります。一方、一般社団法人であれば、会社財産に関して、自分の持分という概念がありません。この活動自体が自身の金銭的利益のためでないことを示そうと思いました。仮に弊社が解散した場合は、日本赤十字社、ユニセフなど公益のNPO団体に寄付する定款にしており、法人形態を非営利徹底型としています。但し、IFA事業は営利活動であるため、法人利益に対しては、一般事業法人と同じ法人税の支払い義務があります。

では、何がしたいかというと、金融商品仲介業によって生じた利益を社会貢献活動に回したいと思っています。弊社は「温かいお金」と「想い」を循環させることを社会的使命としています。より多くの内部留保を社会に還元するために、私はIFA業務から給与をもらっていません。もちろん生活するためには給与が必要なので、企業のアドバイザー業で給与を頂いております。それ以上の給与は求めていません。

こう思えるのも、富裕層の中には、お金に縛られて不幸になっている人が沢山いることを見てきたからだと思います。

この心境に至ったのは、長く社会貢献活動に携わったプライベートバンカーとしての経験の蓄積があるからであり、一朝一夕に作られたものではございません。

IFA事業と社会貢献事業の両輪モデルかと思っていましたが、社会貢献事業を主軸としてその中にIFA事業があるというイメージなのですね。

良いところに気付きましたね。おっしゃる通りです。

私は「社会をより良くしたい人」と「NPO」を繋ぐことで、温かいお金が世の中に循環することを第一にしています。昨年は、私を起点として生み出された温かいお金が7,000万円以上になりました。

この私が起点となって繋ぐ活動以外に、自分で寄付の原資を生み出す活動がIFA業務というわけです。IFA業務はあくまで社会にお金を循環させる器(ツール)の一つです。

そもそも、社会貢献の支援を始められたきっかけと現在社会貢献を軸とした運営を行っている理由、また具体的な取り組み内容を教えてください。

遡ると私は15年くらい前からNPO活動のお手伝いを始めました。カンボジア、ラオス、ミャンマーなどで学校建設や学校運営、奨学金、医療支援など、当初は自分の知識の引き出しが増えるという好奇心がメインでした。その後に社会貢献活動を通じて喜んでいただける富裕層のお客様がいることを知りました。

2011年から、グラミン銀行創設者でノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス博士とバングラデシュで、貧しい家庭の子どもに自動車整備士技術を教えて、日本で働くまでの導線を作るプロジェクトをしています。日本の自動車ディーラーに頭をさげて、採用をお願いして回っています。今年は11人全員、素晴らしい企業に勤務できることになり、とても嬉しいです。ムハマド・ユヌス博士が社会問題を解決するビジネスを「ソーシャルビジネス」と名付けました。その考えを普及したいと思い、日本アントレプレナー大賞のソーシャルビジネス部門を創設し、審査責任者をしております。また、大学ではソーシャルビジネスに関する講義を行っています。

先ほども申し上げましたが、私が最も大切にしている活動は、富裕層とNPOや社会起業家の架け橋となることです。富裕層の「温かいお金」と「想い」を社会に循環させることです。

弊社HPにロート製薬創業一族の山田さんとの対談がありますが、対談後の具体的活動として、大塚製薬創業一族の大塚さんにも参加していただき「一般社団法人明日へのチカラ」を立ち上げ、「ドコデモこども食堂」というプロジェクトを始めました。昨年末クラウドファンディングで3,600万円以上のご寄付が集まりました。友人8人の忘年会でこの活動の話をしたところ、そのうちの1人が1,000万円を寄付してくれました。とても驚きました。

ちなみに直近(2月14日)の活動としては、ウィメンズネット・こうべさんを神戸で手広くマンション事業を展開している社長に紹介しました。このNPOはDV被害や社会的要因などで困難な状況にある女性と子どもの支援を行っています。話を聞いた社長は、住宅の取得が困難な女性たち、生活困窮している女性や子ども、学生たちのために、自社で運営しているマンションのいくつかの空室を無料で貸していただけることになりました。また、仕事が見つからない女性には自社での雇用機会も提供していただけるようです。社長は顔だけでなく、心も男前です。

皆さんに共通しているのは「お金持ちですが、社会に貢献する方法が分からない」ということです。富裕層は自分から進んでNPOに会う事などしません。そこで私が橋渡しとなって、「温かいお金」や「想い」の循環方法を提案する。これは大きな団体に寄付をした時に、「どこにどれだけ寄付されているのかわからない。実感が湧かない。」という課題に対して、私はより実感のある個性に合った社会貢献のあり方を提案することが使命だと思っています。残念ながら富裕層の中には、寄附をしたときにその活動に満足できずに、寄附活動を辞めてしまう人がいます。

アメリカの鉄鋼王であるアンドリュー・カーネギーは「自分が満足いく寄付活動を見つけるためには、時間をかけて、失敗をしながら見つけないといけない。」と言っています。最初から満足いく社会貢献活動が出来る人は少数です。

私は、社会のために何か貢献をしたいけどその方法が分からない富裕層を導き、世の中に「温かいお金」と「想い」を循環させると同時に、多くの富裕層に、より豊かな人生を送っていただきたいと願っています。

15年ほど前からと言うことはUBSに勤務している時から社会貢献活動を行っているということなのですね。UBSに勤務をしながら、そうした活動はできたのでしょうか?

そうですね。活動を楽しんでいました。

UBS、クレディ・スイスに勤務している時は一貫して、プライベートバンカーに「お客様の社会貢献活動をサポートすることで、お客様の人生をより豊かにするお手伝いをしましょう。」と伝えてきました。ただ、ほとんどのバンカーは関心を示しませんでした。社会貢献活動は金融事業以外のことであるため、お客様と海外へ視察に行く際も有給休暇を取得して、自分のお金で行かないといけません。また、余分な仕事量が増えるとか、活動自体が仕事の収益に直結しないという理由で取り組まないバンカーが多かったです。とても勿体無いことだと思います。自分の知識や経験値が広がることが、何よりお客様の幸せに直結することなのですが、ほとんどのバンカーが実践しませんでした。

私は当時から金融事業以外の周辺事業のお手伝いをすることを楽しんでいます。お客様の関心はお金を増やすよりも、困り事を解決するとか、お客様の会社やファミリーが発展して、人生を豊かに過ごすことにあると思っています。

極端な話、金融仲介業は私じゃなくても出来ます。自分のやるべきことを考えたときに、金融業以外でお客様を幸せにすることが大切だと考えています。その一つが社会貢献活動のサポートです。

私はUBS、クレディ・スイス時代からこのお客様にこの商品を買ってもらおう、ということはあまり意識せず、定期的にお客様にお会いして経済動向の共有やお困りごとの相談をしていました。結果として預かり資産が700億円ほどになりました。よく営業マンはお客様の管理シートを作って、どのお客様にどの商品を提案しようかと考えますが、私は「翌月にどんな取引があるかなど、考えても仕方ない」と思っていました。お預かり資産が増えると、お客様と継続的に会うことで、自然と資産運用ニーズが出てきました。

UBS、クレディ・スイス時代から一貫してお客様のためになることを考えて働かれていたのですね。その結果、現在のお客様との付き合い方は変わりましたか?

クレディ・スイスを引退してからは、お客様との関わり方が変わりました。

今お付き合いしていただいているお客様は、皆さん自分の事だけでなく社会の事を考える方ばかりです。私は大きくIFA事業を伸ばすことなど考えていません。

先日、お客様から「ストレスないでしょ?」と聞かれ、私は「はい。分かりますか?」と答えました。

そうするとお客様から「社会のために活動しているとイキイキするっていうのは分かります。」と言われました。

最近は、社会のために何かしたいと思っている富裕層を紹介していただくことが増えました。その中にはUBS、クレディ・スイスでも会えない著名な人もいて、人との繋がり方が変わってきました。

社会貢献活動について深くお伺いしてきましたが、IFA法人TOPインタビューなので金融商品仲介業務についてもお伺いさせてください。

そうですよね。失礼しました。
インタビューする高野さんが聞き上手なので、ついつい関係ないことを話しすぎました。

金融商品の提案についてはUBS、クレディ・スイス時代と大きく変わりません。振り返ると、UBSやクレディ・スイスでは、提案できる商品がたくさんありました。私は当時から外債を中心に販売していました。外債であれば自分自身もお客様も安心して時間を過ごすことができます。私はこれまで会社が推奨するファンドなどを販売して、お客様にご迷惑をおかけしたことが沢山あったので、その後は外債に切り替えました。現在も楽天証券さんの献身的なサポートにより、ストレスなく外債の販売に注力できています。

私の場合はロットが大きいので、UBSやクレディ・スイスに勤務している時は一回のディールで1億円以上の手数料を稼ぐこともありました。今は手数料をほとんど頂戴しない方針です。先月は15億円ほどのお取り引きがありましたが、ほとんど収益は頂いておりません。

1年を通して、法人決算が黒字であれば、内部留保を社会に還元する方針なので、無理をする必要はないです。

証券業で問題なのは、焼畑農業のようにお客様の新規開拓をしては、お客様に損をさせて、結果としてお客様が離れてしまうという繰り返しになることです。

私は、お客様の負担を最小限にすることが大切だと考えています。

UBS時代からお客様に負担をかけたくないと考えていました。例えば、一人前のプライベートバンカーとして、評価される第一目標が年間収益2億円なので、100億円のお預かり資産を前提とした場合ROA2%、200億円だとROA1%になります。それを500億円だったらどれだけお客様の負担が少なくなるだろうかと考えていました。

今も考えていることは変わらないです。

中々1人のIFAで500億円というのは難しいかもしれませんが、東様が思うIFAで活躍している人に共通していることは何ですか?

活躍しているIFAは、自分のスタイルを持っています。人が真似できないスタイルを築いて、お客様と向き合っている人が結果として活躍しています。

私の価値観とは異なりますが、仮に収益を上げることが活躍しているIFAと定義した場合でも、そのIFAの努力は素晴らしいと思います。IFAとお客様との関係性で、お客様が満足しているなら、それで良いと思います。お客様が最終的に不幸にならないように人間関係をコントロールする能力は重要です。

IFA業界の今後についていかがお考えでしょうか?

淘汰されていくと思います。

お客様も賢くなりますからね。お客様の金融リテラシーが上がってくると、これまで通りの提案ではお客様が満足することは難しいと思います。なんとなく出来ていたIFAができなくなってきます。

あとは、お客様を幸せにしたいという「想い」が弱いIFAは、厳しいですね。

長い視点でお客様の幸せを考えることが必要です。

最後にIFAになりたいと思っている人へのメッセージをお願いします。

IFAは自己実現をするための器だと思っています。稼ぐことだけが目的の人は長く続かない可能性があります。仮に給料が下がっても、IFAという仕事の特徴である自由に時間を使って何かを成し遂げたい、想像力を使った仕事がしたい、他の仕事も楽しみたい、という人は飛び込んでも良いかと思います。

自分の幸せは、他人が見つけてくれるものでなく、自分で見つけるものです。

多くの人がIFAを通じて、自己実現してもらえたら嬉しいです。

【会社紹介】
一般社団法人ソーシャルビジネスバンク
神戸市東灘区向洋町中6-9 神戸ファッションマート8階 8w-02
代表者 東 信吾
金融商品仲介業 近畿財務局長(金仲)第442号

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この記事を書いた人

大学卒業後、2019年に野村證券株式会社に新卒入社し、リテール営業店にて富裕層開拓に従事。翌年2020年12月にアドバイザーナビへ入社。
現在は、IFAへの転職支援事業の営業担当として転職希望者のキャリアアップ支援を中心としてIFA法人の採用マーケティングの支援を行なっている。

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