転職して新たな会社で働き始めたものの、「こんなはずじゃなかった」と後悔するビジネスパーソンは少なくない。むしろ転職してすぐに、次の転職先を探す人もいるくらいだ。
転職は失敗しないほうがむしろ珍しいくらいで、1回目の転職で成功する事例のほうが稀だろう。
本記事では、転職のよくある失敗例やその理由、転職に失敗して後悔したときにすべきことをまとめた。
転職活動を始めようとしている人は必見だ。また、転職して現に失敗したと思っている人も本内容は間違いなく参考になるだろう。
よくある転職の失敗例5選とその理由
転職をした際のよくある失敗例は、大きく分けて以下の5つだ。
- 業務内容・給与・待遇などの雇用条件が違う
- 職場の人間関係が悪い
- 前職のほうが良かったと思ってしまう
- 経験を活かせない・仕事が合わない
- 社風が合わない
業務内容・給与・待遇などの雇用条件が違う
内定の時に聞いていた内容と、実際の雇用条件が違うというケースは、転職の失敗例として最も頻繁にある内容だ。
これは、内定時の条件交渉において詰めが甘かったり、契約書面の内容確認が不十分だったりする可能性が高い。ほかにも「仕事内容は前職とほとんど一緒だろう」「仕事内容に憧れがある」など、業務内容を具体的かつ詳細に理解できていないことが原因だ。
入社してみたらただの単純作業だった、慢性的な休日出勤を強いられる、サービス残業が当たり前など、「思っていたのと違う」ことは大なり小なりあるだろう。
このような不満は早期の再転職を考える原因になるが、転職癖がつく恐れもあるため注意が必要だ。
職場の人間関係が悪い
仕事内容に満足できても、人間関係が悪く、職場に居づらいケースも想定される。仕事内容や働く人は部署異動で変えられるが、苦手な上司などと再度巡り合う可能性もあるだろう。
そもそも新しい環境で人間関係を構築するのは簡単なことではないし、状況に応じて自身の考え方を変化させる柔軟性も必要だ。
実際問題として、転職活動中に職場の人間関係を把握するのは極めて困難だし、ハラスメントが横行している会社であれば、早期に転職したほうが賢明だろう。
前職のほうが良かったと思ってしまう
勢い余って前職を退職した人や、先に現職を辞めてから転職活動した人にありがちなのが、前職と比べてしまうことだ。
この場合、転職して何を達成させたいのかが不明確で、「転職すれば環境は好転する」など、転職することが目的になっている点は注意すべきだろう。
転職して給料を増やしたいなら、その希望が叶う転職先が見つかるまで妥協しないことだ。
前職よりも何かを改善させるために転職していれば、前後を比較して後悔することはなくなるだろう。
経験を活かせない・仕事が合わない
理想と現実が違うように、想定していた仕事とは違っていたがために、経験を活かせないこともあるだろう。
こちらも、転職することを目的としている人が陥る傾向にある。自分が「何をしたいのか」がわかっていなければ、自分に合う仕事など見つかるはずがない。
転職活動は、明確な目的意識が必要不可欠。実際の仕事内容に関しては、面接の際に具体的かつ詳細に確認するしかないだろう。
経験を活かせない・仕事が合わない場合は、部署異動で環境を変えるか、どうしても合わなければ早期に転職を検討しよう。
社風が合わない
面接の段階では魅力的に感じていた社風も、いざ入社してみると違和感を覚えることがある。掲げている経営理念が、実際に入社してみるとイメージと違った、ということもあるだろう。
社風が合わない場合、部署異動しても改善される見込みは低い。どうしても続けられないなら、早めに転職してしまったほうがよいだろう。
キャリアプランを立てて自己分析を入念に行えば多くの失敗は防げる
5つのよくある失敗例を紹介したが、キャリアプランを明確にして、自己分析を入念に行っていれば防げる失敗ばかりだ。
内定時と実際の雇用条件がズレるのも、その会社で積みたいと考えるキャリアや転職の目的が定まっていれば、内定受諾時にすり合わせができたはずである。
職場の人間関係や社風に関しては、入ってみないと分からない部分はあるものの、ネットの情報だけでなく、会社説明会などに参加して社員に会えば、多少の雰囲気を掴めた可能性もある。
前職との比較や仕事が合わないのも、転職してどうなりたいのか・なぜ転職したいのかなど、転職の目的が明確であればミスマッチは生じないはずだ。
「転職すれば不満が解消される」わけではない。理想のキャリアプランがあり、それを達成させるための手段の一つが転職だ。転職を目的化しているようでは、同じ失敗を繰り返すだろう。
転職に失敗して後悔したときにすべき3つのこと
転職に失敗して後悔したとき、以下の3つを実践して失敗を次に活かすことが重要だ。
- 失敗した原因を深掘りして言語化する
- キャリアプランを明確にする
- 今の環境で経験を積む|場合によってはすぐに転職
失敗した原因を深掘りして言語化する
どんな物事にも、失敗には原因がある。失敗した原因を明確にしないと、再び同じ失敗をしかねない。
転職活動も同じで、失敗して後悔しているなら、その原因を言語化しよう。転職するか決めるのは、まぎれもなくあなた自身だ。決定を誰かに委ねるものではないし、自分の決断に責任をもち、失敗を成功のきっかけに昇華させよう。
キャリアプランを明確にする
失敗の原因を言語化するとともに、キャリアプランを明確にしよう。
転職は「目的」ではなく、あくまで「手段」にすぎない。5年後にはこんな仕事がしたい、家族との時間を確保できる働き方がいいなど、ライフスタイルを含めた理想を実現させるために転職するのである。
キャリアプランを明確にするためにも、自己分析してキャリアを棚卸ししたり、得意不得意を整理したりするのも必要不可欠だ。
転職に失敗したと思ったときこそ、キャリアプランを明確にすべきである。
今の環境で経験を積む|場合によってはすぐに転職
転職に失敗した理由次第ではあるが、早期転職のほかに方法がない場合を除き、まずはその環境で得られる経験・実績を積もう。
その環境を選んだのは自分であり、後戻りはできない。「これからどうするか」を考えるしかない以上、与えられた仕事をしっかりとこなすのがある種のビジネスマナーである。
合わないと思っていた仕事が、実は面白みのある仕事に変わるかもしれないし、やりがいが見つかる可能性もある。
早期の転職は応募企業が不信感を抱く可能性も高いため、できれば避けたい。もちろん、人間関係があまりにも悪く、精神的に追い詰められるような場合にはすぐに転職しよう。
転職の失敗を繰り返さないための対策・ポイント3つ
最後に、再転職に動き出す際の対策やポイントを3つ紹介しよう。
- 理想のキャリアを明確にする
- 転職の目的を満たす企業が見つかるまで転職活動を続ける
- 転職先が決まってから退職する
理想のキャリアを明確にする
繰り返しになるが、理想のキャリアは必ず明確にしよう。転職することが目的ではなく手段になるよう、「どんな会社でどんな仕事をしたいのか」を具体的にまとめるのが最優先だ。
理想のキャリアプランは、転職活動におけるぶれない軸になる。
理想に近づく選択肢の一つが転職となるよう、新卒からのキャリアや印象に残っている仕事などをピックアップしていこう。
転職の目的を満たす企業が見つかるまで転職活動を続ける
転職の失敗を繰り返したくないなら、転職活動で妥協しないようにすることだ。
すべてのビジネスパーソンにとって、理想のキャリアに近づくことが転職の目的である。理想のキャリアは人によって異なるものの、「理想に近づくかどうか」は企業の評価・検討軸としてブレないはずだ。
「とりあえず転職したい」となってしまっては、同じ失敗を繰り返すことになる。
目的を満たす企業が見つからないなら、自身のスキルが未熟な可能性もある。その場合は、現職でスキルアップすることに専念したほうが良いだろう。
転職先が決まってから退職する
現職で働き続けると病みそうになるなら話は別だが、そうでもない限り、転職先が決まってから退職しよう。
先に現職を退職すると、安定した収入が途絶えて金銭的な余裕がなくなる。その結果、転職することが目的になってしまうから注意が必要だ。
現職の仕事でしっかりと成果を出しつつ、理想に近づく転職先が決まってから退職するのがベストである。
転職に失敗しても人生は終わりじゃない|いつでもやり直せる
転職の失敗例やその理由、対策を紹介したが、転職活動をすべて成功させてきたビジネスパーソンのほうがむしろ稀だろう。おそらく多くのビジネスパーソンが、転職することを目的に会社を選んだことがあるのではないだろうか。
その結果、「入ってみたら思っていたのと違った」という事態に陥るのである。そこで重要なのが、「これからどうするか」だ。
転職に失敗しても無一文になるわけではないし、その後の努力次第でいくらでも挽回できる。失敗を深掘りして言語化し、理想のキャリアプランを明確に描いて、理想を少しずつ叶える手段として転職を選ぶのが重要だ。