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転職に伴う住民税の払い方の違い 注意点も解説

会社員には、住民税、所得税、社会保険料など、給料から差し引かれる税金がいくつかある。通常は会社の人事や総務がさまざまな手続きを担当してくれているため、自分の給料から何がどのように差し引かれているのかを把握していないことも多い。

それ故、ひとたび会社から離れ、自分で手続きをしようとすると、どのようにすればよいのか分からなくなってしまう。転職や会社を辞めるタイミングでは自分の知識の足りなさを痛感することになる。

今回は住民税を取り上げ、住民税の基礎知識から、税額のおよび支払い方法を解説する。

目次

住民税とは 税額算出の考え方と納める方法

住民税とは都道府県と市区町村に収める税金のこと。集められた税金は、ゴミ処理、消防・救急、教育、福祉などの行政サービスの維持運営に使われている。

住民税は「所得割額」と「均等割額」からなる。このうち「所得割額」は前年の課税所得に対して算出される。具体的な算式は以下のとおりだ。

住民税の所得割額=(所得額-所得控除額)×所得割税率-税額控除額

一方、「均等割額」は定額だ。収入の多寡に関わらず同じ金額を収める。東京都の場合は都民税、市区町村税の合計が5,000円。さらに防災対策費を加えて総額6,000円である。

このように「所得割額」と「均等割額」からなる住民税を収める方法は2種類ある。それが普通徴収と特別徴収だ。

普通徴収とは自分で納める方法

普通徴収とは、自分で住民税を納める方法。自営業者・個人事業主が主にこの方法で納める。

普通徴収を納めるタイミングは1年分の1括払い 又は 年4回の分割払いだ。税額は前年の確定申告に記載した課税所得を元に算出される。

特別徴収とは会社が代わりに納めるする方法

特別徴収は、会社員が納める方法。本来会社員が自分で納めるべきところ、会社が社員に代わって納める。社員は毎月給料から差し引かれて徴収されている。

普通徴収が年1回又は年4回で納めるのに対し、特別徴収は12分割で差し引かれる。従って同じ課税所得であれば特別徴収の方が1回あたりの負担額は少額である。

次の勤務先が決定している場合の納める方法

次の勤務先が決定している場合は、現職で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を発行してもらい、新しい会社経由で市区町村に提出することで、特別徴収が継続される。

「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」は会社を辞める月の翌月10日までに社員が住んでいる市区町村に提出することが必要だ。

次の勤務先が決定していない場合の納める方法

次の勤務先がきまっていない場合は普通徴収方式で納める。ここでの注意点は会社を辞める時期によって納める方法が異なることだ。

1月1日から5月31日に会社を辞めた場合

1月から5月までに会社を辞めた場合、原則その年度分の住民税は最後に支払われる5月分の給料から一括で徴収される。そのため、5月の給料手取り額は住民税未払いの全額を差し引かれた金額になる。

従って他の月より少ない金額になる可能性がある点に注意したい。

なお、支払うべき住民税の額が給料の額より多い場合は、会社が普通徴収への変更手続きを行うことで、追って送られてくる納税通知書や納付書により、自分で市区町村に納める方法に変更もできる。

6月1日から12月31日に会社を辞めた場合

6月1日から12月31日に会社を辞めた場合、会社を辞める月の住民税は今までと同様に給料から天引きで徴収する。会社を辞めた後は残っている住民税を普通徴収に変更して納める。

会社を辞める前に支払い方法の変更を会社に依頼すると、自治体から個人で納めるための納税通知書が送られてくる。また、希望すれば、会社を辞める月から翌年の5月分までの住民税を会社を辞める月の給料または退職金から一括で支払うこともできる。

なお、6月1日から会社を辞めた月までに支払われた給料と退職金に課税される住民税は、翌年に支払に支払う。会社員時代の給料や退職金が高額で会社を辞めた後に収入が少ない場合、翌年に多額の住民税を納めることになる。

納めるのためにお金の準備が必要になる。

普通徴収で気を付けるべきこと

請求金額が高額に感じる可能性がある

重複するが、住民税は前年の課税所得からはじき出される。昨年の課税所得より、今年の課税所得がさがった場合(=年収が下がった)場合、住民税の金額が高額に感じることがある。

特に普通徴収の場合、4半期毎に納める又は年間一括納付だ。特別徴収のように12分割されているわけではない。従って1回あたりの請求額が大きい金額になる。

年収が大きく下がることが事前に分かっている場合は、しっかり納めるための資金も準備しておいた方がよいだろう。

忘れによる延滞金が発生することも

住民税の支払いが遅れると延滞金が発生する。延滞金の計算は納期限の翌日から納付日までの日数に準じる。納付忘れに気づいたら、速やかに収めよう。

ちなみに住民税を納める期限を過ぎても支払わず、20日前後経つと督促状が届く。その督促状からさらに10日以上経過すると財産を差し押さえられる可能性があるとのこと。重ね重ね、納めるのを忘れたことに気づいた時点で速やかに支払うようにしたい。

住民税の負担を軽くするには

住民税の負担を軽くするための手段の1つに「ふるさと納税」がある。『ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度(一定の上限はある。)。

例えば、年収700万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみの場合、30,000円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える部分である28,000円(30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除される』*。

注意したいのはふるさと納税は「来年の」納税額を抑える効果を発揮すること。今年の納税額はかわらないので注意が必要だ。

転職に伴う住民税納付の注意点は

転職は住民税の納め方に大きく影響する。普通徴収と特別徴収の違いを意識しておくことが大切だ。

特に普通徴収の場合は、納付漏れなどに十分配慮しておきたい。納税資金も別途用意しておいた方がよいだろう。

悩んだ際は、ぜひ本記事を参考にしてみてほしい。

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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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