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転職における年金の取り扱いについて

日本には「公的年金制度」の考え方がある。以前に比べて支給年齢が引き上げられているとはいえ、この年金制度は私たちの老後の生活の一助となりうるものだ。

ただこの「年金」にはさまざまな種類がある。今回はこの「年金」に注目して解説していく。

目次

「年金」の持つ意味とは

年金は、大きく2つに分けられる。それが、「公的年金」と「私的年金」だ。

公的年金とはその名前の通り、公的な性質を持つものであり、すべての人がこれに加入している。対して私的年金とは、公的年金の上にさらに積み立てられるものである。公的年金は加入が義務付けられているものだが、私的年金への加入は任意だ。

そのため、「公的年金には入っているが、私的年金には入っていない」という人も多く見られる。

私的年金の種類として「国民年金基金」「個人年金保険」などが挙げられるが、これ以降はだれもが加入しているはずの「公的年金」に焦点をあてて解説していこう。

公的年金は、さらに2つの種類に分けられている。
それが、「国民年金」と「厚生年金」だ。

国民年金とは

「国民年金」は、「基礎年金」とも呼ばれている(以下では「国民年金」の表記に統一する)。

この国民年金は日本に住んでいる20歳から59歳までの人がすべて加入することを義務付けられているものであり、全員がこれに入らなければならない。

低所得者の場合は免除制度なども利用できるが、納めた期間が著しく短ければ、老後に年金の受給ができなくなってしまう。

厚生年金とは

もうひとつの公的年金である「厚生年金」は、会社員などが入ることのできる保険である。国民年金の保険料は一律だが、厚生年金の場合は個人によって納める額が違うという特徴がある。

何よりも大きい違いは、「厚生年金の場合は国民年金とは異なり、その半額を企業側が負担する」という点だ。厚生年金を納める者は、たしかに自分の給料から一定額は引かれるものの、それと同額を企業側が納めてくれているのである。

国民年金か、厚生年金か

なお、自営業者やフリーランスの場合(「第一号保険者」と呼ばれる)は、厚生年金ではなく国民年金を納めることになる。
専業主婦・専業主夫・所得が130万円に満たず扶養されている人の場合(「第三号保険者」と呼ばれる)は、自分で保険料を納める必要はない。

彼女ら・彼らの保険料は、企業に勤めている(扶養している人のこと。第二号保険者と呼ばれる)の加入制度がこれを負担するからである。

公的年金に限っていえば、国民保険と厚生年金の両方を納められる人が、もっとも手厚い年金支給額になる可能性が高いことが分かる。

ちなみに厚生年金の納付額は給与によって異なるが最高額を納めていたと仮定した場合、理論上は国民年金+厚生年金で年間で453万円を超える金額(月額37万円程度)を受け取ることが可能になる、

会社を辞めると年金はどうなる?

会社を辞めてしまった場合、当然のことながら、厚生年金に加入し続けることはできなくなる。ただし、「辞めたから今まで納めた厚生年金はゼロになるし、受給することもできなくなるよ」ということにはならない。

積み立てた厚生年金は、加入期間が1か月以上かつ受給資格期間(国民年金や厚生年金を納めていた期間)が10年以上あれば、たとえ仕事を辞めた後であっても支給される。

会社を辞めた人は、原則として、国民年金の加入の手続きをしなければならない。しかし一部の条件を満たしている場合は、国民年金ではなく、厚生年金の手続きをすることになる。

その条件とは、

  1. 退職した月に、ほかの法人(企業)に転職をした
  2. そもそも離職期間がない
  3. 法人の代表者となる

というケースだ。

なお、国民年金の加入が必要なケースとしては、以下のようなものが挙げられる。

  1. 退職した月の翌月以降に新しい会社に入る
  2. 退職したのち、個人事業主などになる
  3. 退職後、再就職をしない

年金の手続きはなかなか複雑であるため、仕事を辞める前に「自分はどのケースに当てはまるか」を考えておくとよいだろう。

退職後の手続きについて

それでは、転職・辞職に伴い、国民年金に加入する場合はどのように手続きをしたらよいのだろうか。
その手順を見ていこう。

  1. 退職日から14日以内に手続きができるように、年金手帳・印鑑・退職したことを証明する書類(離職票など)を用意する
  2. 上記を持参したうえで、市町村役場などの国民年金窓口に行く
  3. 国民年金への加入手続きを行う
  4. やがて日本年金機構から納付書が送られてくるので、そこに書かれた金額を納める

なお、上記でも軽く紹介したが、国民年金の場合は納める金額が決められている。毎年見直しが行われているが、令和5年3月までは16590円と定められている。

ちなみにこれも軽く触れたが、「転職・辞職によって経済的に困窮し、保険料を納められない」という場合は、

  1. 全額免除
  2. 4分の3免除
  3. 2分の1免除
  4. 4分の1免除
  5. 納付猶予

の処置を受けることができる。免除処理を行うと支給額は下がることにはなるが、「未納」とは異なるため、受給資格期間にはカウントされる。どうしても納められないときは、この方法を使うことをおすすめする。

辞める前にしっかりと「次の行動」を考えておこう!

年金の問題はなかなか把握しにくいものだ。特に、「今までは手続きをすべて会社にお願いしていた」という人の場合は、混乱も大きくなるだろう。

しかし、「分からないからまぁいいか……」「どうせ納めてもそれだけで食べていけるほどの金額をもらえるわけではないし……」と放置してしまうと、後々の生活にまで影響を与えてしまいかねない。

そのため、辞職前にはまず「次に自分の取るべき行動は何か、自分が次に選ぶ選択肢によって年金はどう変わるか」をしっかり考えておかなければならない。

また、状況に応じて専門家の助けを借りるのも有効である。たとえば、日本年金機構では年金相談を受け付けているし、市町村の役場などでもある程度相談に乗ってもらえるだろう。彼らは、「払う意志はあるけれど、どのようにしたらいいか分からない」「払う意志はあるけれど、経済的に困窮していて難しい」という人に対して、丁寧に指導してくれるはずだ。

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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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