外資系保険会社の営業職は月収100万円や年収1000万円を超えることも…そんな情報を求人サイトで目にしたことはないだろうか。
「転職して自分も高収入を得たい」
「転職すれば異性にモテるのでは」
などと、外資系保険会社=高給のイメージから漠然と転職希望を持つ人もいるだろう。一方で「実力が無ければ給料も上がらず、ノルマもきついのではないか」といった不安の声も聞こえてきそうだ。
実際のところ、外資系保険会社の営業職は「成果報酬型」が一般的で、成果次第では高年収も十分に狙える。その反面、成果を上げられなければ報酬ももらえず、収入も大きく下がってしまう。
今回は外資系保険会社の営業職にフォーカスして解説する。記事を最後まで読めば、外資系保険会社の特徴や営業職に転職する際のメリットとデメリットが分かる。年収や転職に向いている人の特徴も併せて紹介するので、転職を検討している人はぜひ参考にしてほしい。
外資系保険会社の特徴と年収
外資系保険会社の特徴および大手7社・おおよその年収について解説する。
外資保険会社の営業職の特徴
外資系・日系を問わず、保険会社の営業職は自分の会社の保険商品を顧客(クライアント)に販売する仕事である。日本の保険会社とは異なる、外資系保険会社の特徴は以下の通り。
保険内容は「オーダーメイド」タイプ
日本の保険会社の商品の多くは、保証内容が固定されたものの中から選ぶ「セット」タイプで売られる。外資系保険会社の場合は「セット」ではなく、クライアント自身が保証内容を選ぶ「オーダーメイド」タイプが主流だ。社員は、クライアントが求める保証内容を聞き出し、それに合ったサービスを提案する。
クライアントは法人・個人の富裕層がメイン
日本の保険会社が一般の個人をターゲットにしているのに対して、外資系は法人(会社組織など)・個人でも富裕層がメインターゲットである。このため大口の契約が得られるなど、契約額が高額になるケースが多い。成果報酬型であれば当然、契約を取った社員の報酬も高くなる。
新規顧客からの契約獲得に特化
日本の保険会社が契約後もクライアントのケアに応じるのに対して、外資系は新規顧客の契約獲得に絞って営業活動を行う。アフターケアは基本的には行わない。
給料は成果報酬型
日本の保険会社の給与体系が基本給プラス歩合制であるのに対して、外資系の多くは成果報酬型の完全歩合制を採用している。また日本的な「年功序列」での昇給はなく「完全実力主義」で給料が決まるのも特徴だ。
外資系保険会社の大手7社
日本で企業活動を行っている外資系保険会社7社を保険料収入順に一覧にした。
順位 | 企業名 | 保険料収入(億円) | 平均年収(万円) |
1 | メットライフ生命 | 19,056 | 833 |
2 | アフラック生命保険 | 13,203 | 692 |
3 | プルデンシャル生命 | 10,613 | 1186 |
4 | ジブラルタ生命 | 9,882 | 655 |
5 | マニュライフ生命 | 9,320 | 594 |
6 | アクサ生命 | 7,350 | 462 |
7 | エヌエヌ生命 | 4,776 | 715 |
マニュライフ生命はカナダ・エヌエヌ生命はオランダの会社。他の5社はすべてアメリカの会社である。これらの会社は求人サイトの掲載数も多い。
年収の平均は700~800万円
外資系保険会社全体の平均年収は700〜800万円。業種全体の平均年収443万円と比較すると、世間一般のイメージ通り高給と言える。ただし、あくまで平均値なのであることに注意が必要だ。
前述のプルデンシャル生命の場合、平均年収は1186万円だが、変量は200万円〜3500万円とかなりの幅がある。「完全実力主義」たるゆえんである。
外資系保険会社の営業はきつい?転職した場合に考えられるメリットとデメリット
外資系保険会社の営業は「きつい」「やばい」という評判が気になる人のために、転職した場合に考えられるメリットとデメリットを4つずつ解説したい。どちらを重視するかで判断を下すのもよいだろう。
4つのメリット
- 実力次第で収入が上がる
外資系企業の給与体系の多くは、日本企業で一般的な「基本給」「各種手当」「年功序列」ではない。「成果報酬型」の完全実力主義を採用しているため、契約を多く獲得できれば新入社員でも高い収入を得られる。月収100万円・年収1000万円も決して不可能ではないだろう。 - 営業の実務能力が得られる
外資系保険会社の営業はコンサルティング業に似たスタイルのため、仕事をしながら傾聴力や提案力が身に付けられる。これらの能力は、他の業界に進んだ際にも活かせる「ポータブルスキル」であるため、将来のキャリアアップに繋げることも可能だ。 - 勤務時間が自由
好きな時に出社し退社できる「完全フレックス制」を採用している会社が多い。成果さえ上げることができれば、オフィスに居る時間が少なくても問題はないだろう。 - 異性に「モテる」可能性がある
一般的に高給のイメージがある職種(外資系・大手商社・MRなど)に就いている人は、異性から好かれる(モテる)可能性が高い。ただし、成果を上げてイメージ通りの高い給料を得ていることが前提であることは言うまでもない。
4つのデメリット
- 勤め続けても収入が上がらない可能性がある
日本企業のように「年功序列」ではないため、成果を上げられなければ収入も上がらない可能性は否めない。「完全実力主義」の負の側面といえる。 - 休日でも仕事をしなくてはならない場合がある
外資系保険会社のクライアントは経営者や役員・個人の富裕層がメイン。彼らの都合に合わせてフレキシブルに対応することが求められるため、場合によっては休日であっても対応しなくてならない。 - 退職金や各種手当が支給されないケースも
外資系保険会社は家族手当や住宅手当などを支給しないケースが多い。退職金の支払いがない会社もある。転職先を決める際にはしっかりリサーチしておこう。 - 保険や金融の知識が求められる
保険の営業をするためには「保険募集人」の資格を取得しなければならない。また、保険商品を売るためには、保険のほか金融の知識も必須だ。そのため保険募集人に加えFPなどの専門資格取得も視野に入れる必要がある。
外資保険会社に向いている人の特徴と2つの転職方法
外資系保険会社の営業職に向いている人の特徴3つと、転職するための方法2つを以下に紹介する。
こんな人は向いている!3つの特徴
- キャリアアップしたい人
外資系保険会社の営業は、法人や富裕層を相手にした「保険のコンサルティング業」ともいえる。自社の商品やサービスを売るスキルはもちろん、クライアントのニーズを引き出す傾聴力・交渉力、ベストな選択を提案するプレゼン力などの修得が期待できる。 - 自分の実力に自信があり能動的に仕事ができる人
外資系保険会社の営業職の多くは「完全実力主義」のため、継続的に契約を取っていく自信がある人には最適の職種だろう。また、成果を上げるために能動的に営業を仕掛けていく「攻め」の姿勢も求められる。自ら進んで仕事を取っていくことが得意な人も向いている。 - 前職で築いた人脈が豊富な人
すでに前職で人脈を築いている人は、その人脈の中から新規顧客を探せる。契約を得るチャンスが増えるため、人脈が豊富な人ほど保険営業には有利である。
外資系保険会社に転職する2つの方法
外資系保険会社に転職する方法は以下の2つ。
- ヘッドハンティング
前職の取引先や知人から「うちの会社に来ないか」と直接、入社をオファーされるのが「ヘッドハンティング」。外資系保険会社の営業職では珍しくない採用方法である。大幅な待遇アップが期待できる一方で、オファーを受けるまで待遇や雇用条件の詳細が分からない場合も多い。逆に収入が下がるリスクがある点には注意しておきたい。 - 「転職エージェント」などの転職サービス
ネットで検索すれば「転職求人サイト」や「転職エージェント」など様々な転職サービスがヒットする。その中から自分のニーズに合うサービスを利用して転職に繋げる方法である。
外資系企業への転職には転職サービスの利用も視野に
外資系保険会社の営業職の多くは「成果報酬型の完全実力主義」だ。「新規顧客の獲得」という成果さえ上げられれば、高いインセンティブ(成果報酬)が得られ収入の大幅なアップも期待できる。
外資系保険会社に転職するなら、ヘッドハンティングを待つよりも自ら積極的に「転職サービス」を活用することを勧めたい。金融関係なら、保険業界のほかに「IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)」に特化した転職サービスもある。ぜひ能動的にリサーチしてほしい。