転職活動で有効なアピールとなるのが、専門資格の保有だ。業務に関する資格を取得していることは、専門知識を有していることの証明にもなる。
そこで本記事では、保険会社へ転職する際に役立つ資格について紹介していく。転職後に必須となる資格についても解説するため、ぜひ転職活動を行う際の参考にしていただきたい。
保険会社へ転職するなら取っておきたい資格
保険会社への転職にあたって、必須となる資格はない。保険の販売にあたって必要となる資格は、入社後に取得するためだ。しかし、転職活動では次のような資格を取得しておくことで、専門知識を保有していることのアピールとなる。
・ファイナンシャル・プランニング技能士 ・AFP・CFP ・年金アドバイザー ・相続アドバイザー |
それぞれどのような資格か詳しく解説していこう。
ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャル・プランニング技能士は「FP資格」とも呼ばれ、国家資格のひとつである。1〜3級までの段階があり、できれば2級まで取得しておくことが望ましい。
ファイナンシャル・プランニング技能検定では、生命保険や損害保険の制度だけでなく、税制や相続、年金制度など幅広い分野が試験範囲となっている。保険会社へ転職すれば、ただ保険商品を販売するだけでなく、それぞれの顧客に適したライフプランの形成をサポートする必要がある。ファイナンシャル・プランニング技能士の取得で得た知識は、よりよい顧客への提案を行う上で欠かせないものとなるだろう。
なお、ファイナンシャル・プランニング技能士の試験は、毎年1月・5月・9月の年3回の開催となっている。(1級は毎年9月のみ)転職活動に向けて計画的な取得を目指そう。
AFP・CFP
AFP・CFPもFP資格の一種であり、日本FP協会が付与する民間資格である。ファイナンシャル・プランニング技能士と同様に保険や税制、金融商品、相続など金融に関する幅広い知識が得られる資格だ。AFP・CFPでは、実践的な知識の取得にも力を入れているため、転職活動では専門スキルのアピールにもつながるだろう。
なお、AFPの取得にあたっては、2級ファイナンシャル・プランニング技能士の取得が必須となっている。ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を保有していない場合は、まず前述のファイナンシャル・プランニング技能検定から受験するようにしよう。
年金アドバイザー
年金アドバイザーは銀行業務検定の一種で、経済法令研究会が付与する民間資格だ。2〜4級の段階があり、2級もしくは3級を取得しておくことがおすすめである。
年金アドバイザーでは、年金の種類や支給要件、制度の仕組みについて学ぶことができる。保険会社の営業では、将来の年金について不安を抱える顧客と接することも多い。その際に年金制度についての知識を有していることは大きな強みとなる。
試験日程は3級が年2回、2級が年1回となっており受験機会が多くないため、計画的な取得を目指そう。
相続アドバイザー
相続アドバイザーも年金アドバイザーと同様に銀行業務検定の一種で、経済法令研究会が付与する民間資格である。2・3級の段階があり、まずは3級から取得するとよいだろう。
相続アドバイザーでは、相続に関する税制や法令、実務について学ぶことができる。特に生命保険を取り扱う保険会社では、相続に関する知識が必要不可欠である。顧客に対して適切なアドバイスを行うためには、ぜひ取得しておきたい資格だ。
試験日程は3級が年2回、2級が年1回となっており、年金アドバイザーと同じ日程で開催される。基本的には年金アドバイザーが午前、相続アドバイザーが午後に行われることが多いため、ダブル受験も可能である。どちらも実務で役に立つ資格であるため、計画的に学習に取り組もう。
なお、試験時間については変更となる可能性もあることから、前もって銀行業務検定の公式サイトで確認しておくことがおすすめだ。
保険会社への転職後に必須の資格
保険会社へ転職したら、保険商品の販売に必要な資格を取得することとなる。生命保険会社と損害保険会社では必要な資格が異なるが、難易度としてはどれもあまり変わりない。保険会社での販売業務に必要不可欠な資格であるため、入社後にどのような試験が待っているのかしっかりと理解しておこう。
生命保険募集人
生命保険募集人は、生命保険の販売に必須の資格である。生命保険募集人資格は複数の課程に分かれており、取得した課程によって販売できる保険が異なる。
なお、前職で生命保険募集人資格を取得していても、退職と共に資格が失効してしまうため、再度受験しなければならない。ただし、2年以内の転職であれば、手続きによって資格を復活させることが可能だ。(専門・応用・大学に限る)
一般課程試験
一般課程試験では、生命保険に関する基礎的な知識の取得を目指す。保険会社でも基礎研修が実施されるが、一般課程の取得によって初めて保険の販売資格が与えられることとなる。
試験はCBT方式で開催され、通年受験ができる。ファイナンシャル・プランニング技能士を取得していれば、それほど難しい試験ではないだろう。
専門課程試験
専門課程試験では、一般課程で取得した知識をもとに、より実践的な知識について学ぶ。保険の販売業務に関する知識も取得できるため、実際の業務に役立つスキルが身につけられる試験である。
専門課程試験もCBT方式で開催され、通年受験が可能であるが、受験可能回数は年3回となっている。1回で合格できるよう、しっかりと学習を進めよう。
なお、専門課程試験に合格すると「ライフ・コンサルタント(略:LC)」の称号が与えられる。
応用課程試験
応用課程試験では、専門課程試験で得た知識をさらに深堀りし、顧客のライフプランニングに必要なスキルを身につけることを目的としている。
試験はCBT方式で開催され、随時受験が可能である。ただし、専門課程試験と同様に年3回までしか受験できないため注意しよう。
なお、応用課程試験に合格すると「シニア・ライフ・コンサルタント(略:SLC)」の称号が付与される。
変額保険販売資格試験
変額保険を取り扱う保険会社では、変額保険販売資格試験の合格も必須となっている。変額保険販売資格試験の受験にあたっては、「生命保険募集人として協会に登録済みである」、「専門課程試験に合格している」などの条件をクリアする必要がある。したがって、「一般課程試験→専門課程試験→変額保険販売資格試験」の順番で受験することとなる。
試験はCBT方式で、随時受験が可能だ。変額保険販売資格試験についても年3回までの受験となっているため、他の課程と同様に計画的に学習を進めよう。
外貨建保険販売資格試験
米ドル建てや豪ドル建てなど外貨建ての保険を取り扱う保険会社であれば、外貨建て保険販売資格試験の取得も求められる。外貨建て保険販売資格試験は、2022年度からスタートした新しい資格で、外貨建て保険の販売は登録者のみに限定されるようになった。
受験にあたっては変額保険と同様に、「生命保険募集人として協会に登録済みである」、「専門課程試験に合格している」などの条件が設けられているため、「一般課程試験→専門課程試験→外貨建保険販売資格試験」の順番で受験することとなる。
損害保険募集人資格
損害保険を取り扱う保険会社では、損害保険募集人資格の取得が求められる。損害保険募集人資格は、商品ごとに単位が分かれており、業務に必要な単位を選択して受験する仕組みだ。
・基礎単位 ・自動車保険単位 ・火災保険単位 ・傷害疾病保険単位 |
例えば、自動車保険のみを取り扱う保険会社であれば、基礎単位と自動車保険単位を取得することとなる。取得しなければならない単位については、所属する保険会社から指示があるため、その指示に従って受験しよう。
保有資格は目に見える強み
保険会社への転職にあたって、必須となる資格は特にない。しかし、保険会社の営業ではただ商品を販売するだけでなく、顧客のニーズに寄り添ったライフプランの形成をサポートする必要がある。そのためには、税制や年金制度、相続、金融商品など幅広い知識が欠かせない。
ファイナンシャル・プランニング技能士やAFP・CFP、銀行技能検定では、保険会社での実務に役立つ知識が取得できる。転職活動でも専門知識を有していることのアピールになるため、ぜひ積極的に資格取得を目指そう。
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