「転職の際は資格を取得していたほうが役に立つ」と考える人も多いだろう。しかし、その資格は本当に必要なのだろうか。
必ずしも「資格=転職に有利」ではなく、自身のキャリアや仕事の目的に沿った資格取得が大前提だ。
資格は活用できなければ意味がないし、面接官に「なぜその資格を取得したのか」と思われては、自身のブランディングがうまくいっていないと言っても過言ではない。
本記事では、転職で本当に役立つおすすめの資格を6つまとめた。なお、本記事の対象は現在金融機関に勤務している人や金融機関への転職を検討している人である。
それ以外のビジネスパーソンでも、本記事で紹介する資格は、キャリア形成の上で取得するとプラスになるはずだ。
転職で資格を取得する3つのメリット
転職の際、資格取得によって得られるメリットは、大きく分けて以下の3点だ。
- スキルや知識を客観的にアピールできる
- 選択できる業種や業界の幅が広がる
- 年収アップが狙える
スキルや知識を客観的にアピールできる
特定の資格を取得することで、転職活動の際にスキルや専門的な知識を客観的にアピールできる。
履歴書の資格欄に記載できるという意味でも、面接官の目に留まりやすいだろう。
実績や経験は数値でアピールできるものの、スキルを具体的にアピールするのは難しい。その点、資格を取得していれば公的なお墨付きをもらえる。
応募した企業に求められる資格であれば、積極的に取得すべきだろう。
選択できる業種や業界の幅が広がる
業務内容によっては、特定の資格がないと行えないものもある。弁護士や看護師に限らず、不動産取引における宅建士(宅地建物取引士)など、資格が必要な業種も少なくない。
資格取得によって、転職の際に選択できる業種や業界の幅を広げられるのも大きなメリットだ。転職先の企業が上記のように資格が必須の場合は、転職中に取得して熱意をアピールできるだろう。
- どの企業にもニーズのある資格
- 時代の変化で需要が変わらない資格
- 専門性の高い資格
業務を行うのに資格が必須でなくとも、上記に該当する資格なら、ビジネスパーソンとしてのキャリア形成にプラスにはたらくはずだ。
年収アップが狙える
特定の資格を保有していないと業務ができないなどの場合、資格手当が支給されるケースもある。その結果、年収アップに直結するのもメリットの一つだ。
資格手当が出なくとも、応募先で活かせる専門性の高い資格を取得していれば、雇用条件の交渉材料になる。
今までのキャリアを踏まえ、資格を掛け合わせて相乗効果を狙えるような資格が最も理想的だ。スキルを掛け合わせて市場価値の高いビジネスパーソンになるためにも、戦略的に資格を取得しよう。
取得する資格を選ぶ際の注意点3選
取得した資格は、すべてが転職に有利にはたらくわけではない。取得する資格を選ぶ際は、以下の3点に注意しよう。
- 職種・業界によって必要な資格は異なる
- 難易度や取得までの期間を考慮
- 目的意識を明確にして本当に必要か検討する
職種・業界によって必要な資格は異なる
当然のことだが、職種や業界によって必要な資格は異なる。そのため、資格をむやみやたらに取得するのはやめておこう。
職種によって有利となる資格は異なるため、関係ない資格を取得するために時間をかけるのは非効率だ。機会損失につながるだけでキャリアアップにつながらないのは、自身のブランディングに失敗しているのと同義である。
あなたにとって、転職を希望する企業が「未経験職種・業界」「同職種のキャリアアップ」なのかで、必要となる資格は異なる。
そもそも資格を取得しなくてよい可能性もあるため、まずはキャリアプランを明確にしよう。
難易度や取得までの期間を考慮
資格の取得は、前提知識の量やそもそものレベルによって難易度が大きく異なる。また、資格取得までの期間(一般的な学習時間)も異なり、独学では対応できない場合には講座受講費用などの経済的負担も発生する。
こうした資格取得の難易度や取得までの期間なども考慮し、取得する資格は慎重に検討すべきだ。
「資格を取得したものの、実務では役に立たなかった」という事態は避けたいし、資格取得にかけた金銭的・時間的コストが無駄になりかねない。
転職するにあたってその資格が必要不可欠なら、資格取得を検討すべきだろう。
目的意識を明確にして本当に必要か検討する
資格の取得は、目的意識を明確にし、必要かどうかは入念に検討すべきだ。
- 転職先で求められるスキルは何か
- 資格がないと仕事はできないのか
- 今後のキャリアに役立つか
- その資格取得に時間をかける価値はあるか
転職活動において、キャリアには一貫性があるほど説得力を出しやすい。取得した資格とキャリアに違和感があると、むしろマイナスな評価を抱かれかねないから注意しよう。
転職に必要な資格の取得に集中すれば時間効率は改善されるし、機会損失のリスクも下げられるだろう。
金融機関関係者が取得すると役立つおすすめ資格6選
金融機関に携わっている、もしくは携わりたいと考えている人が取得すると役立つおすすめの資格を6つピックアップした。
- 簿記2級
- FP技能士
- 証券アナリスト
- 中小企業診断士
- 社会保険労務士
- 宅地建物取引士
キャリアは人それぞれだが、上記の資格なら汎用性も高く、取得すればプラスにはたらくはずだ。
簿記2級
簿記2級(日商簿記検定)は、日本商工会議所が実施する簿記試験・資格のことだ。
経営活動を記録・計算・整理して、財務状況を明らかにするのが簿記である。簿記2級の取得は、経営業務を把握できるスキルの証明になり、会計の仕組みや習熟度を示せる資格だ。
金融関係業務はもちろん、あらゆる企業の会計業務であれば有利にはたらく資格である。
日常的な企業会計業務や決算業務、財務関係の業務で広く役立つため、取得して損することはないだろう。
FP技能士
FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士は、資産運用や不動産、相続、ライフプランの設計に関する資格だ。FP技能士は1級を取得すれば独立の際にも役立つだろう。
実務レベルでは、FP技能士2級の取得を目指したい。FP技能士は「お金に関する専門家」というイメージも強く、金融や保険業界はもちろん、不動産などの幅広い業種で需要のある資格だ。
金融に関連する職業に従事するのであれば、FP技能士資格の取得はもはや必須だろう。
証券アナリスト
証券アナリストとは、投資の助言や投資管理サービスを行うための、高度な専門知識を保有していることを証明できる資格だ。
証券アナリストには、証券投資情報の分析と、投資評価を行うためのスキルが必須である。金融系の資格としてはトップクラスの難易度と言われ、3年以上の実務経験が必要という点でも希少性の高い資格の一つだ。
金融業界からのニーズは極めて高いため、中長期的な視野で資格取得を目指すとよいだろう。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営課題に対する診断や助言を行う専門家資格。コンサルタント系の資格としては、国が認める唯一の資格という意味でも特徴的だ。
経営に関する幅広い知識が求められ、試験科目も経済や財務、会計、経営法務などと広範に渡る。企業のコスト削減に関する提案や、利益を上げるための助言など、コンサルティング業務に従事できるようになる。
金融機関で培った知識を活かし、コンサルティング業務にキャリアチェンジ・キャリアアップしたい人は検討してもよいだろう。
社会保険労務士
社会保険労務士は、人事管理に関する代表的な資格だ。
- 雇用者の健康保険・労災保険
- 雇用保険の加入給付手続き
- 就業規則
- 賃金管理
上記などを扱う社会保険労務士は、企業内部の雇用管理が仕事の中心となるスペシャリストで、法務・人事関連の資格はどの企業でも役立つ。
金融や会計業務から派生して、人事関連のキャリアを歩みたい人にとっては目指す価値のある資格だろう。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産取引に欠かせない国家資格である。
不動産業を営む企業では、従業員の一定割合で宅地建物取引士を配置しなければならない。法律上定められていることから需要は絶えずあり、資格手当が支給される可能性のある資格だ。
金融と不動産は比較的関連性も高く、FP技能士との親和性もあると言える。宅地建物取引士も、取得して損することはないはずだ。
転職に関する資格取得は目的意識がとくに重要
資格の取得は、転職活動に有利に働くこともあれば、むしろマイナス評価になる場合もある。
資格は実務に活かせてはじめて意味があるのであって、取得しただけでは意味がない。まずは自身のキャリアプランを明確にして、どんな仕事がしたいのか、仕事の幅を広げるために資格が必須なのか検討しよう。
取得する資格次第では、あなたのキャリアに箔を付け、転職を有利に進めてくれるはずだ。目的意識をはっきりと持ち、さまざまなコストをかけて取得する価値があるか慎重に検討しよう。