「入社初日」「転職初日」は、だれもが非常に緊張するものだ。またこの日に、どんな服装をしていけばよいか迷う人も多いのではないだろうか。
そんな人のためにここでは、「入社初日・転職初日にしていくべき服装」について解説していく。
「初めの印象」がその後も尾を引くことを忘れないで
まず知っておいてほしいのは、「入社初日・転職初日のときの服装が、その職場での『あなたの印象』を決定づける」ということだ。
人間にとって「初めての印象」は非常に強烈なものである。もちろん後で挽回することは不可能ではないが、入社初日・転職初日に悪い印象を持たれてしまうと、それを覆すことはかなり難しい。特にあなたが30代以降の転職者であり、場にそぐわない服装をしていったのならば、「いい年をしているのに、こんな服装で来るなんて常識がないのか」「前の仕事場で何を学んだんだろう」と思われてしまわれかねない。10代などの、「まだ社会的な常識が分かっていないことが許容される年齢」とはわけが違うのである。
また、もうひとつ留意しておきたいことがある。それが、「たとえ制服のある職場であっても、入社初日・転職初日は、その日にしていった服装のまま一日を過ごすことが多い」という点だ。
もちろん入社初日・転職初日からすぐに制服を貸与される職場もゼロではないが、「まだあなたの制服が着ていないから、来るまではその服装で」「ちょうど良いサイズがないから、そのままの格好で」と言われることはかなり多い。
そのためおかしな服装をして行ってしまった場合、周りの視線を気にしながら、そのままの服装で一日を過ごさなければならなくなる可能性が高いのだ。
確信が持てないのであればスーツが無難
それでは、入社初日・転職初日はどのような服装をしていけばいいのかについて考えていこう。
もっとも無難なのは、「ビジネススーツ」である。ビジネススーツはまず間違いのない服装であり、どんな職場にも適用できる。いわゆる「おしゃれな人」という印象は持たれないかもしれないが、少なくともマイナスの印象は持たれない。このため、迷っているのならば、男女ともにビジネススーツを選ぶのがよい。
稀に「入社初日・転職初日はジャケットで」と勧めているサイトもあり、これもまた間違いではないが、職場の雰囲気がまだ分からない……という場合は、やはりビジネススーツを選んだ方が無難だろう。
ビジネススーツは、灰色や紺色などの色を選ぶとよい。また、深い藍色などでも構わない。それ以外の色のビジネススーツは派手な印象を与えやすいので避けるべきだ。
なお、女性の場合はパンツスーツがよいか、それともスカートスーツの方がよいか? という疑問も持ちあがることも多いが、これに関してはどちらでも構わない。なおスカートの場合は、短すぎるものや長すぎるものは避けて、ひざ丈程度の長さのものを選ぶと失敗がないだろう。合わせるストッキングはベージュ・肌色が無難だ。
インナーの色に関しては、白色を選ぶのがもっとも確実である。薄い色ならば水色などを選んでも大きな問題になりにくいが、迷ったのならば白色を選んでおくと一番間違いがない。
入社初日・転職初日の服装は、「自分が目立つために選ぶもの」ではない。「社会人としての一般的な常識を持っていること」を伝えるためのものである。そのため、珍奇なものであったり、目立つことを目的としたものであったり、派手なものであったりしてはならない。「迷ったのならば無難な服装で」を守ろう。
オフィスカジュアルがOKな企業ならこれも認められる
上記では「入社初日・転職初日の服装」としてビジネススーツを挙げたが、会社によっては「オフィスカジュアルでOKです」としているところもある。
この「オフィスカジュアル」という言葉は、だれもが一度は耳にしたことのあるものでありながら、定義づけがなかなか難しい言葉だ。ただそれでも努力して説明しようとするのであれば、「フォーマルすぎない服装ではあるが、ビジネスの場にふさわしい清潔感を持っており、だらしない印象を与えず、露出が少ない服」ということになるだろう。
男性の場合はジャケットや襟付きのシャツ、女性の場合はブラウスやきれいめのパンツ(スカート)がオフィスカジュアルの一例としてよく取り上げられている。
靴は、パンプスや革靴がよいだろう。「スニーカーでも構わない」としているところもあるが、入社初日・転職初日の場合は避けた方がよいだろう。どうしてもスニーカーを選びたいということであれば、レザー素材のものを選ぶと軽くなりすぎない。
オフィスカジュアルは、ある意味では「一般的な服装=ビジネススーツ)」よりも解釈が難しいものだ。そのため、企業側が「オフィスカジュアルで良い」としている場合は、事前にその職場の人がどのような服装をしているかを確認しておくとよいだろう。
初日の印象を良くするために押さえておきたい服装のポイント
入社初日・転職初日にしていくべき服装は、「目立ちすぎないものであり、かつ社会人としての常識を持ち合わせていることを伝えられるもの」でなければならない。そのため、男女ともにビジネススーツを選ぶのが無難である。オフィスカジュアルでも構わないとされている場合はもちろんオフィスカジュアルを選んでも問題はないが、その場合は事前に一度社内の人がどんな服装をしているかを確認しておいた方がよいだろう。
「入社初日・転職初日」は、仕事のなかでもっとも緊張する日かもしれない。「失敗がないように」「悪い印象を抱かれないように」と考えて、ガチガチになってしまう人も多いことだろう。しかし入社初日・転職初日が来る前に、「その日はどんな服装をしたらいいのか」「その日はどのように振る舞ったらいいのか」を考えておくことで、その緊張は緩和されるはずだ。
なおキャリアコンサルタントは、「転職に至るまでの過程」を支えてくれるだけではなく、「入社初日・転職初日の振る舞い」についてもアドバイスをくれる存在だ。入社初日・転職初日を迎える前に、お世話になったキャリアコンサルタントに「どんな服装をしていけばいいか」を聞いてみるのもよいだろう。