転職する理由は人それぞれだが、給料が低すぎる点を挙げる人もいるだろう。同業種であっても環境が異なれば、好待遇を受けられることもある。給料が少なかったことを理由に転職する人は1割未満だが、1割以上給料が上がった人は3割程度存在する。
ただ、給料が上がればうれしいが、上がりすぎると逆に怖いと感じてしまうかもしれない。そこでこの記事では、転職で年収が上がる人の割合や上がる理由、年収アップを目指す場合のポイントと注意点を解説する。
転職で年収が上がる人の割合
転職する理由はさまざまだが、「仕事のわりに給料が少ない」点を挙げる人もいる。厚生労働省「令和3年雇用動向調査」によると、「給料等収入が少なかった」を転職理由に挙げた人の割合は、男7.7%、女7.1%だった。
そのほか具体的に挙げている理由として、「定年・契約期間の満了(男16.5%・女12.3%)」、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった(男8.0%・女10.1%)」、「職場の人間関係が好ましくなかった(男8.1%・女9.6%)」、「会社都合(男7.3%・女7.8%)」、「会社の将来が不安だった(男6.3%・女4.5%)」などがある。
次に賃金変動状況別割合を確認する。転職により給料が増加した人の割合は、34.6%だった。3人に1人は給料が上がったことになる。1割以上給料が上がった人の割合は23.7%で、「25~29歳」(33.6%)が最も多く、「20~24歳」(33.3%)、「30~34歳」(28.6%)と続く。25~34歳の層で給料アップが期待できるともいえる。
なお、転職により給料が減少した人の割合は35.2%で、給料が減った人も同程度いる。自分に合った仕事を見つけたいなど、給料アップが転職の理由でなければ、多少の給料ダウンは気にしないかもしれない。
給料1割の増加について簡単に考えると、仮に前職の年収が600万円だとしたら、年収660万円になる。2割の上昇で年収が120万円アップする。1割なら月5万円、2割なら月10万円アップするので、人によっては、「年収が上がりすぎて怖い」と感じるかもしれない。
しかし、実際に転職で1割以上アップした人が3人に1人いるため、珍しいことではないとわかる。
転職で年収が上がりすぎるケース
前述の調査によれば、給料が1割以上アップする可能性があり、特に30歳前後で転職すると給料が上がる可能性が高い。年収が上がるのは理由があり、その理由をまとめる。
前職の給料が平均以下だった
年収が上がりすぎると感じる理由に、前職の給料が、業界給料平均を下回っていた可能性がある。転職により平均的な給料がベースになり、それまで培った経験やスキルの評価分が上乗せされれば、「年収が上がりすぎ」と感じるかもしれない。
また成長している企業への転職であれば、前職が業界平均の給料であったとしても、給料が大きく上がる可能性がある。同じ業界であっても、業績や規模によって給料は異なるため、年収アップを目指して転職するのもいいだろう。心配なら統計データから業界の給料平均を調べるとよい。
経験やスキルを高評価された
どのような経験やスキルを重視するかは企業によって異なる。特定のスキルを持つ人材が不足している企業であれば、評価は高くなる。
経験やスキルのみで給料を上げるためには、保有者が少なくなければならないが、ほかの要素と合わせた総合判断であれば、給料が上がる要因となるだろう。
転職サイトを利用した
転職サイトを利用し、転職エージェント・アドバイザーを活用した場合には給料が上がる可能性がある。転職サイトによっては好条件の非公開求人を抱えており、利用した人にしか紹介されない。
給料アップを条件として伝えやすく、転職の専門家にアドバイスをもらいながら転職活動をするため、経験やスキルが給料に反映されやすくなる。
年収アップを目指すポイントと注意点
年収が上がりすぎて怖いと思えるほど、給料が上がるのは珍しくないかもしれないが、誰でも同じような状況になるわけではない。しかし、転職をするなら少しでも年収アップの可能性を探りたいと考える人も多いのではないだろうか。
すぐに転職しなければならない人を除き、転職まで時間があるなら、どのような経験やスキルが業界に求められているか調べてみるとよい。どうすれば給料を上げられるかのヒントになるだろう。また転職フェアなどのイベントは、転職希望者だけではなく、何となく興味がある人でも参加できる。時間を見つけて、参加すると刺激を受けるかもしれない。
このように早い時期から転職に関する情報を集め、業界で求められる経験やスキルを積めば、転職では高評価されるだろう。
ただし、年収が上がればよいというわけでもない。年収は上がったが、福利厚生は必要最小限しかなく、残業は多く、有給休暇も自由に取りにくいという状況であれば、長続きしないだろう。おもな転職理由が給料アップだとしても、総合的に判断して転職先を選ぶ必要がある。
転職活動は考えなければならないことも多く、今後の生活に影響することから、転職アドバイザーを利用したほうが、希望通りの転職先が見つかる可能性がある。金融機関への転職を希望しているなら、特化型の転職サイトIFA転職を利用してみよう。IFA転職では好条件の非公開求人を扱っており、金融機関の実情に詳しい専門家が転職アドバイザーとしてサポートしている。
適正年収かどうかは情報収集して判断する
転職活動をしていると、「年収が上がりすぎて怖い」と感じる人もいれば、「給料が低すぎて転職できない」と考える人もいるだろう。この場合、業界や業種の適正年収を調べると納得できることがある。
適正年収は、前述したように統計データで確認できる。また適正年収を算出できるツールが一般公開されているので、情報収集して総合的に適正年収かどうかを判断するとよい。