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信託銀行への転職事情|業務内容・業界動向から見る将来性について解説

信託銀行は、顧客から預かった財産を管理・運用する「信託」によって利益を得る銀行である。

信託業務や付随する業務では高い専門性が要求されるが、やりがいや将来性の面で考えると、働きがいのある仕事だと言えるだろう。

当記事では信託銀行への転職を検討する方に向け、業務内容や年収などの転職情報をお伝えする。

目次

信託銀行はどのような仕事を行うのか|業務内容について

信託銀行は、銀行が本来行う銀行業務に加えて、信託業務・併営業務も行う少し特殊な銀行である。信託業務を行う銀行の大手としては、次の組織が挙げられる。

・三井住友信託銀行
・三菱UFJ信託銀行
・みずほ信託銀行
・野村信託銀行
・りそな銀行
・SMBC信託銀行

基本となる銀行3業務は次の通りだ。

預金業務個人や法人からお金を預かる
貸付業務預かったお金の一部を用いて法人への融資や個人の住宅ローンなどの貸付を行う
為替業務入出金・公共料金支払いなどの口座間のお金の移動やその他の代理業務を行う

以下では信託業務・併営業務の概要や具体的な業務内容、平均年収など、信託銀行への転職で知っておきたい基本情報を解説する。

信託業務と併営業務

信託業務は信託銀行のメインとも言える業務で、顧客から預かった財産を管理・運用する仕事である。一方で併営業務は、財産の管理・処分など、信託業務に付随して発生する仕事である。それぞれの詳細を見ていこう。

信託業務

信託銀行における信託業務とは、個人・法人(委託者)の財産を信託銀行(受託者)が預かり、個人・法人の代わりに管理・運用・処分する仕事のことである。財産は現金・債権・不動産・有価証券などが該当する。

要は、顧客の財産を代わりに管理・運用して利益を出し、その利益の一部を手数料として受け取るのが信託銀行のビジネスモデルだ。資産運用の知識や市場に関する分析力といった、専門知識が求められる業務だと言える。

なお、実際に利益を受け取る受益者は委託者と異なるケースもあるが、ここでは解説を割愛する。

併営業務

併営業務とは、信託業務を行うための兼営の認可・業務・監督などについて定めた、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(兼営法)」に規定される業務のことである。信託銀行を含めた、信託兼営金融機関のみに許可されている。

財産を信託する際、相続・事業承継が絡んだり不動産・有価証券などを含む信託が発生したりなどの状況が多く見られる。そこで併営業務として、信託と関係が深い遺言書・不動産・証券などに関する業務を行う。

信託銀行の具体的な業務内容

信託銀行における信託・併営業務の具体的な業務内容は次の通りである。

投資信託財産の販売・管理投資信託(個人投資家などかた集めた資金を専門家が代わりに運用して運用益を分配する商品)の販売・管理
財産形成信託・勤労者財産形成促進制度に基づき、賃金から天引きで積立金を控除して貯蓄を行う信託商品の取り扱い
・使い道自由の「財産形成貯蓄」、持ち家の取得や増改築を目的とする「財産形成住宅貯蓄」、年金受取を目的とする「財産形成年金信託」
証券代行業務株式発行会社の株主名簿管理人として名簿管理・配当金計算・方制度改正への対応などの株式実務や、その他会社に関するコンサルティング
不動産業務不動産の仲介・分譲、不動産の受託・管理、不動産の有効活用に関する提案・コンサルティング
年金事業年金資産の管理・運用、年金数理計算、企業年金の積立などの年金に関する業務
遺言関係・遺言書作成の相談・遺言書の保管などの遺言信託業務
・相続財産目録の作成・遺産分割手続きなどの遺産整理業務

銀行業務と合わせると、信託銀行の業務内容は非常に多岐にわたる。顧客の多様なニーズを踏まえつつ、その時々に適したサービスや商品の提案を行うのが、信託銀行のやりがいであり難しい点だと言えるだろう。

信託銀行の転職事情まとめ|将来性などを考察

ここからは昨今の金融業界の情勢や求人の傾向などを踏まえ、信託銀行への転職事情として将来性などを考察した。転職を検討する際の参考にしていただければ幸いである。

信託銀行の市場は拡大傾向|将来性はあり

近年では高齢化社会による老後の資産形成の必要性や、物価高騰による資産の目減りなどが要因となり、日本の一般層からも資産運用の重要性が注目されている。

そうした背景から、信託銀行は今後もニーズが拡大されると予想されており、それに伴う信託銀行の将来性は明るいと予想できる。

実際にNIKKEI COMPASSの信託銀行の業界概要(2022年12月)の調査によると、信託財産総額は1,500兆円を突破し、10年連続で最高を更新した。信託業界自体が、徐々に拡大を続けている。

AIによる業務代替は信託銀行でも起こる可能性はある

信託銀行の業務においても、他の銀行業務と同じくAIの導入・活用が進められつつある。

実際に資産運用アドバイスや市場分析、住宅ローン審査などの業務は、AIによる代替やサポートが進んでいる。今後もAIによる融資判断などが導入される見込みであり、みずほ銀行などのメガバンクでは人員整理の傾向があるのも事実だ。

今後は、AIに置き換えられる簡単な事務などの求人は減少し、AIで代替がまだ難しい専門的な業務やAIを管理・改善できるIT系の求人が増える可能性があるだろう。

信託銀行の求人事情や求められる人材の考察

専門性の高さが目立つ信託銀行の求人募集は、原則として金融や不動産業界経験者を優遇する傾向にある。資産運用アドバイザーなどの専門職は、実務経験に加えて証券外務員やFP資格、生命保険募集人などの資格を持つ方が歓迎される求人が多く見られた。

また近年では、銀行のDX(デジタルトランスフォーメーション)化やグローバル展開によって、英語力やITスキルを持つ人材が求められている。実際にTOEIC600点以上を歓迎する求人や、サーバ基盤の企画・設計・構築などに関する実務経験が求められる求人の募集が確認できた。

信託銀行への転職を成功させるポイント

信託銀行への転職を成功させるポイントは、「信託銀行で求められるスキルを理解しアピールすること」「転職活動の基本を理解すること」「未経験から目指すなら正社員以外で実務経験を積むこと」の3点が挙げられる。

信託銀行で求められるスキルを理解しアピールする

信託銀行で求められるスキルを理解し、的確にアピールすることおよび足りないものは取得することが、信託銀行への転職を成功させるポイントである。

信託銀行で求められるスキルは、主に次の通りである。

・金融商品への理解や興味
・顧客が「財産を託せる」と思ってくれる誠実な人柄
・顧客ニーズを引き出すヒアリング力やニーズに応える提案力
・資産運用・不動産・相続・年金などの専門知識
・金融市場の分析力
・新規顧客を開拓したりリピート率を高めたりができる営業力
・FPや証券外務員などの金融系資格の取得

転職活動時には、自身がこれらのスキルを持っていることを、採用担当者へ具体的に伝えよう。

転職活動の基本を理解する

いくら優れたスキル・資格を持っていたとしても、採用担当者から「この人とは一緒に働きたくない」と思われては、内定を得ることはできない。

転職活動の際は、次の基本を意識しよう。

・転職理由を明確にし、応募する企業の基準や志望動機を固めておく
・自己分析やキャリアの棚卸しなどで、自分の強み・弱みや実績などを洗い出しておく
・履歴書や職務経歴書などの書類は具体的かつわかりやすい書き方・レイアウトを意識する
・企業研究や面接練習などの面接対策は怠らない
・面接官のときは堂々とした態度でハキハキと話し、面接官へポジティブな印象を与える(尊大な態度には注意)
・伝える内容はエピソード化や定量化(数値化)などで具体的にしておく
・矛盾した内容や虚偽の話はしない

これらができた上で前述したスキル・資格をアピールすれば、採用担当者からの印象は非常によくなるはずだ。

信託銀行への転職なら転職エージェントの利用も検討しよう

信託銀行への転職を検討するなら、転職エージェントの利用を検討するのもよいだろう。書類添削や面接対策などの転職サポートや、非公開求人の紹介などを無料で実施してくれる。

とくに金融系に特化したサービスであれば、他の求人サイトでは募集のない信託銀行求人や、企業の内部情報・市場動向などの情報を確認できる。専門性が求められる信託銀行への転職においては、大きな力となってくれるはずだ。

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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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