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中堅証券から転職で後悔しないキャリア戦略と準備ガイド

先に結論
  1. 中堅証券の「泥臭さ」はKPIに落とし込めば、転職市場で希少な武器になる。
  2. 看板に頼れない環境で数字を作った突破力は、大手出身者には語れない再現性の証明だからだ。
  3. 読み終えた時点で、職務経歴書に何を書くかまで決まっている状態を目指す。

「このまま中堅証券にいて、自分の値段はどうなるんだろう」——ノルマを回しながら、ふとそう考えたことがあるなら、あなたは少数派ではない。登録外務員は全国で46.2万人。同じ不安を抱えている人間は、想像よりずっと多い。

ただ、不安の正体を分解しないまま動くと失敗する。大手の看板がない分、泥臭く数字を作ってきた経験は確かにある。問題は、その泥臭さを「再現可能なスキル」に書き換えられるかどうかだ。

書き換えさえできれば、中堅証券の経験は武器になる。その手順を、これから一つずつ潰していく。

この記事の監修者

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松岡 隼士

アドバイザーナビ株式会社 代表取締役

野村證券で富裕層向けの資産承継・M&A業務を経て、2019年にアドバイザーナビ株式会社を共同創業。IFA/金融人材に強みを持つ転職支援・コンサルを牽引。

目次

中堅証券からの転職先:3系統×職種別に「勝ち筋」を見極める

中堅証券からの転職先は3つの系統に分かれる。金融フロントに残る、隣接金融に広げる、顧客本位の現場に移る。どれを選ぶかは「何を手に入れたいか」ではなく「何を差し出せるか」で決まる。3系統それぞれのリターンと、引き換えに受け入れるものを先に見ておこう。

金融フロントでキャリアを伸ばす(銀行・信託・運用)

銀行・信託銀行・運用会社への移動は、証券の営業経験がもっとも直接的に転用できるルートだ。富裕層への資産管理提案、相続・事業承継の入口としてのアプローチなど、対面スキルがそのまま活きる。

金融業・保険業の所定内給与は月額41万600円で産業別の上位にあり、年収レンジを大きく落とさずに移れる可能性がある。

ただし、引き換えに受け入れるものがある。KPIの書き換えだ。

証券はフロー型(売買回転)、銀行はストック型(残高積上げ)で評価される。このリズムの違いに適応できず、最初の半年で「やってもやっても数字に反映されない」と焦る転職者は少なくない。

たとえば、証券なら週単位で成果が見えたのに、銀行では四半期の評価サイクルまで手応えがつかめない。入社前に評価サイクルと目標設計を具体的に聞いておきたい。ここを怠ると、半年後に「証券のほうがまだマシだった」と感じるケースが実際にある。

隣接金融へ広げる(M&A・コンサル・PE・外資IB)

M&A(企業の買収・合併を仲介する仕事)、経営コンサルティング、PE(未公開株式投資ファンド)、外資系投資銀行。年収の上振れ余地が最も大きい領域だ。証券のリテール営業で「経営者と直接話してきた経験」は加点要素になる。

その分、入口のハードルは高い。M&Aなら財務モデリングとバリュエーション(企業価値の算定)、コンサルなら仮説検証の型、外資IBならビジネスレベルの英語力が必要になる。「興味があります」で通る世界ではない。

応募前に半年の学習期間を見込んで動くほうが現実的だ。面接官にとって「興味がある」と「勉強を始めている」の差は決定的に大きい。

職種ごとに評価されるポイントは以下の通りだ。

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転職先必須経験加点経験面接での問い
銀行・信託対面営業・リスク説明富裕層対応・相続提案なぜ証券ではなく銀行か
M&Aアドバイザー経営者折衝・財務分析事業承継の提案経験案件進行の具体的イメージ
コンサル論理的思考・仮説検証業界分析の経験構造化して考える力の証明
外資IB英語・財務基礎IPO/M&A関連案件なぜ外資IBか

M&Aアドバイザリーでは、中堅証券のリテールで中小企業オーナーを担当していた場合、事業承継の悩みを聞いてきた経験そのものが武器になる。

コンサルが面接で見ているのは業界知識ではなく思考の型だ。顧客のポートフォリオを見直した経験があるなら、「なぜ見直しが必要だったか」「どんな選択肢を比較したか」「結果どうなったか」の順で語る練習をしておくと、ケース面接への準備になる。

顧客本位で働く(IFA・保険・資産運用)

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)や保険代理店。「ノルマに追われず、顧客の利益を軸に提案したい」——この動機は真っ当だ。ただ、自由には値札がついている。

IFAは完全歩合型が多く、手数料収入がゼロの月もあり得る。収入の安定と引き換えに自由を取る選択だという認識が前提になる。

「顧客本位」の看板で食いつなげるかどうかは、準備の精度で決まる。最低でも半年分の生活費を確保し、新規開拓の具体的な見込み件数を出してから飛び込むのが堅い。

3系統の判断軸チェック

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判断軸金融フロント隣接金融顧客本位
リターン年収維持+安定年収の上振れ余地裁量と自由度
引き換え評価制度への適応専門スキル習得の時間収入不安定期
評価KPI預金・ローン残高等案件成約・PL貢献手数料・預り資産
WLB比較的安定繁忙期は長時間自己管理次第

まずはどの系統が自分に合うかを決めてしまおう。どの系統を選んでも、次に必要になるのは「自分の経験をどう語るか」だ。

ここでは中堅証券の強みを活かしやすい3つの系統を紹介したが、SaaSや異業種など、より幅広い選択肢を検討したい場合は、以下の記事で業界別の詳細を解説しているため参考にしてほしい。

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転職で評価される中堅証券の強みをKPIで言語化する

証券業協会の会員264社、従業員は約8.5万人。中堅証券出身者は珍しくない。「大手じゃないから不利」と感じるのは自然な反応だが、不利かどうかは語り方次第だ。

埋もれないためにやるべきことは一つ。

「会社の看板で売れたのではなく、自分の力で売った」と証明することだ。

社格に頼らず売った実績をKPI化する

「数字を出せ」と言うと、たいていの人は「新規○件、達成率○%」と書く。それでは大手出身者と同じ土俵に乗るだけで、勝てない。

中堅証券が語るべきは数字そのものではなく、その数字を出すためにどんな壁を突破したかという物語だ。

たとえば、知名度のない社名で電話を切られる環境で、どう信頼を作り、1件の有効商談をひねり出したか。これが「悪条件での突破力」になり、大手出身者には逆立ちしても語れないKPIになる。

棚卸しの切り口を、悪い例・良い例で対比してみる。

項目NG(数字だけ)OK(突破の物語付き)
新規開拓月間新規アポ15件社名で切られる環境で、業界セミナー登壇を起点に月15件の有効アポを構築
成約率成約率25%初回面談で断られた先に3回訪問し提案を修正、成約率を15%→25%に改善
預り資産年間1.2億円増既存顧客からの紹介導線を仕組み化し、預り資産を年1.2億円積み上げ
クレーム年間3件対応損失発生時の初動対応ルールを提案し、支店のクレーム長期化をゼロに

「何件やった」ではなく「なぜその数字を出せたか」を書く。この差が、書類通過率を分ける。

金融知識は「提案の型」に落とし込む

証券の知識をそのまま語っても異業種には刺さらない。面接官が知りたいのは「知識をどう使って壁を越えたか」だ。使い方を見せるには、以下の4ステップに分解するとわかりやすい。

  1. 顧客の課題をヒアリングで特定する
  2. 複数の選択肢から最適解を絞る
  3. リスクとリターンを数字で説明する
  4. 契約後のフォローで継続関係を構築する

「課題→選択肢→リスク説明→フォロー」。この流れは、コンサルでもIT営業でもそのまま通用する。知識の「中身」ではなく「使い方」を見せる意識を持とう。

コンプライアンス経験を武器にする

意外な武器がある。コンプライアンス(法令遵守)だ。証券会社の会員が預かる資産は644兆円超、個人口座は3,743万口座にのぼる。この規模の資産を扱う現場で事故を起こさなかった実績は、どの業界でも評価される。

適合性の確認、重要事項の説明記録、社内監査への対応。特にフィンテックやスタートアップでは、コンプライアンス体制を一から構築できる人材が不足している。

「ルールを守っていた」で終わらず「なぜそのルールが存在するかを説明できる」レベルまで言語化しておくと、面接での説得力が変わるだろう。

リテールとホールセールで強みを分ける

リテール(個人向け)とホールセール(法人向け)では、転職先に響くポイントが違う。両方の経験があっても、応募先の職務要件に寄せて一本に絞ったほうが印象は強い。

  • リテール経験が活きる場面:拒絶からの信頼構築プロセス、富裕層心理の理解(IFA・保険・銀行リテール向け)
  • ホールセール経験が活きる場面:意思決定者への提案力、案件規模の大きさ(M&A・PE・外資IB向け)

強みの言語化ができたら、次は年齢によって戦略がどう変わるかを見ていく。

中堅証券会社からの年代別の転職戦略:20代〜40代で狙いを変える

25歳と40歳では、転職市場で「売れるもの」がまったく違う。金融業・保険業の給与カーブは30代から急上昇する。このカーブを手放すリスクと、新しい環境で得られるリターンを天秤にかけるのが年齢別戦略の本質だ。前章の3系統と重ねて読んでほしい。

20代はポテンシャルで異業種へ

  • 狙い目:コンサル、IT法人営業、フィンテック系スタートアップなど。前章の3系統でいえば、隣接金融にも顧客本位にも手が届く年齢だ。
  • 落とし穴:「なぜ辞めるのか」「短期離職ではないか」の2点が必ず問われる。現職での成果をKPI化し、「ここまでやったうえで次に進む」と語れる完了形のストーリーを準備しておこう。

30代は専門性と年収を守る

  • 狙い目:M&A、銀行本部、PE、専門職ポジション。
  • 落とし穴:金融業・保険業の30代前半の所定内給与は月額約36万円。異業種ではこの水準を維持しにくい。M&Aやコンサルへの挑戦は30代前半がラストチャンスに近い。具体的なアクションとしては、志望先3〜5社の募集要項を並べ、共通して求められる経験・スキルを洗い出す。そこと自分の経歴の「重なり」がどれだけあるかで、年収を守りながら専門性を伸ばせる先が見えてくる。

40代はマネジメントと顧客基盤を示す

  • 狙い目:IFA、管理職候補、事業会社の金融関連ポジション。
  • 見られるポイント:個人技ではなく「チームで成果を出した仕組み」が評価される。支店長や課長として部下を育成した経験、売上管理の仕組みを構築した経験が中心になる。顧客との信頼関係は武器になるが、顧客情報の持ち出しは絶対にNGだ。「○○業界の経営者層との関係構築に強みがある」という抽象度で語ろう。

転職の分岐点は「やりたい」より条件

「やりたいこと」が見つかるまで動かないのは悪手だ。数字に追われる現場でそれを見つけるのは難しい。

先に固めるべきは譲れない条件だ。勤務地、最低年収、残業時間。都道府県別の有効求人倍率は最高1.80倍から最低0.84倍まで幅がある。勤務地を変えるだけで選択肢の数は激変する。

条件を決めれば、前章の3系統×年齢の組み合わせで応募先は自然に絞れる。「やりたいこと」は、絞り込んだ選択肢の中で見えてくるものだ。

中堅証券からの転職で落ちないための職務経歴書・面接の鉄則

書類で落ちる人に共通するのは「何をやったか」しか書いていないことだ。採用側が知りたいのは「どうやったか(工夫)」と「再現できるか(学び)」の2点。ここを補強するだけで印象は変わる。

職務経歴書は成果を数字と再現性で書く

読み手の脳内に入りやすい構成がある。

  1. 成果(Result):数字で示す(例:目標達成率120%)
  2. 行動(Action):何をしたか(例:週3回の勉強会を主催)
  3. 工夫(Strategy):なぜその行動をとったか(例:チームの提案力底上げのため)
  4. 学び(Learning):次にどう活かせるか(例:組織的な営業力強化のノウハウ)

前章で言語化した「悪条件での突破力」を、この4項目に当てはめるだけで説得力が出る。看板のない環境で信頼を作り、数字を積み上げたプロセスをこの型で書き直せば、中堅証券の泥臭さが再現可能なスキルに変わる。

面接で「辞める理由」を未来志向にする

現職の不満をそのまま語ると「不満があると辞める人」と見なされる。「○○が嫌だった」を「○○を実現したい」に書き換えよう。

場面NG(不満ベース)OK(未来ベース)
退職理由ノルマがきつくて疲弊した顧客起点の提案を軸に長期的な成果を出したい
退職理由会社の将来性に不安がある成長市場で専門性を活かしキャリアの幅を広げたい
退職理由上司のやり方に納得できない裁量を持って提案し自分の判断で成果を出したい

不満を隠す必要はない。ただ、不満を「実現したい未来」に書き換える手間をかけたかどうかで、面接官の評価は変わる。

中堅証券の経験が伝わる自己PRの型

「大手ではないので知名度はありませんが……」という謙遜は不要だ。中堅ならではの強みに言い換える型がある。

①どういう環境で(看板に頼れない中堅証券で)→②何を成し遂げたか(具体的な数字と行動)→③それは御社でどう再現できるか(応募先の課題に接続する)。この「環境×成果×再現性」の三点セットで語れば、社格の不安は消える。

未経験転職で刺さる志望動機の作り方

異業種への志望動機で「御社の理念に共感した」は何も伝えていないのと同じだ。刺さる志望動機は3つの要素で構成される。①相手の業界・企業が抱える課題、②その課題に対して自分の経験がどう貢献できるか、③入社後の具体的な行動計画。

たとえば、フィンテック企業への志望動機なら「貴社が拡大を目指すシニア層向けサービスにおいて、証券営業で培った対面提案力と富裕層心理の理解で貢献できると考えている。入社後90日で既存サービスを理解し、改善提案を出すことを目標にする」——具体性が、未経験のハンデを超える。

NG→OK変換テンプレ

場面NG表現OK表現
自己PR大手ではないですが……看板に頼れない環境だからこそ、○○の工夫で成果を出した
志望動機御社に興味がある御社の○○課題に対し、自分の○○経験で貢献できる
弱み経験が浅い現在は未経験だが、○○の学習計画を進めている
将来像成長したい3年後に○○の領域で○○ができる状態を目指す

型を持っておけば、面接本番で慌てない。書類と面接の準備が固まったら、退職前に潰しておくべきリスクがある。

中堅証券から転職前にやるべきコンプライアンス確認

どれだけ完璧な準備をしても、退職時の情報管理で一つ踏み外せば全部が台無しになる。キャリアを守るために、ここだけは冷静にチェックしておこう。

絶対必須のチェック3点

  • 顧客情報の完全消去:リスト、提案資料、名刺データ、メール転送——すべて持ち出し禁止だ。「自分が担当した顧客だから」という意識が一番危険で、個人端末やクラウドに1件も残さないようにしたい。退職後に漏洩を疑われれば、法的措置と転職先での信用喪失が同時に来る。
  • 外務員資格の再登録確認:転職先が金融商品を扱う業態であれば、再登録が必要になる。空白期間に制限があるかどうかも含め、日本証券業協会の最新規程で直接確認しておこう。
  • インサイダー情報の管理:在籍中に知り得た未公開情報に基づく売買は、転職活動中であっても金融商品取引法で禁止されている。面接で前職の内部情報を求められても「守秘義務の範囲で回答する」と明言する。これはリスク回避であると同時に、信頼の証明になる。

できれば確認したい損得項目

  • 退職金と有休:退職のタイミングで数十万円単位の差が出る。2023年の全産業の年休取得率は65.3%で、3割以上が有休を残したまま退職している可能性がある。就業規則を確認し、有休消化スケジュールは退職交渉の段階で上司と合意しておきたい。
  • 競業避止義務:転職先に制限がないか、誓約書の内容を確認する。
  • 社会保険と年金の切替:退職日と入社日の間に空白が生じる場合、手続きが必要になる。

いずれも就業規則と個別の雇用契約で内容が異なる。一般論ではなく自社の規程を確認するのが確実だ。ここをクリアしたら、最後に条件交渉と入社後の立ち上がりを詰めよう。

転職後に後悔しないために条件交渉を詰める

内定が出た瞬間はゴールではなく、スタートラインだ。「こんなはずじゃなかった」を防ぐために、オファー面談で条件と環境を詰めよう。

年収の「構造」を確認する

提示額が同じ600万円でも、「固定500万+変動100万」と「固定300万+変動300万」では生活の安定度がまったく違う。金融業・保険業の平均給与は702万円で全業種平均478万円を大きく上回るが、これは業界平均であり、転職先がこの水準とは限らない。確認して損はない項目を挙げておく。

  • 固定給と変動給(賞与・インセンティブ)の比率
  • 評価サイクル(成果が給与に反映されるタイミング)
  • KPIの設定方法(自分でコントロールできる指標か)
  • 昇給の上限と、実際のモデルケース

年収の「額」ではなく「構造」を理解しておくだけで、入社後の後悔は大幅に減る。

オファー面談で条件交渉の優先順位を決める

すべての条件を交渉しようとすると失敗する。戦略は「譲れない条件を1〜2個だけ通す」だ。事前に「これだけは譲れない」を1点決め、それ以外は柔軟に対応する姿勢を見せるほうが、結果的に良い条件を引き出しやすい。

オファー面談で聞いて損はない質問がある。

  • 入社後の評価サイクルと初回評価の時期
  • KPIは誰がどのタイミングで設定するか
  • 試用期間中の条件変更の有無
  • チームの平均在籍年数(カルチャーフィットの手がかり)
  • 成果が出ないときのフォロー体制

入社後最初の30日で信頼の土台を作る

「試用期間」は、会社があなたを値踏みする期間だ。最初の30日で「立ち上がりが早い」という印象を作れれば、2か月目以降のハードルが下がる。

  • 人間関係:チーム全員と1on1で顔を合わせ、名前を覚える
  • ルール把握:業務フロー、社内システム、稟議の流れ、暗黙のルールを最速で掴む
  • 小さな成果:どんなに小さくてもいい。一つ目の成果を早期に出す

逆に、ここで受け身になると「期待外れ」のレッテルが貼られかねない。最初の30日だけは、意識的にギアを上げて動こう。

まとめ

最初にやるべきことは、自分の経験を棚卸しして「数字だけの実績」を「突破の物語」に書き直すことだ。前章のNG→OK表を使って職務経歴書の1行目を書き換えてみてほしい。それが終わった時点で、転職活動は半分終わっている。

3系統の中から自分の系統を決め、年齢に合った戦略を立て、退職前のリスクを潰す。順番に進めていけば、「後悔しない転職」は十分に射程圏内に入る。準備が完璧になる日は来ない。動きながら整えるほうが現実的だ。

情報収集には、金融業界に強いエージェントを2〜3社並行して使うのが効率的だ。1社だけでは求人が偏りやすい。無料の面談で市場価値を確認するだけでも、現状の立ち位置が見えてくる。

中堅証券会社からの転職相談でよくある質問

中堅証券から転職は在籍何年目が有利?

3〜5年目が目安になる。「一通りの業務を経験した」と評価されやすい期間だ。ただし年数より「何を成し遂げたか」のほうが重要で、1年目でも明確な成果があれば通るし、10年在籍でも語れる実績がなければ苦戦する。

転職で年収が下がるのは普通?

金融業・保険業の平均給与は全業種平均より200万円以上高い。異業種に出ればダウンの可能性はある一方、金融圏内(銀行・IFA等)なら維持〜アップも十分あり得る。見落としがちなのは「固定給と変動給の比率」で、額面が同じでも変動部分が大きければ安定性は下がる。

異業種転職で資格は必要?

応募先の業種と職種による。コンサルやIT営業では資格より論理的思考力と営業実績が評価される。M&Aや専門職では財務分析の知識がプラスになる場面もある。「とりあえず資格」ではなく、志望先の募集要項を見て必要なものだけ準備するのが効率的だ。

転職エージェントは複数使っていい?

2〜3社の並行利用を勧める。エージェントによって保有求人や得意業界が異なるため、1社だけでは選択肢が偏りやすい。注意すべきは、同じ求人に複数のエージェントから応募しないこと。応募先の管理は丁寧に行おう。

転職前に顧客情報の扱いで注意することは?

一切持ち出さない。顧客リスト、提案資料、契約書コピー、メール転送、名刺データすべてが対象だ。退職後に漏洩を疑われれば、法的措置と転職先での信用喪失が同時に来る。会社の情報は会社に残す——これだけは徹底しよう。

※本記事の数値情報は2024〜2025年公表の公的統計に基づく。最新情報は各公式サイトで確認してほしい。

出典一覧

この記事を書いた人

平 行秀のアバター 平 行秀 代表取締役社長

野村證券に新卒入社。国内営業部門で多数の役員表彰等を獲得しロンドンへ特別研修生として留学。2019年にアドバイザーナビを創業し、累計100名以上のIFAへの転職を支援。得意な担当領域は外資系プライベートバンク、ウェルスマネジメント、大手証券の次席・次長・筆頭クラスからIFAへの転職支援。

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