顧客の資産を守るパートナーとして注目を集めている「IFA」。真に顧客目線でのアドバイスができるため、プライベートバンクからIFAへ転職を検討している人も多い。
本記事では、IFAの概要やプライベートバンクから転職するメリットについて解説していく。転職先として選ばれているIFA法人も紹介していくため、ぜひ転職活動の際の参考にしていただきたい。
IFAとは?
近年日本で耳にすることが増えたIFAは、どのような職種なのだろうか。
まずは、IFAの特徴や概要を押さえていこう。
金融機関から独立した存在
IFAは「Independent Financial Advisor」の略で、日本語では「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と訳される。「独立系」という名称からも分かるように、金融機関から独立した存在であることが特徴だ。
「金融機関から独立した金融アドバイザー」と聞くと、FP(ファイナンシャルプランナー)が思い浮かぶ人が多いかもしれないが、IFAはFPと違って金融商品仲介業者としての登録を受けている。
そのため、具体的な金融商品の提案・販売を行うことが可能だ。
IFAは、金融先進国である欧米ではすでに広く知られた存在で、近年は日本でもその知名度が上昇している。
日本証券業協会によると、2023年6月末におけるIFAの人数は約6,500人となっており、年々右肩上がりに増加している。
営業ノルマが課されない
IFAの大きな特徴として、「営業ノルマが課されない」という点が挙げられる。
通常、金融機関の営業職では半期ごとの営業ノルマを課されることが一般的だ。当然顧客の意向を第一とした営業活動を行うものの、企業利益と顧客の意向の間で板挟みになることも少なくない。
「顧客の意向ばかり優先していると、なかなか数字が上がらない」と悩んだ経験がある人も多いだろう。
その点、IFAは特定の金融機関に所属していないため、所属先の営業方針や営業ノルマに影響されることがない。顧客の意向を第一に考えた営業活動を行うことが可能だ。
雇用形態はさまざま
IFAは、個人事業主としてIFA法人と業務委託契約を結ぶことが一般的だ。業務委託契約は自由度が高いことが魅力で、出社時間なども決められていないことが多い。
ただし、最近では正社員としてIFAを雇用する法人も増えてきている。正社員は福利厚生が充実していることや、給与が安定していることが魅力だ。
IFA法人によって雇用形態がさまざまであるため、自分のライフスタイルや意向によって働き方を選べるのも特徴のひとつである。
IFAでも充実してきている富裕層向けサービス
プライベートバンクからIFAへの転職を検討する際、「取扱商品が限定的でプライベートバンクでの経験を活かしにくい」と感じていた人もいるかもしれない。
しかし、最近では富裕層向けサービスが充実してきていることから、プライベートバンクで培った知識や経験を活かす場が整っている。具体的な例として、下記のようなサービスが挙げられる。
- 私募ファンド
- 証券担保ローン
- 専用サービス
それぞれくわしく紹介していこう。
私募ファンド
私募ファンドとは、一部の限られた投資家に対して募集される金融商品である。
具体的には、不動産ファンドや非上場企業に対して投資するファンド、顧客の投資意向を反映する仕組債などが挙げられる。
私募ファンドは公募ファンドに比べてリスクが高いことから、かつてはプライベートバンクで取り扱われることが主流だった。
しかし、最近では私募ファンドを取り扱うIFA法人も増えており、より幅広い顧客のニーズに応えることが可能となっている。
証券担保ローン
証券担保ローンとは、株式などの証券を担保として融資を実行するローン商品である。「保有している証券を売却したくないけど資金調達が必要」というときに便利な借入方法だ。
基本的には証券会社が取り扱うことが多いが、最近ではIFAが取り扱うケースも増えている。
たとえば、法人代表者の顧客からの相談を受けるとき、個人資産の運用だけでなく、法人の資金調達の需要に対応できることが強みだ。
専用サービス
IFAのなかには、富裕層向けの専用サービスを提供する例も見られる。
たとえば、東海東京証券では「オルクドール」と呼ばれる会員サービスを提供している。オルクドールでは、会員専用のプライベートサロンや、税理士・会計士への相談など、金融サービス以外にもさまざまなサービスを提供していることが特徴だ。
IFA法人についても不動産会社や税理士、会計士などと提携しているところが多く、顧客のライフプランに寄り添いながら幅広い提案ができる魅力がある。
プライベートバンクと比較したIFAの違い
プライベートバンクとIFAには似通った部分が多いが、主に次のような点に違いがある。
- 商品ラインナップ
- 顧客層
- 報酬
- 雇用形態
- 利用のハードル
それぞれくわしく解説していこう。
違い①商品ラインナップ
プライベートバンクとIFAの違いとして、まずは商品ラインナップが挙げられる。
プライベートバンクでは主に自社商品が中心で、提案できる商品が限られている特徴がある。
一方、IFAは複数の証券会社と提携していることが多く、さまざまなラインナップから商品を比較して提案することが可能だ。
顧客にとっても比較対象が広がるメリットがあり、より納得感を持って商品を選定してもらえるメリットがある。
違い②顧客層
プライベートバンクとIFAでは、顧客層にも大きな違いがある。プライベートバンクは一定の資産を持つ富裕層をメイン顧客としており、中には利用顧客に保有資産の条件を設けていることも少なくない。
IFA法人にも富裕層をメインとしているところがあるが、資産形成層の若年層をメインとしているところもあり、富裕層だけのサービスではない。
「これから資産を築いていく人のサポートをしたい」、「若い人のマネーリテラシーを向上させたい」という人にとっては、IFAの方が活躍の場が広がるだろう。
違い③報酬
報酬も大きな違いのひとつだ。IFAは雇用形態によって報酬形態が大きく異なる。
たとえば、業務委託での契約の場合は、インセンティブ方式が採用されていることが多く、自分の頑張りによって報酬が変動する。その分「収入が安定しない」というデメリットはあるものの、会社員時代に比べて収入アップを期待できるメリットもある。
また、正社員や契約社員では固定報酬制が採用されている場合が多い。インセンティブ制は収入アップが狙えるメリットがあるが、手数料を優先した営業となってしまう懸念がある。
その点、固定報酬制では一定の収入が約束されているため、真に顧客目線でのアドバイスが実現できる特徴がある。IFA法人によって雇用形態や報酬制度が異なるので、転職の際はよく比較してみることがおすすめだ。
違い④雇用形態
前述の通り、IFAには業務委託と社員の2つの雇用形態がある。
業務委託は個人事業主として働くこととなるため、自由度が高いことが魅力だ。基本的に自分で勤務スケジュールを立てられるため、ライフスタイルに合わせて働けることが特徴である。
また、オフィスへの出社についても基本的には不要としているところが多い。最低限の出社頻度を設けているところもあるが、毎日オフィスへの出社が求められることは少ない。
違い⑤利用のハードル
顧客目線で見ると、利用のハードルも大きな違いだ。プライベートバンクは富裕層をターゲットとした金融サービスであることから、利用の際は審査が行われることが一般的だ。
IFA法人のなかにも顧客の資産水準を設けているところがあるものの、若年層をメインとしているIFA法人もあり、プライベートバンクほどハードルは高くないといえる。
「より多くの顧客と関わりたい」という人にとっては、IFAの方が働きやすいといえるだろう。
プライベートバンクからIFAへ転職するメリット
プライベートバンクからIFAへ転職するメリットとして、主に次の3点が挙げられる。
- 収入アップを狙える
- 自由な働き方を選べる
- 顧客への提案の幅が広がる
それぞれくわしく紹介していこう。
メリット①収入アップを狙える
IFAへ転職するメリットとして、「収入アップが狙えること」が挙げられる。
業務委託のIFAとして働く場合、多くは完全歩合制の報酬制度となる。自分の頑張りが報酬へ直結するため、会社員の給与と比べて大幅な収入アップとなる可能性もある。
これまで決められた給与のもとで働くなかで、「自分の頑張りと給与が見合わない」と感じた経験がある人もいるだろう。
しかし、業務委託のIFAでは自分の仕事と報酬が直結することから、報酬面でやりがいを感じられるメリットがある。
メリット②自由な働き方を選べる
業務委託のIFAは、働き方の自由度が高いことも魅力だ。最低限の出社頻度が定められていることはあるものの、基本的には自分で勤務時間を決めて働くことができる。
オフィスには必要なときだけ出社すればいいため、自分でスケジュールを組んで働くことが可能だ。
そのため、子育てや介護などの事情によって「フルタイムで働くことが難しい」という人でも、自分のライフスタイルに合わせて働ける魅力がある。
メリット③顧客への提案の幅が広がる
プライベートバンクでは主に自社で取り扱う商品のみの提案となるが、IFAでは提携している複数社の商品を提案することが可能だ。
これまでプライベートバンクで働くなかで、「顧客の悩みに応えられる商品がない」、「この商品性であれば、他社商品のほうが魅力的だ」と感じたことがある人もいるだろう。
しかし、当然他社商品を紹介することはできないため、「本当に顧客の役に立ってるとはいえないのではないか」と悩むこともあったかもしれない。
その点、IFAでは複数社の商品を取り扱っていることから、顧客のニーズに合わせてより最適な商品を提案できるメリットがある。
多くの商品を提案できることは、顧客のニーズに応えられる幅の広さにもつながるため、「もっと顧客の役に立ちたい」という自分の意欲も満たすことが可能だ。
プライベートバンクからIFAへ転職する人が選ぶ法人は?
当サイト「IFA転職」では、IFAへの転職を多くサポートしている。その中で、多くの人から転職先として選ばれているIFA法人を紹介していこう。
株式会社ひびきFA
ひびきFAは、富裕層を中心とした金融サービスを提供しているIFA法人だ。金融商品の提案だけでなく、生命保険の提案や相続対策、事業継承、M&Aなど幅広い相談に対応していることが特徴である。
雇用形態は正社員もしくは契約社員で、正社員は「固定給+インセンティブ」、契約社員は完全インセンティブ制の報酬形態となっている。社会保険制度も整っているため、「個人事業主ではなく、正社員や契約社員として働きたい」という人に向いているIFA法人だ。
また、ひびきFAは現在全国7つの拠点(東京、名古屋、大阪、金沢、広島、福岡、鹿児島)を設けており、全国各地で働けることも魅力である。
ジャパンウェルスアドバイザーズ株式会社
ジャパンウェルスアドバイザーズには、「プライベートアドバイス」と「資産づくりコース」の2つのコースがあり、富裕層から資産形成層までさまざまな顧客層を抱えている。
ジャパンウェルスアドバイザーズでは、原則業務委託での契約となっており、「自由度を高めて働きたい」、「個人事業主として働きたい」という人におすすめのIFA法人だ。
また、ジャパンウェルスアドバイザーズはあかつき証券が親会社となっており、独立支援に積極的なことも特徴だ。将来IFA法人の立ち上げを検討している人は、ジャパンウェルスアドバイザーズで支援を受けるのもよいだろう。
ヴァスト・キュルチュール株式会社
ヴァスト・キュルチュールは、プライベートバンカーが立ち上げたウェルスマネジメントファームである。ただ顧客の資産を増やすだけでなく、資産保全や資産継承に対するアプローチを行っており、プライベートバンクでの経験を活かしやすいことが特徴だ。
また、非営利法人や研究機関への寄附を取り次ぐフィランソロピーにも力を入れており、社会貢献に関心の高い富裕層のニーズにも応えられる。
雇用形態は正社員と業務委託の2種類があり、自分の意向に合わせて選べる点が大きな魅力である。
IFAへの転職は「IFA転職」へご相談を
金融業界におけるIFAの存在感の高まりを受けて、プライベートバンクからIFAへ転職する人が増加している。
IFAへの転職を成功させるためには、自分のライフスタイルや意向に合ったIFA法人を見つけることが重要だ。
当サイト「IFA転職」では、累計100人以上のIFAへの転職を支援しており、豊富なノウハウを提供しています。
IFAへの転職をご検討されている方は、どうぞお気軽にご相談ください。