・大手証券FA・FA職とIFAの違いは何か?
・なぜFAの方がどんどんIFAになっているのか?
・大手証券FAとIFAの今後はどうなるの?
ここ数年、大手証券会社における「FA制度」の廃止などのニュースが相次ぎ、が廃止され、今後の金融キャリアについて悩んでいる人が多いだろう。
これまで長きに渡り証券会社の看板を背負い、地域に根ざしたファイナンシャルアドバイザーとして活躍してきたものの情勢の変化や会社方針の転換にて「FA制度」が先細りしている。
その中で、注目されているのが証券会社から独立をした立場で金融アドバイスを行うことができる「IFA(Independent Financial Adviser)」だ。ここ数年、大手証券会社にてFAとして働いていた方々が大量に転身している。
なぜ多くのFAの人がIFAへ転身しているのか?
それは、働き方や給与形態が類似しているだけでなく、IFAならではの特徴に魅力を感じる人が多いためだ。会社都合の商品提案がなかったり、定年制度がなく、年齢に関わらず定年後も働くことができるなど、制度が整っており大手証券会社のFAよりもIFAとしてのキャリアの方がお客様と長い関係が築けるのではないかと思い転身する人が増加しているのである。
一方で、IFAへの転身はメリットだけではない。大手証券会社の看板がなくなることや安定した給与所得がない可能性もあることなどデメリットも存在する。
本稿では、今大手証券会社のFAとして働いておりIFAとしてのキャリアを考えている方が、FAとIFAの違いやIFAに転身することによるメリットとデメリット、さらにはFAとIFAの今後について理解していただけるような記事となっている。
大手証券FAからIFAになりたい相談が多い理由
ここ数年大手証券FAからIFAへの転身が増えていると言われているが、大手証券FAという安定した立場を捨ててIFAに挑戦する理由はどういったものが挙げられるのだろうか。
ここではその理由を最も多い3つに分けて解説していく。
証券会社の経営方針と合わない
大手証券FAを退職しIFAに転身を検討する人の理由で最も多いのがこの「証券会社の経営方針と合わない」というものである。
その中でも、直近の大手証券の構造改革により毎年のように経営方針が変更されることが大きな悩みとして挙げられる。
経営方針がストック収入偏重や手数料収入偏重へ毎年のように変更されると、それに基づいた指示が現場へおろされるため、顧客への提案内容にも多大なる影響が出るとの声が多い。
顧客との長期にわたる関係性を最も重要視する大手証券のFAの人たちからするとこれは相当な心理的な負担となる。
また、直近では大手証券にてFA制度の廃止とそれに伴う担当顧客変更などもおこっている。顧客に対し「生涯担当制」を約束してきた大手証券FAの人たちからすると、その約束を反故にすることは心苦しく、IFAになる決断をする人も多い。
給与体系の変更、担当顧客の変更等予測していなかった経営方針の変更が大きな退職の要因となっていると見られる。
収益予算や募集商品
収益予算や募集商品は昔から変わらず、顧客本位との板挟みで苦しむ人は多い。
収益予算は、ある種IFAになっても生活に直結するため変わらないとも捉えることができるがIFAの場合インセンティブが高い傾向にあるため顧客に与える不可は低くすることができる。
募集商品に関しては、特に大手証券の場合投資銀行部門をもち、発行体を顧客にもつことから構造上解消できない課題と言える。
発行体サイドの資金調達や上場の案件が来た場合、期限内に販売することは必須となる。
IFAの場合、名前の通り証券会社に所属しないためそのような募集商品の義務を負わずに顧客のニーズにのみ向き合うことが可能な体制となっている。
顧客のライフプランやゴールベースに合わせた提案をおこなっている場合に、募集商品というのは顧客のニーズから外れることが多く昨今のゴールベースアプローチとの兼ね合いに頭を悩ませている人も多い。
定年退職制
大手証券のFAでキャリアの長い人にとっては定年退職制も大きな悩みとなっている。60歳や65歳でも心身ともに健康で、顧客との深い関係を元にハイレベルなアドバイスをしているFAは多い。
しかし大手証券の場合、スキルは関係なく年齢で業務の裁量が少なくなることも多々ある。
一方米国では独立系アドバイザーの平均年齢は52歳と言われ、逆にキャリアが短くドットコムバブルの崩壊やリーマンショック等を経験していないアドバイザーは顧客から信頼されづらい環境にある。
過去の相場下落局面にどのように立ち回ったか等が厳しく見られる。
日本においてもここ数年の相場下落によりそのような機運は高まっているものの大手証券の雇用形態は順応しているとは言い難い。
一方IFAには一般的に定年退職などはなく、アドバイザーが健康である限りキャリアを継続することができる。
IFAによっては自身が引き続き顧客を担当しながら後継者を育成するなども一部でおこなわれつつある。
大手証券FAの50歳以上の人がIFAへの転身を検討する背景には、大手証券の雇用体系の問題とIFAの台頭がある。
大手証券のFA・FA職とIFAのビジネスモデルとは
ここではそもそも大手証券のFAとIFA制度とはどんなビジネスモデルなのかを定義していく。
IFAとは?
IFAとは「Independent Financial Adviser」の略称であり、証券会社などの金融機関から独立をした立場で顧客への資産運用のアドバイスを行っている者を指す。
具体的には、アドバイザーはどこかのIFA法人にて雇用契約もしくは業務委託契約で所属し、法人が提携している証券会社(楽天証券やSBI証券を代表とする53の証券会社)のプラットフォームを使用して金融商品の仲介を行う。
仲介によって生じた報酬手数料の幾ばくかがアドバイザーの給与となる仕組みになっている。
詳細は下記の記事を参照していただきたいが、要するに業務内容は証券会社のFAと変わらないが独立していることでインセンティブ率や自由度などの制度が異なる。
アメリカやヨーロッパでは一般的な職務となっているIFA。今回はIFAの仕組みや、比較されることの多いFPとの違いについて解説していく。
大手証券FA・FA職とは
大手証券FAとは「Financial Adviser」の呼称で、転勤制度がなく、地域密着型の働き方として大手証券を中心として長い間設計されていた職種である。
転勤及び昇格がない他には、一般的に自身の業績に連動した給与形態をとられていることが多く、その代わりとして全国転勤型社員にあるような昇格がない。
中途入社でFAとしてチャレンジするアドバイザーも多く、異業種からの転職が多い。顧客基盤も当初は必要とされず整備された育成体制のもと、自ら顧客基盤を作っていくことが一般的である。
雇用形態は正社員が多いので当初数年間は固定給与の割合が多く支払われる。
大手証券会社の育成体制や信用度を活用し、証券業界への挑戦の一歩として有効な手段と捉えられてきた。
大手証券FA・FA職とIFAの違い
転勤制度がないことや給与形態が実績連動であることなど、共通点も多いFAとIFAではあるが、どこが異なってくるのか見ていく。
7つの項目一覧表
まず、大枠を捉えてもらうため大手証券FAとIFAの違いについて、7つの項目でそれぞれの特徴をまとめてみた。
次項からそれぞれ制度上の違いと具体的に業務としての違いを述べる。
転勤 | 知名度 | インセンティブ率 | 商品ノルマ | 出社頻度 | 証券会社 | 対応エリア | |
大手証券FA | なし | あり | 10-15%程度 | あり | 毎日 | 一社 | 固定エリア |
IFA(業務委託の例) | なし | なし | 40-70%程度 | なし | リモート対応可 | 複数社 | 全国対応可 |
制度上の違いは何か?
前項にて7つの側面から大手証券FAとIFAの違いをまとめたが、要するに制度上の違いは「自由度」と「インセンティブ率」に集約される。
例えば、商品選択や提案内容について大手証券FAはどれだけ自己裁量が大きいとはいえ企業のファイナンス案件があった場合や新規の公募投資信託が販売開始になった場合は会社が選択した商品を販売することが多い。
一方、IFAの場合は証券会社から独立しているという特徴から商品選択や提案内容について制限が全くない。
その他、営業地域や働き方についても自由度が高い。営業地域に関しては、他支店での取り扱いや都道府県を跨いだ顧客の紹介による担当は困難なことが多いが、IFAの場合、その制限がないため他の都道府県の顧客紹介があったとしても担当が可能だ。
また働き方についても定時、出社が強制されていることも少なくフレックス勤務やリモートワークが可能な点は大手証券FAとは異なる。
インセンティブ率については、大手証券の場合、固定費が高いためFAへの還元率が悪いが、IFAの場合はシステムの管理費は証券会社が負担、人件費についても実績に連動する場合は固定費が安い。
言い換えるとコストが変動費化しているためIFAへの還元率も高く設定することが可能となっている。
本質的な違いは何か?
これまで、提案商品や営業地域、働き方に関する違いを述べてきたが、実際に本質的に大手証券FAとIFAは何が違うのか?
結論、金融商品の仲介を通して顧客の資産アドバイスを行うという点では大手証券FAとIFAでの違いはない。
構造上は証券会社から独立をしている点から「自由度」や「インセンティブ率」について異なる点があるものの、根幹にある金融アドバイザーとしての業務については使うプラットフォームは違えど同様である。
大手証券FAとIFAの今後
現状、大手証券でFA制度を取っている法人はゼロに近い。
野村證券も2020年の3月よりFA制度を廃止し職種を営業専任職と総合職に分けた。営業専任職と言ってもFAほどの裁量や実績連動型の報酬とはほど遠い。
理由は、大手証券会社におけるリテール部門の縮小がある。大手証券会社を中心に新卒採用枠の減少や支店の統廃合、地方銀行への出向など縮小傾向の結果である。
一方で、IFA業界に目を向けると、IFAとしての登録外務員数は毎年15%前後の増加、証券会社のIFA口座数とIFA経由のお預かり資産は大きく増加している。
これは単に証券会社からIFAへの転身者が増加しているだけでなく、顧客の認知度も高くなっていることが言える。
したがって、金融商品を仲介して顧客の資産アドバイスを行うという点ではなく、そもそもFA制度が無くなっていることとIFAの制度に優位性を感じIFAへ転身している方々が多くいるということになる。
今後、IFAの人数だけでなくIFA経由の口座数やお預かり資産についても増加していくことを考えるとIFAへの転身を視野に入れて情報収集してみるといいだろう。
FA職からIFAへの転職相談
上記で見てきたように、証券では現在、FA職の廃止や職種転換が相次いで起こっている。
キャリアに関してご不安な方も多いと思う。弊社ではFA職の皆様がIFAになる際のポイントなどをより精緻にまとめてご案内させていただいている。
実際にIFAになる際には基本的にはどこかの法人に所属する形を取ることになる。しかし、全国には約650社ものIFA法人があり、情報を取ることや比較することが難しい。
また、「どのぐらい収益があれば生活が安定するのか?」「皆どのようなビジネスをしているのか?」等、IFAになること自体に対する不安の声も多い。
このようにIFAへの転職に悩んでいる方は、ぜひIFA特化型の転職エージェント「アドバイザーナビ」に相談してみて欲しい。
弊社のメンバーは野村證券、大和証券、みずほ証券等の大手証券出身者であるため実務に関しても非常に詳しい。
まずは情報収集をしたいといったカジュアルな形からでも無料で面談ができるので、お気軽に相談してみてほしい。
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