金融に関する高度な専門スキルを学習できる「証券アナリスト(CMA)」は、1次試験と2次試験の合格が必要となる。1次試験に合格していても2次試験に落ちてしまう可能性は十分にあるため、しっかりと対策しておくことが大切だ。
この記事では、証券アナリスト2次試験の概要や難易度、試験対策の方法を解説していく。
1次試験に合格し、2次試験に向けた勉強を始めている人は、ぜひ本記事を参考に学習を進めていこう。
証券アナリスト(CMA)2次試験の概要
証券アナリスト(CMA)は、日本証券アナリスト協会が高度な金融スキルを持つ人材を育成するために実施している試験のことだ。
企業分析をはじめとしたさまざまなスキルを体系的に学習することができ、金融機関で幅広く活躍するためには取っておきたい資格のひとつである。
証券アナリストは民間資格であるため、取得をしても独占業務があるわけではない。
しかし、高度な専門スキルを身に付けた証となるため、金融業界でキャリアアップしたい人はぜひ目指していこう。
資格を取得するまでの流れ
証券アナリストの取得には、1次試験と2次試験の両方に合格する必要がある。まず第1次レベル講座を受け、受講が完了したら3科目の1次試験を受験する。1次試験に合格したら、合格した年度を含めて3年以内に第2次レベル講座の受講が可能となる。
第2次レベル講座の受講が完了すると毎年6月上旬に行われる2次試験を受験する。合格したら実務経験が3年に達した時点で証券アナリスト資格が認定される。
また、受験可能最終年に行われる試験に不合格となった場合は注意が必要だ。再び第2次レベル講座を受講しないと、第2次レベル講座の受講資格がなくなって第1次レベル講座の受講からやり直さなければならない。仮に受験可能最終年に落ちてしまった場合は、忘れずに第2次レベル講座を再受講しよう。
2次試験の学習分野と試験科目
第2次レベル講座では、以下の分野について学習していくことになる。
- 証券分析とポートフォリオ
- 財務分析
- コーポレート・ファイナンス
- 市場と経済の分析
- 数量分析と確率・統計
- 職業倫理・行為基準
基本的な学習分野は、第1次レベル講座の内容と重複している。
しかし、第1次レベル講座の内容が基本知識であるのに対し、第2次レベル講座では応用力などが求められる。
また、2次試験の学習分野と配点(合計420点)は以下の通りである。
証券分析とポートフォリオ・マネジメントコーポレート・ファイナンスと企業分析市場と経済の分析 | 360点 |
職業倫理・行為基準 | 60点 |
上記の配点を見ると、「職業倫理・行為基準以外の比率が大きい科目を優先的に学習するべき」と考えるかもしれない。
しかし、「職業倫理・行為基準」は一定水準に到達しないと足切りされるため、しっかりと学習を深めておこう。
2次試験を受験する際にかかる費用
証券アナリストの2次試験を受ける際にかかる費用は、主に「第2次レベル講座の受講料」と「2次試験の受験料」の2種類である。
第2次レベル講座の受講料は、57,000円である。
第1次レベル講座では、日本証券アナリスト協会の法人会員に対する割引が適用されていたが、第2次レベル講座にはそのような割引はない。
また、2次試験の受験料は15,000円かかる。事前に2次試験にかかる費用を把握し、しっかりと準備しておこう。
証券アナリスト(CMA)2次試験の難易度
証券アナリストの2次試験は、1次試験よりも応用的な問題が多く出題されるため、難易度が高いと言われる。
しかし、45〜50%前後の合格率で推移しており、難関資格と言われるものに比べると高い合格率であることが分かる。
過去5年間の証券アナリスト2次試験の合格率は以下の通りだ。
受験年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2021年 | 2,727名 | 1,422名 | 52.1% |
2020年 | 1,946名 | 1,040名 | 53.4% |
2019年 | 2,596名 | 1,169名 | 45.0% |
2018年 | 2,520名 | 1,241名 | 49.2% |
2017年 | 2,414名 | 1,147名 | 47.5% |
1次試験と同様に、2次試験でも合格点が定められておらず、受験者の成績に応じて合格者が決まる仕組みとなっている。毎年50%前後の合格率になるよう調整されているため、問題の内容に左右されて合格が決まるわけではない。しっかりと準備・対策をして本番で力を発揮できれば、受からない試験ではないと言えるだろう。
ただし、高度な知識や計算能力を問われるのは間違いない。適切な対策方法のもと、しっかりと準備をしてから2次試験に臨もう。
2次試験の対策方法
証券アナリストの2次試験は、マークシート方式の1次試験とは違って記述式である。そして基礎的な内容を問われる1次試験と比べると、応用的な問題が多く出題される。そのため、1次試験に合格したからと言って2次試験にも簡単に合格できるわけではない。
1次試験の合格者であっても油断せずに、入念に試験対策をしておこう。
すでに紹介した通り、証券アナリストの2次試験の分野は以下の4つに分類できる。
- 証券分析とポートフォリオマネジメント
- コーポレート・ファイナンスと企業分析
- 市場と経済の分析
- 職業倫理・行為基準
上記の科目で合計420点となっており、そのうち約5割前後の点数が合格ラインと言われている。
まず、④の「職業倫理・行為基準」については、かなり高得点を狙いやすい分野だ。そもそも一定の水準を超えないと足切りとなってしまうため、9割以上の得点を狙って得点源にできるよう学習を進めよう。
また、②の「コーポレート・ファイナンスと企業分析」は、公式を覚えることで解ける問題が比較的多い。公式をしっかりと頭に叩き込み、問題集や過去問を繰り返し解くことで得点を狙えるようにしていこう。
一方で、①の「証券分析とポートフォリオマネジメント」、③の「市場と経済の分析」については、難しい問題が多いため高得点は期待できない。特に「市場と経済の分析」は、試験範囲も非常に広いために対策が難しい学習分野だ。半分以下の得点となってしまう可能性があるため、②と④の学習分野で高得点を取れるようにしておき、①と③は最低限の得点で通過できるように勉強しよう。
証券アナリストは、非常に広大な学習範囲を勉強しなければならないため、ある程度優先順位を付けることも大切だ。深追いしても得点できない分野は見切りを付けて、得点源になりそうな範囲を徹底的に勉強していくことを心掛けよう。
まとめ
証券アナリスト(CMA)の2次試験は、1次試験と比べると応用的な問題が多く出題される傾向にある。
しかし、合格率は1次試験と同様に50%前後となっており、しっかりと勉強すれば合格できる試験だ。優先順位を付けて、難しい分野を深追いし過ぎないように心掛けよう。
また、得点源になりやすい範囲については高得点をキープすることが重要だ。問題集や過去問を繰り返し解き、確実に高い得点を狙えるように勉強していこう。