「税理士試験に5科目合格したら転職したい。40代でも転職できるだろうか?」
「将来的には実家に帰ってほしいと言われている。いったい何歳まで転職できるだろう」
と考えている税理士の方。転職はキャリア形成に有効な手段だ。税理士であれば、資格を活かして転職もラクラクと乗り越えたい。とはいえども、何歳まで転職できるのかは心配になるところだろう。
安心してほしい。現状、税理士の転職において年齢は大きな障壁になっていない。今回は、40代以降の求職案件数などのデータを紹介する。また兼営・副業でキャリア構築する選択肢についても触れる。
税理士の皆さんに長期的なキャリア構築の参考にしていただきたい。
税理士資格試験合格者の23%は41歳以上
国税庁や、転職サイトに掲載されているデータを調べた。結論として年齢の上昇が、転職の難しさにつながるとは言えなかった。
平成30年から令和4年までの過去5年間の税理士試験合格者を調査した。下は、国税庁HPから各年度齢別の税理士試験の合格者のデータを集計した表だ。
この表では41歳以上は23.68%。最大勢力の25歳以下23.79%に肉薄して2番目の多さだ。このデータからは、「税理士」としてデビューするのには40代でも遅すぎることはないことがわかる。
年齢別税理士試験合格者数
令和4年度 | 令和3年度 | 令和2年度 | 令和元年度 | 平成30年度 | 5年間合計 | 比率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
41歳以上 | 1,239人 | 1,218人 | 1,334人 | 1,300人 | 1,129人 | 6,220人 | 23.68% |
36-40歳 | 855人 | 795人 | 832人 | 809人 | 754人 | 4,045人 | 15.40% |
31-35歳 | 1,015人 | 959人 | 1,002人 | 1,057人 | 962人 | 4,995人 | 19.01% |
26-30歳 | 993人 | 895人 | 977人 | 1,010人 | 885人 | 4,760人 | 18.12% |
25歳以下 | 1,524人 | 1,272人 | 1,257人 | 1,212人 | 986人 | 6,251人 | 23.79% |
合計 | 5,626人 | 5,139人 | 5,402人 | 5,388人 | 4,716人 | 26,271人 | 100.00% |
とはいえども、25歳以下であればポテンシャル採用の対象となるが、41歳以上になれば今までの職務経歴が問われるだろう。税理士試験の科目合格の段階から税務に関する実務経験を積むことが大切だろう。
税理士の転職は30代が多いが、何歳でも転職可能
「活躍する年代」別求人案件数 30代と40代はほぼ同数
会計分野専門の大手転職サイト「ジャスネットキャリア」で年代別の求人件数を抽出した。
結果は以下のようになった。「30代活躍中」の案件数が296件と最も多い。ほぼ同数の294件で「40代活躍中」が続く。50代および60代活躍中の案件も217件と相応にある。税理士においては、年齢が上がることが直接的に転職で不利になることはない。
「活躍する年代」別求人案件数
20代活躍中 | 30代活躍中 | 40代活躍中 | 50代活躍中 | 60代活躍中 |
---|---|---|---|---|
215件 | 296件 | 294件 | 182件 | 35件 |
※対象はエージェント求人および直接応募求人。活かせる資格が「税理士」で「派遣」「紹介予定派遣」の件数を集計
年代別成功事例 40代以上は20代の3倍以上
さらに、転職成功事例の掲載数も確認する。30代の掲載事例が最も多い。一方で40代以上は10件で、20代の3件よりも圧倒的に多い。このデータからは税理士は30代の転職が最も有利であることがわかる。
また、40代以降も相応に求人ニーズがあることが分かる。
年代別「税理士の転職成功事例」掲載数
20代 | 30代 | 40代以上 |
---|---|---|
3件 | 17件 | 10件 |
税理士は何歳でも転職できるが、エージェントの利用がオススメする3つの理由
非公開案件に応募できるから
実は税理士の求人は非公開案件が多い。それは、主に求人企業側にメリットがあるからだ。
求人企業は転職サイトに求人広告を掲載した場合、採用できるかできないかにかかわらず、広告費が発生する。しかも、欲しい人材とは違うタイプの求職者が大勢応募してくる可能性もある。大勢の求職者の中から条件にマッチする人材だけを抽出するのはなかなか手間だ。
だからこそ、求人企業は求人情報を転職エージェントに流し、条件にマッチする人材のみを紹介してもらうほうが業務効率が良い。また、競合他社に対する情報管理の面からも非公開求人が選ばれる。社長や役員クラスの募集も非公開であるケースが多い。
求職者は、エージェントを通じてそうした非公開案件に応募できる。エージェント経由での応募になるので、他の求職者に埋もれてしまうことなくきちんと採用担当者に届く。
社風や、求職の背景を教えてもらえる
応募する求人企業の社風や、面接官に関する情報をエージェントから事前に教えてもらえる点もメリットだ。税理士事務所は少人数で運営していることも多い。所長の人柄や、主要メンバーのキャラクターによって事務所の雰囲気も大きく左右される。求人情報に掲載されない社風などを把握できる点はエージェントを利用するメリットだ。
さらに今回の求職の背景についても把握しやすい。欠員補充と事業拡大とでは、面接時の回答のニュアンスが異なる。
欠員補充であれば、一刻も早くキャッチアップして今までの業務スピードを落とさないことをアピールすべきだろう。一方、事業拡大を背景にした募集であれば困難を乗り越えたエピソードなどを交えた回答が効果的だろう。
エージェントの利用で、事前に社風や求職の背景を把握できる点は大きなメリットだ。
入社時期、年収の交渉を依頼できる
転職活動は、提出書類や、自己PR・志望動機などに注力したい。面倒な交渉事をエージェントに依頼できる点は大きなアドバンテージだ。
税理士は何歳でも転職はむずかしくないものの、新天地でスムーズに活躍できるため転職エージェントの利用をおすすめしたい。
転職ではなく副業でのキャリア構築も
税理士の資格を活かしてのキャリア構築は転職だけではない。保険代理店業務を兼営している税理士が多いように、最近はIFAを兼営している税理士も出現している。
例えばWTパートナーズは、税理士が代表を勤めるIFA法人だ。証券、保険、不動産などの相談に対して税金対策の視点も踏まえてアドバイスする。富裕層や会社経営者個人の資産運用などにも税務の視点は重要だ。
当社アドバイザーナビはIFAへの転職をサポートするサービス「IFA転職」を展開している。IFAへ興味をお持ちの方は「IFAへの転職のご相談はこちらから」をご利用頂きたい。