転職体験記

「顧客ゼロからの挑戦」

ASSETBANK株式会社東京本店 白井翔馬氏

証券会社など金融機関からIFAに転じた人たちにインタビューしてみました。今回は大手証券会社を経て、ASSETBANK東京本店にIFAとして所属した白井翔馬さんです。白井さんが何を目指してIFAになったのか、じっくりお話を聞いてみました。

まず白井さんのキャリアから教えていただけますか。

白井氏2010年に野村證券株式会社に入社して水戸支店に配属されました。3年間リテール営業を経験した後、海外修練制度でアトランタに行き、帰国してからは2年間、大津支店で再びリテール営業を担当しました。 その後はキャリアサポーターとして新卒採用のお手伝いを半年間、エクイティマーケティング部にて株式調査の仕事を半年間、広島支店のリテール営業を1年間経験した後、法人オーナーを対象にした事業承継のノウハウを身に着けたいと思い、山田コンサルティンググループ株式会社に転職しました。ここで1年9カ月、組織再編や事業承継の仕事に携わって経験を積んでから、2021年1月にASSETBANK所属のIFAになりました。

水戸支店で初めて証券営業を経験され、アトランタに派遣されるまで、どのような仕事の仕方をされていたのですか。

白井氏最初に配属された水戸支店では当然、自分のお客様はいませんから、飛び込み営業で新規のお客様を開拓していきました。毎月新規開拓15件がノルマで、最初の1年間で150件の新規口座を開設しました。2年目からは法人、医者、高額納税者に対象を絞って新規開拓をしていました。 そして4年目の途中でアトランタに行くことになり、金融先進国のリテール営業が何をしているかを知りたくて、現地のプライベートバンクでインターンをしていました。米国におけるリテール営業について勉強させてもらいましたね。

帰国して再び支店営業を担当していらっしゃいますが、新人で飛び込みをしていた時と比較して、ここが大きく違ったという点はありましたか。

白井氏2カ店目以降は、営業のスタイルが変わりましたね。新人の頃は新規開拓が中心でしたが、2カ店目以降は前任者から引き継いだお客様を中心に、お取引を続けていただくことに軸足が移ってきます。 前任者がとても優秀な方で、運用知識やお客様とのコミュニケーション能力で私が劣っていたため、取引を停止されてしまうお客様が相次ぎました。 そういう事情もあったからか、もう一度金融商品の勉強をし直してお客様と向き合い、時間に余裕が出てきたら新規開拓と未稼働口座を中心にして営業を行うようになりました。新規開拓は電話・飛び込み・手紙・紹介・支店長同伴・DMを活用していましたね。

広島支店で証券会社を退職した後、山田コンサルティンググループに移られています。なぜコンサルティング会社に行こうと思ったのですか。富裕層を相手にするという意味では証券会社と同じ顧客層になるわけですが、実際に両方で活動されて、何か違いはありましたか。

白井氏事業承継を学びたかったので山田コンサルに転職しました。山田コンサルの事業承継部には税理士資格を有する専門家が数多くおり、日本で一番未上場企業の事業承継コンサルをしていると聞いていました。 法人オーナーの多くは事業承継をどうすれば良いのかで悩んでいたので、その課題解決が出来るコンサルティングになりたかったです。 独立したいという想いもあったのですが、資産運用の知識だけでは独立が難しいと思ったのと、証券業界以外の世界も見てみたいという気持ちがありました。 証券会社と山田コンサルの一番の違いは、証券会社は不確かな相場と対峙し、山田コンサルは国が定めている法律と対峙してコンサルをしているというところです。 勉強さえすれば事業承継は簡単だろうと思っていたのですが、とんでもない勘違いでした。税法以外の法律の知識を得るだけでなく、行政とのやり取り、過去の判例の確認、考えられる税務リスクを調べ尽くした上で検討案を提示します。正しいことを正しく伝える難しさと責任の重さを学びました。 山田コンサルには頭脳明晰で努力する方が何人もいて、本当に働けてよかったです。今後ビジネスで恩返しをしていきたいです。

なぜ独立するにあたってIFAを選んだのですか。

白井氏理由はいくつかあるのですが、きっかけはアメリカのプライベートバンクでインターンをしていた時に米国と日本の手数料体系の違いと、生涯担当制の素晴らしさを知ったことです。 米国の手数料体系は売買手数料ではなく、預かり資産残高に応じたフィーを設定した手数料体系が多いです。お客様の資産が増えれば担当者の報酬も上がる仕組みになっています。低金利の日本でこの手数料体系がお客様に受け入れられるかはわかりませんが、IFAなら自分で手数料体系を設定することも可能なので取り組んでみたいと思います。 また、法人ビジネスをする上で生涯担当制というのも私の中では必須であると思いました。基本的に資産運用の判断は短期的ですが、法人オーナーが抱えている事業承継問題は長期的です。いざ事業承継をするとなった時に相談した白井がいない、ではお客様も困ると思います。IFAなら自分で別法人を立ち上げて法人向けの事業承継サービスを提供することも可能なので、IFAを選択しました。

普通、多くのIFAが証券会社から独立する時、そこで担当していた大手のお客様について来ていただく方が多いと思うのですが、白井さんは全くのゼロベースから開拓を始められる。それはなぜですか。

白井氏野村證券にいた時、新規のお客様を作ることが出来たのは、「野村證券」の看板があったからだと思います。野村の看板を外した時に、一人のビジネスマンとして自分のスキルがどれだけ通用するか、自分にどれだけの価値があるのかを試してみたくなったからです。 一方で、他のIFAの方々のように、自分が考える最良のサービスを今までお世話になったお客様に提供したいというのも素晴らしいことだと思っています。 なので、ここは非常に悩みました。

巷に金融商品仲介業者はたくさんありますが、この度、IFAとして独立した白井さんから見て、何を基準にして金融商品仲介業者を選べば良いと思いますか。

白井氏私自身、独立をするのに際して「優秀な方がいる仲介業者に所属したい」という思いが強くありました。アドバイザーナビの平さんが前職の後輩だったこともあり、独立する数ヶ月前から複数回の面談を行い「どんな仲介業者があるのか」、「どんなメンバーがいるのか」、「ビジネスモデル」、「ターゲット層」などかなり精緻にすり合わせをして貰いました。 また、カジュアル面談という形で各社の代表もご紹介いただき、オーナーの考えなどを複数社インタビューさせて頂きました。 その中でASSETBANKはクレディスイス出身の方が代表者で、外資系PBのビジネスに関して触れる機会があること、またワインやスーパーカーのプロフェッショナル達が集っていることもあり、自分が経験していない分野の知識を吸収できるチャンスがあると思い選びました。 IFA業界では、競争をする同僚や尊敬する先輩もいなければ、会社から提供される研修もありません。だから自分が持っていない何かを持っていそうな人がいる業者を選ぶのは重要ではないかと私は感じました。

ありがとうございました。