転職体験記

「中堅証券からIFAへ リレーションが取れているお客様はついてきてくれる」

大手IFA法人所属 T氏

中堅の証券会社で3カ店の営業を経験してIFAになったTさんは、このインタビュー時点で、IFAとしての活動をスタートして1か月目でした。証券会社の営業からIFAとして独立するのに不安感は無かったのか、これから目指すIFA像はどういうものなのかを伺いました。

これまでのキャリアについて教えて下さい。

T氏関西の大学を卒業した後、中堅の証券会社に入社しました。最初は神戸支店の営業で、その後、埼玉の支店に転勤しまして、最後は都内の支店で、支店の次席として部下のマネジメントを経験しました。

神戸支店ではどのような営業を経験したのですか。

T氏神戸支店のテリトリーには富裕層が住んでいる芦屋市や岡本なども入っていたので、そこに住まわれている富裕層の方と、法人をメインとした飛び込み営業です。1日100件回るのが目標でした。

富裕層の方々にアプローチする場合、玄関を開けてもらうまでが大変だったと思うのですが、どのようにしてきっかけを掴んだのですか。

T氏チラシやDM作戦ですね。自分のプロフィールを書いたチラシをひたすら郵便箱に入れて歩きました。普段は法人開拓がメインなので、富裕層へのアプローチは週1回と決めて、その日は徹底的に富裕層が住んでいる住宅地を回りました。チラシには自分の顔写真とこれまでのキャリアを書いて、最後に「もしご興味があればお声がけ下さい」ということで支店の電話番号を明記しておいたのですが、意外とこれ返信が来るものなのですね。1週間に1回のペースでチラシを配って回り、1か月に1件くらいはレスポンスがありました。

1年目で何名くらいのお客様を開拓されたのですか。

T氏企業経営者を中心にして40件程度です。大型上場などもいくつかあり、その時にかなりの件数、富裕層のお客様を中心にして口座を作っていただきました。2年目も1年目からの引き続きで新規開拓をしていたのですが、2年目の終わりに埼玉の支店への転勤を命じられて、そこで3年間勤務しました。

2カ店目は前任者から引き継いだ口座の管理がメインですか。

T氏そうですね。新規開拓はせずに、前任者が担当していたお客様を引き続きフォローしていました。全部で担当していた口座数が最終的には500人で、預かり資産が総額50億円くらいでした。とはいえ、500人のうちアクティブに動いていたお客様の数は150名くらいです。それ以外のお客様は休眠口座でした。埼玉の支店の時はブローカレッジ業務が多く、日本株よりも米国株を扱うことの方が多かったと思います。ただ、既存のお客様の中には米国株式の経験をほとんどお持ちでいらっしゃらない方が多かったので、一人一人しっかりと米国株式の妙味やリスクなどを説明したうえで、日本株を持っていたお客様に対しては、それを売却して米国株式に切り替えるという営業が多かったです。

なぜIFAになろうと思ったのですか。

T氏以前からIFAという仕事に対する興味はあって、数年前にIFAとして独立しようかなという想いはあったのですが、その当時はまだついてきて下さるお客様も少なかったので、もっとお客様との関係性を深めてからと考えて、その時は実行に移しませんでした。そんな中、支店の統廃合があって、埼玉の支店が無くなってしまったのです。それで、埼玉の支店のお客様の口座を、都内の支店で管理することになり、私のお客様の口座もすべて都内の支店の扱いになり、私自身も転勤することになりました。ただその時、埼玉の支店のお客様の中には、「埼玉の支店は自分の家の近所だから取引していたけれども、都内の支店に移されるのでは余りにも遠すぎるので取引を止めたい」とおっしゃる方が結構出てきてしまいました。そうなると、今まで自分が築いてきたお客様との関係が無くなってしまうこともあったので、私が証券会社を辞めて、IFAとして引き続き、お客様の口座をご担当させていただけないかと考えました。そんな中、知人の紹介でアドバイザーナビのコンサルタントの方にお会いし、相談をしていく中で、何をすべきか、どのような会社が自分に合っているのかということを相談していく内に悩みや方向性が明確化になりIFAになることを決意しました。2020年の夏くらいから、親しいお客様には「IFAとして独立しようと思っている」という話をさせていただいたのですが、おおむね反応は良く、それなら思い切って独立しようと決断できました。

Tさんはなぜ大手IFAの所属になろうと思ったのですか。

T氏仲介業として提携している証券会社の数が多いことですね。債券もいろいろな種類を扱っていますし、私募ファンドにも投資できます。富裕層の中には、上場株式の銘柄を挙げても刺さらないのに、未上場株式やヘッジファンドなどの私募ファンドへの投資には興味があるという方が結構いらっしゃるので、大手IFAのように幅広い商品の売買を仲介できるのは、非常に助かります。

実際にIFAとして活動をスタートして何か感想のようなものはありますか。

T氏やはり証券会社時代のお客様がどのくらいついてきて下さるのかという点は、正直言って不安でした。でも案外、来て下さるものですね。なかには口座を移すのが面倒だから嫌だというお客様もいらっしゃいましたが、日ごろからコミュニケーションが取れているお客様は、今もお付き合いいただいています。

どういうIFAを目指されるのですか。

T氏手数料のために仕事をするのではなく、お客様のために仕事をすることを常に心がけています。 証券会社にいた時は、毎月の予算達成のために必要のない売買をたくさんして来ました。しかし、マーケットは常に売買するのではなく、休むタイミングもありますから、それをしっかり見極めて、無理な売買をしないようなアドバイスをしていきたいと思います。そして、きっちりと預かり資産の残高を積み上げていきたいと考えています。

ありがとうございました。