転職体験記

「外資系プライベートバンクからIFAへ 10年後、IFAは間違いなく大きくなる」

大手IFA法人所属 A氏

昨年にIFAとして独立をされると同時に、欧米型のファミリーオフィスサービスの立ち上げもされたA様にIFAの魅力、顧客開拓の手法、金融アドバイザー業界の未来などについてお話を伺いました。

まずAさんのキャリアから教えて下さい。

A氏日系大手証券に入社して、関東と広島の支店で法人及び個人富裕層を担当し、課長代理になったところで、米系のプライベートバンクに転職しました。米系のプライベートバンクでは金融資産1億円以上のお客様に対して資産管理のアドバイスをしました。報酬は完全出来高制で、転勤はなし。当時は話題にもなっていました。そして、この度IFAとして独立をすると同時に、欧米の富裕層では馴染みの深いファミリーオフィスサービスの会社の立ち上げを行いました。

プライベートバンクに転職したことによって働き方などは変わりましたか。

A氏変わりました。まず日系大手証券は引受業務が強いので、たとえばPOのようにお客様にとって不利な投資案件でも売って来なければなりませんでした。でも、米系プライベートバンクでは、本部が引き受けたものをお客様にはめ込む必要が無かったので、お客様のパフォーマンスを上げるにはどうすれば良いのか、そのために何が出来るのかを突き詰めることが出来ました。資産運用の商品も、日系大手証券時代は株式が中心でしたが、プライベートバンクでは債券や外国籍投資信託を主軸にし、お客様に全面的に運用を任せていただいたおかげで、お客様の8割から9割の方に利益を上げていただけました。

なぜIFAになろうと思ったのですか。

A氏本気でお客様のためになるにはどうすれば良いのか、これから5年先、10年先に大きく伸びる金融ビジネスは何かを考えた時、やはりそれはIFAだというのが私の結論でした。これから大きく伸びるのが自明であるならば、誰よりも早くそこに参入した方が、有利にビジネスを展開できます。それと共に、プライベートバンクの限界に気付きました。売り手、買い手、社会の三方よしだからこそ、永続できると考えておりますが、大手だとできないことが多くなり、三方よしの目線がずれ始めていることを感じました。プライベートバンクの特徴として、すでに担当者が付いているお客様にはアプローチができなかったりする。IFAならばまだまだ目の前にはブルーオーシャンが広がっています。しかも自分の裁量で動くことが出来る。とても魅力に感じました。

なぜ今の会社へ所属することになったのですか。

A氏IFAへの転身を考え、情報収集をしていた時にアドバイザーナビの松岡さんにお会いし、話を聞いたのがきっかけです。私のキャリアやお客様に対する考え方などを聞いてくださり、現在所属している会社を紹介してくださいました。また、私がIFAとして所属している会社の代表もプライベートバンクに対する理解が深く、インセンティブの条件も最高の条件で所属することができました。

プライベートバンカーの時と比べて動き方は変わりましたか。

A氏プライベートバンカーの時も比較的自由に動けていましたが、IFAではそれ以上に自由に動けます。どこに忖度する必要もありませんし、お客様のことだけを考えていれば良いですし、今まで会えていなかったようなお客様に会えるようになったのも、IFAの魅力のひとつです。先日もご自身が関わった会社がアメリカに上場された企業経営者とスタートアップに強い士業の先生をマッチングさせていただきました。話も盛り上がり、今後スタートアップ経営者と前述の企業経営者の投資チームをマッチングし、業務提携、出資も含めた話をしていこうという話にもなりました。もし、これを大手金融機関でやったら、「勝手なことをするな、何かあって誰が責任を取るんだ!」となります。ルールを守り、自分で能動的に動ける人はIFAになれば良いですし、看板がない分、周りの人をいかに巻き込んでいくかが求められるスキルであり、次世代の金融マンの在り方だと思います。

お客様の開拓はどのようにしているのですか。

A氏私の場合、美食活動、ゴルフとサウナが趣味なので、それを最大限に活用し、様々な形でご紹介をいただいております。たとえば美食に関しては、名古屋や東京で予約が取れないことで有名なお店でも、大体は予約できますので、これを活用し、お客様とのリレーションを構築しながらご紹介いただいております。生前日本一の投資家と言われておられた竹田和平さんにお会いしたことがあるのですが、その時、勉強になったのは、投資についてPERやROEなどの話は一切せず、人もお金もワクワクするところに集まることを一所懸命に説いていたことです。ワクワクを与えてくれる企業には人もお金も集まる。ワクワクするから遠い場所でも人は集まる。そこに集まる人は感度が高いから、そういう人たちと話をすることで新しいものが生まれるのだと思います。

金融アドバイザー業界の今後はどうなると見ていますか。

A氏恐らく5年後、10年後にはごく当たり前の存在になっていくのだと思います。海外の富裕層において、必要な人脈として医者、弁護士、プライベートバンカーと言われています。そう遠くない未来、食べログ、Googleの口コミなどのように、アドバイザーの満足度がスコア化されているのではないでしょうか。それを見てお客様がネットで検索し、アドバイザーを選ぶ時代になっていきます。実は米国ではそれが当たり前になっているのも事実です。10人程でアセットマネージャーチームをつくり、弁護士、税理士、会計士などがそこに付いていて、チーム全体で1兆円の預かりがあり、お客様の資産管理をしていくというスタイルが主流ですが、このようなチーム制は、きっと日本人にも合うのではないかと考えていますし、実際にそうなっていくでしょう。間違いなくIFA業界は伸びると思います。

ありがとうございました。