新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、私たちの生活や働き方を一変させた。新型コロナウイルス(COVID-19)以前にはあまりとられていなかった「リモートワーク」が働き方の形態のひとつとして、少なくない企業に取り入れられたのもその変化のうちの一つだ。
今回はこのリモートワーク(特にフルリモートワーク)を取り上げて、そのデメリットやメリット、転職時にフルリモートでの勤務形態の勤務先を探すポイントについて解説していく。
リモートワークのデメリット
まずは、リモートワークのデメリットから見ていこう。
家事の時間が増える
リモートワークになることのデメリットとして、「家事の時間が増えること」が挙げられる。リモート勤務の場合は家にいる時間が長くなるため、その分家事に時間を割くことが「できてしまう」環境になるのだ。その結果として、家事の時間が増えてしまった人が非常に多い。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが出したデータによれば、リモートワークの人のうちの実に50%近くが「家事の時間が増えた」と答えている。しかも7.5%は、「5時間以上家事の時間が増えた」としている。ちなみに「変化なし」は43%程度、「減った」と答えた層はわずか8%程度に過ぎない。
- 出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「在宅勤務に伴う家事・育児時間及び運動時間の変化在宅勤務は何をもたらすか②」
人との交流がなくなることでストレスを覚える人も
意外に思われるかもしれないが、「だれとも交流しない時間」が長く続くことは人にとって大きなストレスになりえる。「仕事上のちょっとした疑問が沸いたときなどに、気軽に相談できる人がいない」「コミュニケーションが取りにくくなり、孤独感が増した」という人は少なくない。
特にフルリモートワークであり、かつ一人暮らしの人はこの傾向が強くなるだろう。
転職先が絞られる可能性がある
転職先を探すときに、「私はリモートワークも可能です」とするのと「私はフルリモートワークのみを希望します」とするのとでは、転職先の選択肢が大きく異なる。
前者の場合は「出社して働く形態でもOKだし、リモートワークでもOK」ということになるので転職先の選択肢は広くなるが、後者の場合は「フルリモートワークの職場以外はNG」ということになるため、選択肢が非常に狭くなる。
また、リモートワークは場所を選ばずに働けることがメリットだが、これを実施しているところは関東圏に圧倒的に多く、四国・中国・九州地方は関東圏の3分の1程度の実施率にとどまっているというデータもある。このため、地方に住んでいてフルリモートワークのみをOKとする場合は、転職先が見つからないという状況になるおそれすらある。
- 総務省「テレワークの実施状況」
リモートワークのメリットについて
このようにデメリットもあるリモートワークだが、もちろんリモートワークならではのメリットもある。
通勤時間を節約できる
リモートワークの非常に大きなメリットとして、「通勤時間を減らせること」が挙げられる。
さまざまなデータがあるが、総務省の出した2022年に出したデータによれば、国民が通勤にかける時間は1日に30分程度だということだった。
この計算に基づくとすると、単純な計算で1週間に2.5時間程度、1か月に10時間程度、1年で120時間程度、日にして5日程度を通勤に使っていることになる。またデータによっては、「通勤時間の平均は1時間程度」としているものもある。この場合は実に1年のうちの10日間を通勤時間にあてている計算になる。
しかしフルリモートワークで働くのであれば、このような通勤時間がそのまま自由な時間にできる。また会議などを伴わないフルリモートワークの場合は、メイクやヘアセットにかける時間も削減できる。時間的な余裕が出るのは、フルリモートワークならではのメリットだといえる。
人間関係のストレスが生じにくい
人との交流はストレスを解消するものであると同時に、ストレスを生じさせるものであるという相反する特徴も持っている。
コミュニケーションが不得手な人であったり、苦手な人物がいたりする人の場合は、後者の話の方が実感しやすいだろう。
しかしフルリモートワークの場合は、このような「交流からくるストレス」を最小限にすることが可能だ。
自分の都合に合わせて動きやすい
フルリモートワークの場合、ある程度の自由裁量が認められることもよくある。特に、「フルリモートワークであり、フレックスタイムである」という職場を選べば、働く時間のコントロールを自分でできるようになる。
職場によっては、「朝の5時から働いて、休憩を1時間挟み、14時には仕事を終わらせる。その後はゆっくり映画を見たり、買い物や病院に行ったりする」などのような働き方も可能になるのだ。
人があまりいない時間に買い物をしたり、土日に休みになってしまう市役所などに行ったり……といった動き方ができるようになるため、プライベートも充実させやすくなるだろう。
フルリモートのみに絞った転職活動は、専門サイトなどを頼って
リモートワークにはメリットも多い。また、特にフルリモートワークは「自由な働き方をしたい」と考える人と相性が良い。
ただ、「フルリモートワークに限定して転職活動を行う」という場合、選択肢は非常に狭くなることはすでに述べた通りである。このようなケースでは、自力だけで転職先を探すのはかなり難しい。転職エージェントなどに頼らなければ、職場探しはなかなかはかどらないと考えられる。
また、必要に応じて複数の転職エージェントに登録することも検討しなければならない。なぜなら転職エージェントはそれぞれのエージェントごとに、「ほかのところにはまわっていない非公開求人」を抱えているからである。複数の転職エージェントに登録しておけば、より多くの非公開求人情報を見ることができるようになる。
プライベートの時間の確保のために~フルリモートという選択肢
リモートワーク・フルリモートワークにはデメリットもあるが、メリットも数多くある。
「リモートワークを希望している。フルリモートワークができればなお良いと思っている」という場合は、転職エージェントやキャリアコンサルタントに頼るようにしよう。
彼らは表に出ていない非公開求人情報を持っているが、そのなかにはリモートワーク・フルリモートワークの求人情報が含まれている可能性もあるからである。