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信用金庫への転職|銀行との違い・業界動向や成功のポイントを解説

信用金庫は、銀行と同じく預金業務や融資業務などを行う金融機関である。しかし経営目的の違いから、業務内容や平均年収に少し違いが見られる。「地域経済に貢献したい」「安定して働きたい」と思う方にとっては、転職先として選択肢に入るだろう。

当記事では信用金庫への転職の基礎知識として、銀行との違いや平均年収、業界動向、転職成功のポイントなどを解説する。

目次

信用金庫の働き方とは|銀行との違いについて

信用金庫への転職を検討する際は、銀行との違いや業務・職種、平均年収などの基本的な情報を押さえておこう。信用金庫での働き方やその他の基本情報を解説する。

信用金庫の平均年収

日本最大規模の就職・転職リサーチサイトOpenworkの公開データによると、信用金庫の年収額は300~500万円の範囲で収まっている傾向が見られる。転職サービスdodaの平均年収ランキングだと信用金庫/組合は378万円となっていた。つまり、おおよそ400万円弱が信用金庫の平均年収であると推測できる。

信用金庫と銀行の違い

信用金庫と銀行の違いは、経営理念や業務の目的にある。

銀行はあくまで株式会社であり、株主や自社の利益を優先してビジネスを行う。メガバンクや地方銀行、ネット銀行が該当する。一方で、信用金庫は株式会社ではない。中小企業や個人を顧客とする協同組織金融機関である。

共同組織金融機関とは、地域の方々が利用者・会員となって資金を出し合うなどして、周辺地域の地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした組織のことを指す。自組織の利益よりも地域社会の利益を優先する非営利団体だ。出資者も、原則として地域の方々である。

そのため、信用金庫の営業範囲は周辺地域に限定されており、運用資金の多くが地域に還元されている。自社利益を追求する銀行とは、ここが大きく異なるのだ。

信用金庫と信用組合との違い

信用金庫と似た金融機関に信用組合がある。信用組合とは、信用金庫法に基づいて運営される金融機関のことである。信用組合のほうがより地域性が強く、かつより小規模な組織というイメージだ。

利用できる顧客は、原則として組合員に限定されている。中小企業よりも、小規模事業者や個人事業主・フリーランスの方をターゲットとした金融機関となっている。

信用金庫で働くのに向いている人

信用金庫で働くのに向いている人材は次の通りである。

・地域経済を盛り上げ貢献したい人
・地域の顧客と親密なコミュニケーションを取れる人(とくに高齢者とのやり取り)
・デスクワークが苦でない人
・融資審査や利息計算など丁寧さが求められる仕事もこなせる人
・金融商品や資産運用プラン、市場経済などについて継続して学べる人

逆にノルマの重圧や金融機関独特の雰囲気・業務に慣れない場合は、配属後に「信用金庫を辞めたい」と感じるケースがある。

信用金庫の業務内容

信用金庫の業務内容は、銀行と同じく「預金」「融資」「為替」の3つが挙げられる。

預金・会員やその他の顧客からお金を預かり管理する・普通預金、当座預金、貯蓄預金、定期預金など
融資・預金などを基に、地域の中小企業や小規模事業者へ融資を行う・住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、フリーローンなど
為替・振込や出金の代行、口座間の現金移動などのお金の移動を行う
参考:一般社団法人全国信用金庫協会「信用金庫の取扱業務 」

近年では、顧客ニーズの変化や新しい融資機関の誕生などの状況変化に伴い、上記の3業務以外の業務を取り扱う信用金庫も多い。例として挙げられる業務は次の通りだ。

証券業務投資信託や債券の販売
保険業務保険会社の代理店として生命保険・損害保険の販売
インターネットバンキングサービス自宅のパソコンやスマホから振込・残高照会などを行えるようにするサービス
デビットカードサービス信用金庫のキャッシュカードを利用し、口座残高の範囲内で代金の支払いができるサービス
貸金庫顧客専用の金庫
スポーツ振興くじ販売・当せん金払戻し信用金庫は唯一スポーツ振興くじ(toto)の販売・当せん金の払戻業務を行える金融機関
参考:一般社団法人全国信用金庫協会「その他の業務 」

信用金庫の職種

信用金庫の職種は、銀行と同じく営業職・事務職・専門職の3つに大別できる。なお信用金庫によって、職種の呼び名や業務区分が異なるケースもある。

営業職

営業職は、顧客の新規開拓や既存顧客へのアドバイス、金融商品の販売などを担当する。渉外係とも呼ばれることもある。

法人や個人事業主向けの経営に関するサポートを行うのが法人営業、個人顧客向けに資産形成のアドバイスや金融商品の提案・販売を行うのが個人営業(リテール)となる。

事務職

事務職は、為替業務や窓口業務、電話担当、その他バックオフィス系の業務を担当する。窓口担当はテラー担当とも呼ばれる。地域住民の利用が多い信用金庫は、業務を通じて銀行よりも顧客との距離が近くなる可能性がある。

専門職

専門職は、企業や個人への融資や事業承継、M&A、経済分析などの金融に関する専門的な業務を担当する。金融知識や経営分析力など、信用金庫の職種の中でもっとも専門性が求められることが多い。

信用金庫の業界動向|AIとの関連などを考察

信用金庫への転職を検討する際の参考として、業界動向やAIとの関連などを考察した。

信用金庫の業界

信金中金 地域・中小研究所の2021年度信用金庫概況によると、次の結果が出ている。

・信用金庫の店舗数は23年連続で減少
・常勤役職員数は11年連続の減少
・会員数(企業・個人)は6年連続の減少
・預金残高(譲渡性残高は除く)は20年連続の増加
・一般法人預金・個人預金公金預金は増加、金融機関預金は減少傾向
・コロナ禍の影響で2020年度の貸出金は前年度比7.9%の上昇、貸出金残高は9年連続の増加

このように信用金庫の店舗数や職員数は減少しているものの、預金数や貸出金は増加傾向にある。求人数も目立った減少は今のところ見られず、今後も業界全体での採用活動は続くと推測される。

しかし一方で、信用金庫業界全体の収益の減少が問題となっている。

また、近年ではクラウドファンディングなどの信用金庫を通さない出資方法が増えており、そちらを利用する法人・個人が増えている背景もある。

このように信用金庫業界でも変革が求められており、今後は事業再編や信用金庫同士の合併・連携も増加していくと予想される。

信用金庫とAIの関係|今後新たに求められる人材について

メガバンクや都市銀行などを始め、金融業界ではAIやITデジタルツールの導入が進んでいる。今後は信用金庫の人材もITスキルが求められる可能性がある、

金融庁の「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポートの概要(2022年6月)」によると、信用金庫における「新たなIT・デジタル技術への取組状況」において、AI導入は2020年事務年度と比較して5.9%増加していると結果が出ていた。デジタル関係の導入が着実に進んでいると考えられるだろう。

信用金庫へ転職を成功させるためのポイント

信用金庫へ転職を成功させるためのポイントをまとめた。銀行やその他の金融機関への転職活動と通ずる部分もあるが、信用金庫にだからこそ刺さるアピールも存在する。

金融業界で求められるスキル・資格をアピールする

非営利団体である信用金庫だが、業務内容は銀行と類似する点が多い。銀行と同じように、金融業界で必要なスキル・資格がアピールポイントにつながる。

金融業界で求められるスキル・資格の例は次の通りである。

・ニーズ・市場の分析や顧客への提案ができるコンサル的な能力
・金融商品や資産運用に関する知識
・地域住民と親密な関係が築けるコミュニケーション能力
・FP(ファイナンシャル・プランニング技能士)や証券外務員などの金融系資格

地域に貢献したい気持ちを伝える

信用金庫への転職は、なぜ「銀行ではなく信用金庫なのか」を深掘りし、採用担当者へ伝えることがポイントになる。

地元の経済に貢献したかった、地域密着のサービスに携わりたかったなど、利益よりも地域に貢献したい気持ちを伝えることが大切になるだろう。

信用金庫への転職なら転職エージェントの利用も検討する

信用金庫への転職であれば、転職エージェントの利用も検討するとよい。キャリアカウンセリング、履歴書・職務経歴書などの書類の添削、面接対策などの転職サポートが無料で受けられるだけでなく、信用金庫の非公開求人を紹介してくれる可能性がある。

転職エージェントしか保有していない信用金庫求人も存在する可能性があるので、利用を検討してみてはいかがだろうか。

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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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