転職の回数が増えると、採用してもらえるか不安になる方も多い。確かに企業としては「すぐに退職するのでは」と捉えられるケースもあるだろう。一方で、自身のキャリアアップを目指している優秀な人材ほど、新たな職場へ移行する傾向にある。そのため一概に転職が多いことが悪いとは言えがたい。
とはいえ、企業側から見ればマイナス要因にもつながりかねない。では実際どれくらいの数が平均なのだろうか。
本記事では転職回数の平均と面接時に注意する3つの要素を紹介する。
平均転職回数と年代について
ここでは「年代別の平均回数」と「企業が気にしはじめる回数」について紹介する。
年代ごとによって異なる回数
転職回数は年代別によって異なる。以下の表を参考にしてほしい。
0回 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回~5回 | 6回以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|
20代 | 76% | 16% | 6% | 2% | 0% | 0% |
30代 | 47% | 24% | 16% | 8% | 5% | 0% |
40代 | 38% | 20% | 18% | 11% | 12% | 1% |
50代 | 34% | 21% | 17% | 11% | 16% | 2% |
20代は大学生の期間や新卒としての研修期間もあるため割合は低い。一方、30代40代になるとセカンドキャリアを求める方も多くなることから増加傾向にある。さらに50代になると、安定を求める方やチャレンジ精神が低くなる人も多くなるため、40代とほぼ横ばいだ。
気にし始める回数とは
中途採用をする際、「気になる転職の回数は何回目からであるか」を某企業が各企業の人事に確認したところ、以下の表の割合となった。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目以上 | 気にならない |
---|---|---|---|---|---|---|
2% | 8% | 40% | 16% | 12% | 7% | 15% |
見てわかる通り、3回目で気になるという意見が多い。一方で企業によっては「気にならない」と考えている人もいる。つまり回数が必ず面接に影響が出るとはいえないだろう。
企業側の意見と採用件数
企業側は転職回数についてどのような見解であるのか。ここでは一例を紹介する。
- 中途募集は20代から30代が主軸。しかし年齢も若いのに3回も転職していると、勤続年数が気になるという意見も。ただし離職した理由が明確であれば問題ない。
- 年齢次第では回数は気になる。若い方の場合、「すぐに退職してしまうのでは」と捉えてしまう。一方で40代50代はキャリアを積んできているため、経験豊富な点を優先して採用している。
- 個々の能力と回数に関係性はないため、特に意識していない。
企業によって回数次第で採用の可否にするかは異なる。
とはいえ若い方が何度も仕事を変えていると、長く勤めてくれるか不安に思うのだろう。一方で個人の能力は転職に関連しないと捉える企業もある。実際に中途採用した方の多くは以下の表の通り3回目ということがわかる。
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 6回目以上 |
---|---|---|---|---|---|
3% | 6% | 28% | 22% | 22% | 20% |
40%の方が3回目を気にするというのに対し、28%も面接に合格している。そのため、それほど回数にこだわっていない企業も多いのが実態である
中途で採用される方の特徴
ではどのような人材が面接をクリアしているのだろうか。ここでは回数にとらわれず採用される方の特徴を3つ紹介する。
将来のビジョンが明確である
前職を退職した理由が明確であり、将来のビジョンがある方は採用されやすい傾向にある。
例えば
- 「将来やりたい仕事があるため、基礎を学びたい」
- 「独立することを目標としているため、この企業でステップアップとして活躍したい」
このように、企業としてもプラスに捉えられる理由であるため回数は関係ない。
優秀な人材であることがわかる
面接に来た方が優秀な人材であることが分かる方は、積極的に採用されやすい。優秀な人材とは「前職で活躍した」「元役員」などだけでなく、話をしていて「受け答えがしっかりしている方」や「自分の考えを持っている方」なども含まれる。
もちろん企業によって優秀な人材のラインは異なるが、能力が高い方は特に回数を気にしていないという企業も多いだろう。
企業のことを理解している
新卒採用でも当たり前であるが、中途採用であっても面接する企業のことをしっかり理解している方は採用に直結しやすい。ただし中途採用は企業の社員数や、歴史、事業内容などだけでなく、「企業理念の意味」や「企業のビジョン」など、より深堀した内容を理解しなければいけない。
しかし、自分のビジョンと企業のビジョンがマッチしているのであれば、双方「win-winな関係」になるため、より採用に近づけることが可能だろう。
転職成功につながる3つのポイントとは
先ほどもお伝えした通り、企業側から優秀な人材と判断された人は、回数に関して関係ない。
しかし、全員が該当するとは限らない。そのためここでは転職が成功するポイントを3つに分けて紹介する。
企業と自分の考えに相違がないか
はじめに企業側の考えと自分のビジョンがマッチしているか確認する必要がある。転職理由は人によって異なるが、そもそも企業の考え方と自分の考えが合っていなければ、離職することにも繋がりかねない。
厚生労働省が発表した「令和2年転職者実態調査の概況」をまとめた主な離職理由である。
- 仕事内容に満足できない
- 会社の評価に不満
- 給与面に不満
- 人間関係が悪化した
- 会社の将来に不安を感じた
つまり再就職したとしても自分の理想と異なる企業を選んでしまえば再度離職することにもつながりかねない。
また、面接時においてもマイナスなポイントとなるため、事前に企業を調査し、共鳴できる部分があるか見つける必要がある。自分の考えもなく、給与面や休暇日だけで企業を選んでも、面接で落とされる可能性も高いだろう。
今一度自分のことを見つめ直し、マッチする企業を選ぶことで、成功する確率は大きくなる。
転職活動が活発な時期に行う
一般的に企業は4月から新年度となるケースが多い。または10月を新年度としている企業もあるため、「2月〜3月」「8月〜9月」は中途採用を積極的に行っている。
さらに採用する数も増えやすい傾向にあるため、狙い目だ。新年度は社内体制を整えるためにも、あらたな人材を求めている。もちろん新卒社員と比べると募集数は少ないが、即戦力となる中途採用は少なからず採用したいと企業は考えている。
そのため逆算して12月、または6月前後から活動を行うようにすれば、時期的にも良く、成功させることにつながるだろう。
採用された場合、企業にとってのメリットを明確に伝える
採用する基準は「企業にもたらすメリットがあるか」だ。企業にとってメリットの有無を見極めて採用を検討する。そのため自分からメリットを明確に伝えれば、より成功に繋がることにもなりやすい。
もちろん根拠があってのメリットである。そのため自分が企業にもたらす影響を考え、具体的に説明できるように準備しておく必要があるだろう。思いつかない方もいらっしゃるため、一例を3つ紹介する。
メリットの一例
- 前職では年間の目標売上を3年連続達成したため、貴社ではより大きな目標を達成できる自信がある。
- 数多くのソフトウェアを開発してヒットした。これから作りたいソフトウェアも明確に決まっており、その場所が御社だと感じた。
- 新たな部署を立ち上げると聞いた。前職での経験やノウハウを持ち合わせているため、御社で役立てる。
その他にもたくさんの理由が考えられる。もちろん人それぞれ理由は異なるだろう。成功させるためにも、自分が企業にもたらすメリットを考えることが重要である。
まとめ
今回は、平均の転職回数と回数が多くても採用される方の特徴について紹介した。回数は下記年代によって異なるものの、企業側としては3回目から気にかける方が多い。
しかし、回数ではなく将来のビジョンや自分の考えが明確な方を採用している傾向にある。
また、企業のことを十分理解し、自分とマッチしていることでより成功率は高まるだろう。そのため自己分析と企業分析を行い、双方にとって「win-win」な関係であるかを確認することでより採用されやすくなる。