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宅建とは?資格のメリットや試験概要を解説

「就職や転職に有利」と耳にすることが多い「宅建」。宅建について、「不動産に関する資格」というイメージはあるものの、具体的にはどのような業務が行えるようになるのか詳しく知らない人も多いのではないだろうか。そこで今回は、宅建の概要やメリット、登録方法について解説していく。

目次

宅建とは

「宅建」とは、「宅地建物取引士資格」の略称であり、国土交通省管轄の国家資格である。主に、宅地建物取引業者で働く際に活用されるものだ。

宅建を取得すると、顧客と不動産取引を行う際に重要事項を説明するなどの独占業務が行えるようになる。不動産業を営む宅地建物取引業者は、事務所の規模や業務内容に応じて、国土交通省令で定められた数の宅建士を雇用する必要があるため、宅建士の資格があると重宝されるというわけである。

宅建士の独占業務については記事内にて詳しく後述しているため、そちらも併せて確認頂きたい。

宅建の試験概要

宅建の試験は、毎年10月に年1度のみ実施される。以下の表は、試験概要をまとめたものだ。

試験時期毎年10月の第3日曜日午後1時~午後3時(2時間)
受験資格年齢、性別、学歴等の制約はない
試験地全国各地原則として居住している都道府県での受験となる
受験手数料8,200円
合格発表時期原則として、12月の第1水曜日または11月の最終水曜日
試験形式50問4肢択一式による筆記試験
参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「宅建試験の概要」

なお、2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、10月と12月に試験実施を分けている。2023年実施試験 についても申込者人数によっては、12月実施分の受験となることもあるため注意が必要である。

宅建を取るメリット

毎年受験者が20万人を超える宅建は、取得によってどのようなメリットがあるのだろうか。ここでは主に5つのメリットについて解説していく。

宅建士の独占業務が行える

宅建の取得によって、以下の3つの独占業務[編集者6] が行えるようになる。

・契約締結前に顧客に対する重要事項の説明(宅建業法第35条による)
・重要事項説明書の記名押印
・契約書等への記名押印(宅建業法第37条による)

不動産の売買や賃貸の斡旋を行う際は、顧客に対して不動産の権利関係や法令上の制限、契約の条件などについて説明する義務があるが、この説明は宅建士のみが行える独占業務となっている。

収入アップが見込める

多くの不動産会社では、宅建資格保有者に対して資格手当を支給している。不動産業を営むうえで宅建資格保有者は必要不可欠の存在であるため、こうした手当支給によって優遇を与えているのである。

手当の金額については企業によって異なるが、月1~3万円が相場となっているようだ。年間12~36万円ほど収入がアップするのは大きなメリットといえる。

キャリアアップに役立つ

宅建は転職・就職の際にも役立つ資格である。前述のように宅建士は独占業務が行えるため、不動産業界への転職・就職において有利に働くことは間違いないだろう。

また、不動産に関する知識は、金融業界などの他業種でも役に立つ。たとえば、金融機関で不動産に対して担保設定を行う際や、不動産融資を実行する際など、宅建で得た知識が活かされる場面は多い。そのため、不動産業界で働く人以外にとっても実用的な資格といえる。

独立が可能になる

宅建資格の取得により、宅建業者として独立することも可能となる。組織のしがらみから解放され、自分のペースで仕事ができるようになるのは大きなメリットだろう。

もちろん独立のリスクは十分精査する必要があるが、不動産業は在庫を抱える心配がない点もポジティブ要因といえる。

ダブルライセンスで仕事の幅が広がる

宅建を取得する際は、管理業務主任者やFPなど他の資格とのダブルライセンスも検討したい。これらの資格は宅建試験内容と重複する科目もあり、効率よく資格を取得することが可能であるためだ。

特にFP資格については金融に関する知見も深まるため、顧客の生涯にわたるマネープランへのアドバイスが行えるなど、仕事の幅が広がる期待が持てる。

宅建資格合格後の流れ

宅建試験の合格後は、資格登録の手続きを行う必要がある。宅建士として働くためには、この手続きが必須となっていることから、受験合格後は速やかに登録手続きを行おう。

資格登録の手続きは試験を受験した都道府県にて行うが、実務経験の有無によって登録手順が異なる。次の項目で詳しく解説しよう。

宅建士の登録方法

宅建士として登録を受けるためには、実務経験の有無によって手続きの流れが異なる。それぞれ詳しく確認していこう。

実務経験(2年以上)がある場合

宅地建物取引業の実務経験が2年以上ある場合は、宅建試験合格後すぐに登録申請が可能となる。必要書類を揃えて郵送もしくは持参で登録申請を行おう。(必要書類については後述しているため、そちらも併せて参考にして頂きたい。)

ただし、実務経験として認められるのは、申請時から過去10年以内に限られるため注意が必要である。また、宅地建物取引業で働いていても、総務や人事など直接宅地取引に関わらない部署での経験についても実務経験とはみなされない。

実務経験(2年以上)がない場合

宅地建物取引業で2年以上の実務経験がない場合は、「登録実務講習」を受講する必要がある。登録実務講習は、国土交通省の登録を受けた機関で実施されており、全国各地で受講可能だ。

受講料や受講スケジュールなどは実施機関によって異なるため、都合の良いところを選ぼう。登録実務講習を修了すると、宅建士登録へ進む手順となる。

6.宅建士登録申請の必要書類

宅建士の登録申請には、申請書や誓約書の他に多くの書類が必要となる。1つでも不備があると登録が受け付けられないこともあるため、事前にしっかりと準備しておこう。

登録申請は窓口への持参や郵送にて受け付けている。郵送する場合は、送付した書類のコピーを控えておくことも忘れないようにしよう。送付先は都道府県によって異なるため、ホームページなどで確認する必要がある。

ここからは、東京都での必要書類を例に解説していく。

登録申請書

氏名や住所、生年月日などを記載する登録申請書は、ホームページ上にてダウンロード可能である。東京都では、実務経験の有無によって申請書の書式が異なるため、書類に相違がないよう気を付ける必要がある。

誓約書

誓約書とは、申請者が「宅建業法に定める欠格事由」に該当しないことを誓約する書類である。

「宅建業法に定める欠格事由」には、「申請前の5年以内に宅地建物取引業で不正行為を働いたもの」や「申請前の5年以内に禁固刑以上の刑に処せられたもの」など複数の事由が定められている。自分が該当しないことをしっかりと確認したのちに誓約書に記入しよう。

身分証明書

「身分証明書」は本籍地の市区町村で発行されるもので、「成年被後見人や被保佐人とみなされる者ではない証明」または「破産者ではない証明」として提出が必要となる。

一般的な運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類とは異なるため、注意が必要だ。なお、有効となる身分証明書は「発行から3ヶ月以内の原本」に限られる。

登記されていないことの証明書

「登記されていないことの証明書」は、全国の法務局・地方法務局(本局)の戸籍課にて発行が可能であり、「成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の証明」として提出が求められる。

身分証明書と同じく「発行から3ヶ月以内の原本」が必要となるため、コピーを持参・送付しないように気を付けよう。

住民票

住民票は、本籍や続柄、マイナンバーの記載は不要となっている。こちらも発行から3ヶ月以内の原本の提出が必要だ。

合格証書

宅建試験の合格時に送付された合格証書は、原本およびコピーが必要となる。ただし、郵送にて申請する場合は原本の同封は不要で、その代わりにコピーの余白に「原本と相違ありません」との記入と署名を行う。

また、合格証書に記載されている氏名に変更があった場合は、旧姓と現在の姓が確認できる戸籍抄本(発行から3ヶ月以内の原本)の提出も求められる。

顔写真

顔写真は「縦3cm×横2.4cm」のサイズで、顔の大きさが2cm程度になるように撮影しよう。写真の裏に氏名を記入後、前述の「登録申請書」の左上に貼付する。

ポラロイド写真や白黒、光沢紙でないもの、不鮮明なものなどは受け付けてもらえないため注意が必要だ。

登録資格を証明する書類

宅建士の登録には、「2年以上の実務経験」もしくは「登録実務講習修了」の要件を満たしている証明が必要となる。それぞれで書類が異なるため、あらかじめ確認しておこう。

【2年以上の実務経験がある場合】

①実務経験証明書

②「従業員名簿」のコピー

③業務内容証明書

上記書類以外にも、源泉徴収票や出向証明書などの提出を求められる場合もある。

【登録実務講習を修了した場合】

登録実務講習を受講した機関が発行する修了書(原本)

従業者証明書

申請時に、宅地建物取引業に従事している場合は、従業者証明書を提示のうえコピーを提出する。

登録手数料

宅建士の登録にあたって、3万7,000円の手数料が必要となる。東京都では現金での納付となっているが、都道府県によってはキャッシュレス決済が導入されているところもあるようだ。

郵送にて申請する場合は、書類が到着した後に送金手続きを行う。

6-11.本人確認書類

運転免許証やマイナンバーカード、健康保険証などの本人確認書類の提示も必要である。

以上、宅建士の登録申請には11点もの書類が必要となる。書類に不備がある場合は登録を受け付けてもらえない可能性もあるため、あらかじめ申請する都道府県のホームページにて必要書類を確認しておこう。


参考文献

一般財団法人不動産適正取引推進機構「宅建試験の概要」「宅建のスケジュール」「宅地建物取引士資格登録等の手続きについて」

一般財団法人 不動産適正取引推進機構公式サイト掲載資料

ユーキャン「宅建があると年収はいくらに?宅建を取得するメリットを徹底解説」

 国土交通省「登録実務講習実施機関一覧」

東京都住宅政策本部「宅地建物取引士資格登録申請提出書類(郵送する場合)」「宅地建物取引士資格登録申請提出書類と持参するもの」「宅地建物取引士資格登録申請 実務経験、登録実務講習」「宅地建物取引士資格登録申請」

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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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