AFPは、日本FP協会が認定する資格のひとつであり、FPとしての十分な知識と実践的なスキルを持つ人に対して与えられる資格である。金融業界に勤務していれば一度は耳にする資格であるが、「国家資格のFP技能士とどう違うの?」「どうすればAFP認定が受けられるの?」と疑問に感じている人もいるかもしれない。そこで今回は、AFPの概要や取得までの流れについて解説していく。
1.AFPとは
まずは、AFPの概要について確認しよう。
1-1.AFPの概要
AFPとは、日本FP協会が認定する民間資格である。FPとしての知識や実践的なスキルを身につけている人に対して与えられる資格で、認定までのステップでは「教育」「試験」「倫理」の3点が重視される。日本FP協会はこの3点について、以下のようなポイントを重視している。
・「教育」常に最新の知識とスキルを学んでいること ・「試験」一定レベルの業務知識があること ・「倫理」会員倫理規程を順守すること |
AFPでは、より実践的なスキルを持っていることや、FPとしての高い倫理観を持ち合わせていることが求められる。
1-2.FP技能士との違い
AFPとFP技能士資格はしばしば混同されることが多いが、一番大きな違いは「国家資格であるかどうか」だろう。FP技能士は国家資格であるのに対し、AFPは日本FP協会が認定する民間資格である。一般的に、試験の難易度としては「AFP=FP技能検定2級」「CFP=FP技能検定1級」と評されることが多い。
また、FP技能士は一度取得した資格は生涯有効であるが、AFPは2年ごとの更新手続きが必要となる。AFPでは常に最新の知識を取り入れることが求められるため、更新のたびに15単位以上の講座を受講するなど、継続教育制度が整えられていることが特徴だ。
1-3.AFPの関連費用
AFPの認定にあたって、入会金1万円および年会費1万2,000円が必要となる。入会金は初年度のみであるが、年会費は毎年発生するものとなる。
また、2年ごとの継続教育単位取得にかかる費用も自己負担となっている。
2.AFPを取得するためには
AFP資格認定を受けるためには、日本FP協会が掲げる以下の要件を満たす必要がある。
1.AFP認定申請時に義務教育修了者及び義務教育修了者と同等以上の学力があるとみなされること 2.日本FP協会が認定した認定教育機関での「AFP認定研修」を修了していること (※「AFP認定研修」は2級FP技能検定合格後も受講可能) 3.指定試験(2級ファイナンシャル・プランニング技能検定)に合格すること 4.AFP資格登録期限内に登録申請すること 5.日本FP協会の定める定款や会員倫理規程等を順守することに同意すること |
上記要件を満たすとAFP認定を受けられるようになるが、AFP取得までのステップは、「FPとしての実務経験の有無」によって異なる。以下でそれぞれの流れを確認しよう。
2-1.FPとして2年以上の実務経験がある人
FPとして2年以上の実務経験がある人は、FP技能検定2級に合格後、AFP認定研修の「技能士課程」を修了することでAFP資格登録手続きが行える。
また、FP技能検定2級については、「学科」「実技」ともに合格する必要がある。
2-2.FPとしての実務経験がない人(基本ルート)
FPとしての実技経験がない人は、AFP認定研修の「基本課程」を修了後にFP技能検定2級を受験する流れとなる。FP技能検定2級の「学科」「実技」ともに合格後、AFP資格登録手続きを行うことでAFP認定を受けられる。
なお、実務経験がなくてもFP技能検定3級に合格している場合は、「FP技能検定2級合格&AFP認定研修(技能士課程)の修了」でAFP認定を受けることも可能である。
3.AFPを取得するメリット
2022年6月1日現在、AFP認定者は約16万人となっている。これほど多くの人が取得しているAFPには、どのようなメリットがあるのだろうか。ここでは、大きく分けて5つのメリットについて解説していく。
3-1.幅広い金融の知識が身につく
AFP取得にあたって、「FP技能検定2級の合格」および「AFP認定研修の修了」が必須条件となる。認定者はこれらのステップを通じて、幅広い金融の知識を身につけられるメリットがある。
特に、AFP認定研修については保険商品や相続、不動産などの幅広い分野の学習に加えて、提案書の作成といった実践的な研修も受けられる。研修はDVD視聴やオンライン学習など自分のライフスタイルに合った方法を選べることもメリットのひとつである。
3-2.勉強会や交流会に参加できる
AFPとして日本FP協会の会員になると、協会主催の研修や勉強会に参加できるようになる。中には実践型の研修もあるなど、実務能力を向上させるためのサポートが受けられることが特徴だ。
また、日本FP協会は、全国に8ブロック計50の支部があり、各支部ではFPの交流会も実施されている。他のFPとの交流を通じて、さまざまな情報交換が行える点も大きな魅力だろう。各支部では独自の勉強会も開催されていることから、AFPは常に最新の情報を学べる機会が提供されていることもメリットだ。
3-3.FPとして実践的なスキルが身につく
AFP認定に必須の「AFP認定研修」では、ただ勉強をして試験を受けるだけではなく、提案書の作成など実践的な学習を通じて、より実務に即したスキルを身につけられる。
AFP認定後も2年ごとに更新手続きが行われ、その際にも実務に関する単位[編集者9] を取得する必要がある。つまりAFPは「資格を取得したらそれで終わり」ではなく、常に最新の情報を学びながら、知識をブラッシュアップしていけるメリットがあるのである。
3-4.仕事の幅が広がる
AFPと聞くと、「金融業界で働く人が取得する試験」というイメージがあるかもしれないが、AFPは金融業界以外で働く人にとっても有益な資格である。
どの業界で働いていても、お金と切り離された仕事はないだろう。AFP認定を通じて学ぶ税務や不動産、相続、金融商品などの知識は多くの場面で役立つものとなる。
たとえば、不動産業界で働く人であれば、ローンに関する知識が身につくことに加えて、顧客の生涯のマネープランに関するアドバイスが行えるようになる。より仕事の幅が広がることで、自身のキャリアアップにもつながるだろう。
3-5.CFPを取るためのステップになる
AFPの認定後は、ぜひCFPの取得にもチャレンジしたい。CFPはAFPの上位資格で、北米やアジア、オセアニアなど世界25の国・地域で採用されている資格である。試験の難易度としてはFP技能検定1級と同等といわれており、FP試験と同様に「金融資産運用設計」や「タックスプランニング」など6つの科目に合格する必要がある。
AFPを取得することでCFPの受験資格が得られるため、AFP認定をCFP取得のためのステップと捉えている人も多い。
4.AFPの登録手続き
AFP認定の要件を満たした人は、AFP登録手続きを行う必要がある。手続きの流れはオンラインと郵送によって異なるため、以下でそれぞれ確認していこう。
4-1.オンラインにて手続きを行う場合
オンラインにてAFP登録手続きを行う場合は、まず日本FP協会ホームページから「仮登録申請」を行う。その際に以下の書類が必要となるため、あらかじめ手元に準備しておこう。
・本人確認書類の画像データ(郵送可) ・2級もしくは1級ファイナンシャル・プランニング技能検定の合格証書 (F2、2FもしくはF1、1Fより始まる合格番号の入力が必要) ・AFP認定研修修了証明書記載の受講者番号(13桁数字) ・口座振替先の金融機関情報 |
その後、登録したメールアドレス宛てに本登録の案内が届くため、画面の指示に従って本登録申請手続きを行う。無事に手続きが完了すると、日本FP協会から、「AFP認定証」や「AFPライセンスカード」「AFPバッジ」などが郵送される。
また、日本FP協会の「マイページ」も利用できるようになる。
4-2.郵送にて手続きを行う場合
郵送にてAFP登録手続きを行う場合は、AFP登録申請書と必要書類を日本FP協会へ送付する流れとなる。AFP認定研修を修了しており、日本FP協会実施のFP技能検定2級(資産設計提案業務)に合格した人は、合格証書と共にAFP登録申請書が同封されているため、そちらを使用して送付しよう。
それ以外の、「FP技能検定2級合格後にAFP認定研修を修了した人」や「金融財政事情研究会実施のFP試験に合格した人」などは、日本FP協会からAFP登録申請書を取り寄せる必要がある。
日本FP協会への問い合わせはメールもしくは電話で受け付けているが、その際には「①FP技能士2級の合格番号及び合格した試験日」「②AFP認定研修修了証明書に記載されている13桁の受講者番号」が必要となるため、前もって準備しておこう。
また、オンラインと郵送どちらで申請する場合でも、AFPの登録期限には気を付ける必要がある。AFPの登録期限は、「FP技能検定2級に合格した試験日または、AFP認定研修修了日のいずれか遅い日の翌々年度末(3月末)」となっている。
もしも登録期限を過ぎてしまった場合は、再度AFP認定研修や試験をクリアする必要があるため、必ず期限内に登録手続きを行おう。
なお、「自分の登録期限が分からない」という場合は、日本FP協会あてに問い合わせをすれば教えてもらえる。問い合わせ先は以下の通りだ。
AFP登録期限に関する問い合わせ先 0120-874-417(会員フリーコール) 受付時間 9:00~17:30(土日・祝日・年末年始除く) |