現在はどの世代でも「転職」に踏み切る人が見られるが、世代によってその転職事情が大きく異なるのは事実である。そしてその「世代による転職事情の違い」によって、より良い転職活動の選択肢も異なってくる。
ここでは「40代の転職事情」に焦点を当てて、その実態と、おすすめの転職活動の選択肢およびそのメリットを紹介する。また、「おすすめの転職活動の選択肢」となりえる「転職エージェント」の選び方についても解説していく。
40代の転職事情
40代に限ったことではなく、転職・就職を取り扱ったデータは、「どこの団体が、いつ頃に、どのようなかたちで取ったか」によってその結果に大きな違いが見られる。
今回は、「40代の転職事情」を知るためのデータとして、株式会社マイナビの出した「転職動向調査2022年版」を引くこととする。このデータは、2022年の1月に行われたものであり、有効回答数は1500人であった。
このデータでは「企業規模がより大きい企業への転職に成功した」と答えた人のなかで1位にきているのは、30代男性と40代男性であったとしている。また女性の場合は、ほかの世代をすべて押さえ、40代がトップにきている。女性の場合は、より大きい企業への転職率が30%を超えるのは、唯一40代だけだ。
「年収」でも見てみよう。男性の場合、「転職後の収入が転職前より大きい」と答えた人が一番多かった層は40代であった。
また女性の場合も、1位こそ20代に譲っているが、40代も2位に入っている。
しかし、注意してほしい点もある。上だけを見ればまるで「40代の転職は、企業規模が大きく、かつ年収がアップする企業に転職しやすい」と思えるかもしれない。しかし「比較」をしていくと、そうとも言い切れないことがわかる。
たしかに40代の男性の場合は、企業規模がより大きい企業への転職への成功率が、30代の男性と並んで多い。しかし「企業規模がより小さい企業への転職率」に目を向けると、30代の男性に劣っていることが分かるのだ。30代の男性の場合は企業規模が大きい企業への転職率が38.0%、小さい規模への転職率が27.0%だが、40代男性の場合は前者こそ30代男性と同じだが、後者は28.1%となっている。
「年収」に関しては、40代の男性の場合は「年収が下がった割合」よりも「年収が上がった割合」の方が大きい。またこの2つを差し引きした場合でも、どの世代・どの年齢よりも年収が上がった割合の方が大きい。
しかし40代の女性の場合は、年収が上がった割合こそ30.9%と3割を超えているが、「年収が下がった割合」もまた33.0%と、3割を超えている。
また、データによれば、40代の正社員への転職率は男性4.8%、女性が5.1%である。ちなみに年齢・男女に関わらず、全体での正社員への転職率で見た場合はその数字は7.03%となるため、40代の男女の正社員への転職率は全体と比較するとやや落ちるといえる。
つまり、「40代の転職は、たしかに年収や企業規模が良くなることもあるが、女性の場合は男性に比べてやや不利である。また、男女ともに正社員への転職率は低い」といえるだろう。
- 出典:マイナビ「転職動向調査2022年版」
40代で転職エージェントを使うことのメリットとは

上記を踏まえたうえで、40代の転職活動を有利に進めるための味方を紹介しておく。それが、「転職エージェント」だ。
その理由は下記の3つである。
高条件求人情報なども探しやすい
転職エージェントはそれぞれ独自の「非公開案件」を持っている。登録しないと見ることのできないハイクラス求人のなかには、管理職を求めているものも多い。そしてこれらは、多くの場合、一般職の求人に比べて条件が良い。
人によって考え方は異なるが、「40代だからこそステップアップしたい」と考える人にとっては、転職エージェントの抱えるこの非公開求人は非常に魅力的なものとなるだろう。
自分が積み上げてきた実績の棚卸をしやすくなる
社会人として20年近く働いていると、だれもが実績やスキルを積んできている。しかしその実績やスキルは、自分の目ではなかなか気づきにくいものだ。
転職エージェントはそのような「自分の目ではなかなか気づきにくい実績やスキル」の棚卸しに協力してくれる。40代以降での転職活動は「自分が御社のために何ができるか」「自分の積んできた実績はどんなものか」をアピールすることが不可欠になるので、この作業を手伝ってもらえるメリットは非常に大きい。
企業情報が集めやすくなる
40代以降の転職は、一度しくじってしまうとリカバリーが難しい。そのため、事前に企業情報をリサーチしておくことが必要不可欠だ。しかし一人で企業情報を集めようとしても、どうしても限界がある。
しかし転職エージェントならば、その企業の詳細を事前にある程度把握ができる。それによって、より効果的なアピールができるようになるだろう。
転職エージェントの選び方を知っておく

転職エージェントが40代の転職において非常に心強い味方となることは、すでに述べた通りである。しかし、転職エージェントならばどこを選んでもいいというわけではない。
転職エージェントは、それぞれ「得意とする年代」を持っている。そのため、まずは40代以降を得意としている転職エージェントを選ぶべきだろう。
またその際には、「年収アップを第一の目的とするか、そうではないか」も合わせて考えておくべきだ。転職エージェントのなかにはハイクラス求人を得意としている(しかしその分、求職者に求められるスキルも高い)ところもあれば、未経験分野への果敢な挑戦を歓迎しているところもある。
もちろん、「多くのところに登録し、多くの求人情報に当たり、一番良い求人に応募する」というやり方も間違いではない。ただその場合は日程調整などが非常に難しくなるし、やりとりも煩雑になるうえ、ケアレスミスも起こりがちになる。そのため、利用する転職エージェントはある程度絞り込んだ方がよいだろう。
40代以降の転職こそ転職エージェントを頼ろう
社会人としての経験を積み、スキルも身に着けてきた40代の転職希望者のなかには、「できれば失敗したくない」「今回の転職が最後だと考えている」という人も多いことだろう。
このような人は、転職エージェントやキャリアコンサルタントの力を借りる方が良いだろう。彼らは非公開の求人情報も持っているし、スキルや実績の棚卸し作業も手伝ってくれるし、企業のデータバンクとして活用できる存在でもある。
転職エージェントやキャリアコンサルタントは、一筋縄ではいかない40代の転職活動をサポートしてくれる心強い味方となるはずだ。