転職する理由はさまざまあるが、会社がブラック企業であるため、ホワイト企業に転職したい人もいるだろう。ホワイト企業については、よいイメージがあると思うが、具体的にどのような企業をホワイト企業とよぶのだろうか。またどのような企業であれば、ホワイト企業だと思い、働きたくなるのだろうか。
この記事では、ホワイト企業を転職先としたいと考えている人向けに、ホワイト企業の見つけ方を見極め方について解説する。
ブラック企業とは?ホワイト企業とは?
ホワイト企業やブラック企業は一般的に使われている言葉だが、明確な定義はない。また転職者にとって、ホワイト企業を希望する人もいるだろうが、ホワイト企業でなくともブラック企業だけは避けたいと考える人もいるだろう。まず一般的にブラック企業とされる要因を挙げる。
ブラック企業とは?
厚生労働省 のサイトによると、
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
などと一般的に言われている、との記載がある。
また年末に発表しているブラック企業大賞では、見極める指標として次の項目を挙げている。
- 長時間労働
- セクハラ・パワハラ
- いじめ
- 長時間過密労働
- 低賃金
- コンプライアンス違反
- 育休・産休などの制度の不備
- 労組への敵対度
- 派遣差別
- 派遣依存度
- 残業代未払い(求人票でウソ)
- 出典:ブラック企業大賞とは
このように法令違反や倫理違反している企業はブラック企業とよべるだろう。
ホワイト企業とは?
前述したように、ホワイト企業にははっきりとした定義はない。イメージとして、平均以上の企業であればホワイト企業だと判断できるのではないだろうか。
たとえば、育休産休が全く取得できない企業はブラック企業として、育休産休を積極的に推進していれば、ホワイト企業だと判断できる。育休産休制度はあるが取得しにくい企業はブラック企業寄りと言えるかもしれない。
このような観点からホワイト企業としての条件をまとめる。
離職率が低く、企業に対する信頼性が厚い
離職率の低さは、総合的にホワイト企業であると考えられる。具体的にどこに魅力があり、どのような点で勤務者から信頼を得ているかはこれだけではわからないが、指標の一つになるだろう。平均勤続年数が他社より高い、中途採用の人数が少ない、倍率が高いなども参考になる。
労働基準法を守っている
法令遵守を徹底している企業はホワイト企業だと判断できる。実際に働いてみないとわからないことも多いが、口コミなどを参考に、タイミングが合えば面接で確認してみるのもよい。労働基準法のうち、おさえておきたい条件には次のようなものがある。
<労働基準法>
・賃金の支払の原則:直接払、通貨払、全額払、毎月払、一定期日払
・労働時間の原則:1週40時間、1日8時間
・時間外・休日労働:労使協定の締結
・割増賃金:時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上
<労働基準法の改正>
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・原則の月45時間を超えて労働させることができる回数は年6か月以内
とすること。
なおいずれの場合においても、
・時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満
・時間外労働と休日労働の合計は2~6月平均で1月当たり80時間以内
としなければならない。
福利厚生が充実している
福利厚生が充実しているかどうかは、企業紹介で把握できる可能性が高い。福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生があり、法定福利厚生は雇用保険や労災保険などであり、制度はあって当然である。
ホワイト企業については、法定外福利厚生が充実しているかどうかも判断材料となる。法定外福利厚生は会社の負担となるため、どの程度社員を重視しているかどうかがわかる。法定外福利厚生には、住宅手当や資格取得支援、食費補助、各種祝い金などさまざまある。
企業にとって法定外福利厚生を充実させることで、優秀な人材を確保し、長く働ける環境を提供している。これらのことから、法定外福利厚生が充実している企業は、ホワイト企業である可能性が高い。
ホワイト企業の見つけ方と見極め方
求人情報を見て判断できる、福利厚生が充実している企業の多くは大企業である。法定外福利厚生を充実させるためには、企業の負担が大きいためだ。誰しも大手企業で働けるわけではないため、見極めが難しいなかで判断する必要がある。
面接で確認する
求人情報だけではホワイト企業かどうかについて、確信を得られない。求人情報と実態とは異なる可能性もある。そのため、面接で直接確認したほうが確実である。ただし、残業や休日出勤などについて、いろいろと質問すれば、仕事に消極的だととらえられるかもしれない。質問するタイミング、順番、質問の仕方に十分注意しよう。
ネット情報で確認する
企業の評判や口コミをネットで検索して調べておくと参考になるかもしれない。ただし、信用できる情報かどうかの見極めが必要である点には注意しよう。
ホワイト企業として指標を決める
ホワイト企業の定義は明確に定められていないため、自身で指標を決める。「育休産休の取得を推進している」「有給休暇を希望通り取得できる」「資格取得サポートがある」など譲れない条件をまとめ、優先順位をつけるとよい。
転職アドバイザーを有効活用する
ホワイト企業の見つけ方として、転職アドバイザーを活用するのも一つである。基本的に無料で利用できるサービスで、転職に精通している専門家がさまざまなサポートをしてくれる。
相談のなかで、ホワイト企業としての希望を提示し、それをもとに求人を紹介してもらうとよいだろう。
また、このサービスのなかには、特定の業界・業種に特化したものもある。IFA転職もそのひとつで、金融機関への転職に特化している。金融機関への転職を希望している場合は、転職アドバイザーと相談してみるとよい。
漠然とした条件ではなく明確な条件で選ぶ
ホワイト企業を希望していたとしても、共通した定義はないため、条件が漠然としてしまう可能性がある。「育休産休の取得を推進している」などの具体的な条件をもとに転職活動をすると希望通りの転職先が見つかる可能性は高くなる。
自分自身がどのような企業で活躍したいか、じっくり考えてみよう。