「監査以外の仕事にもチャレンジしたい。でも、未経験での転職は不利になってしまうのだろうか」
「未経験分野での転職は、何歳までならOKなのだろう」
公認会計士の方で、未経験の業界への転職をお考えだろうか?転職は、同業種・同職種間であっても一大イベント。ましてや経験のない分野を希望するのであれば、不安も募る。
しかし、もう迷うことはない。この記事では、公認会計士として転職するメリット・デメリットについて、あなたの疑問にお答えする。また、どのようなことに気をつければいいのか、何歳までなら可能なのかについても紹介する。
転職はデリケートな話題であるため、相談する人を選ぶ。聞きたい時に聞ける環境にないことも多い。キャリアパスの描き方、職業人生における正しい一歩を踏み出すために、ぜひご一読いただきたい。
未経験の公認会計士が活躍できる業界を探る
大手転職サイト、リクナビNEXTにて「公認会計士、税理士 未経験社歓迎」で求人情報を検索したところ、12件がヒットした。同様に、パソナキャリアで「公認会計士、未経験可」の条件で検索したところ74件が抽出された。(両社とも2022年12月17日現在)
以下は抽出された業種・業界及びポジションである。
〈業種〉
- 監査法人
- M&Aアドバイザリー
- コンサル
- 税理士法人
〈職種 / ポジション〉
- M&A支援 /スタッフ・マネージャー候補
- 金融機関向け英文監査
- 証券化関連の会計・税務アドバイザリー/スタッフ・マネージャー
- IPO支援コンサルタント / スタッフ
公認会計士は経験がなくでも、幅広い業種・職種・ポジションとも幅広いニーズがある。
従って「内定が獲れるだろうか」といった不安はいらない。成長する可能性のある業界を調査し、見極めること。その業界では公認会計士が、どのような役割を担っているのか、どういった立場なのかなどを理解することが大切だろう。
公認会計士が未経験分野に転職するメリット・デメリット
未経験分野に転職するメリット
経験がない業務に際しても公認会計士は求人二ーズが高い。給与水準の高い業種・職種に転職する場合は年収が上がる可能性が高い。
キャリアアップの面では、今まで携わらなかった業務に触れたり、異なる業種のクライアントと出会える点がメリットだ。経験と人的ネットワークを広げられる。また、現在ジュニアポジションの場合は、転職先ではシニアポジションからのスタートになるケースもあろう。ポジションを上げての転職が見込まれる点もメリットだろう。
未経験分野に転職するデメリット
当初は転職するより、現職に留まっていた方が給与が高いこともある。ベンチャー企業への転職などの場合は、伸びしろも多い一方で足元の年収は下がる可能性が高い。同様に、会社業績や雇用が不安定になる可能性もある。
また業務に精通していないため、転職直後は仕事に対する充実感が減退してしまうこともあるだろう。
公認会計士が転職する際の年齢の考慮点
公認会計士が転職を検討する際、年齢が大きな判断材料になることがある。
20代の公認会計士が未経験の業務に転身するメリット・デメリット
最大のメリットは、新天地で早くスタートが切れることだろう。20代の転職者に対してマネジメント能力や他部署との調整力などを期待している会社は少ない。期待しているのは、業務の処理・遂行能力だ。
だからこそ、早いタイミングで入社し、一刻もはやく新しい業務に慣れることが採用担当の期待に応えることに繋がる。20代の公認会計士が経験のないの業務に転身する大きなメリットは、転身先での業務習熟が早まることだ。
デメリットは、一からすべてを学び直さなければならない可能性が高い点だ。20代であれば、現職で目立った実績があげられていないケースも多い。そうした状況で転職活動に突入すると、良い条件で採用されない可能性が高い。
具体的には転職先での業務遂行能力は変わらないものの、前職での実績を訴求して入社した30代以上の転職者より20代転職者は待遇面で劣る可能性が高くなる。
30代の公認会計士が未経験の業務に転身するメリット・デメリット
相応に実務経験を積んだ30代の公認会計士は、新しい分野に挑戦するメリットが多い。実務で培った会計に関する幅広い知識、財務の理解、問題解決能力こそが、公認会計士に求められるスキルだからだ。また、社会人経験を続けた実績から一定のプロ意識、献身、信頼性を持ち合わせていると評価されるのも有利な点だ。
デメリットは、他の候補者が存在する場合に現職での実績をシビアに評価される点だ。前職での実績が、今後着任する未経験の業務にいかに役立たせるかを主張することが求められるだろう。
40代の公認会計士が未経験の業務に転身するメリット・デメリット
40代の公認会計士が新しい業務分野に進出する際の最大のメリットは、経験や知識による恩恵だ。20年以上業界にいる公認会計士は、知識の幅と深さがある。経験したことのない業務ながら、横展開ができる職務能力がある。
また、数多くのイレギュラー対応をしてきた経験は採用担当には大変魅力に映る。修羅場をくぐってきた実績が40代求職者の強みだろう。また、培った人脈による転職も40代の場合は容易である。
一方ではデメリットもある。教育コストを考えると、40代求職者より定年まで先の長い30代の求職者が好まれる可能性がある点だ。さらに40代にはマネジメント力が求められることも多い。
チームとして何かを成しえた実績、チームを率いた経験をアピールできない40代公認会計士は経験のない業務への転職は難しいかもしれない。
公認会計士が未経験分野へ転職するコツは情報収集
転職先の候補となる業界・業種をを特定したら、成功させるための情報を集めよう。情報収集にはインターネットを使ってもよい。しかし、できることであれば知人から生の情報を得たい。
なぜなら知人はその分野について実体験を持っているからだ。知人自身が体験したギャップを聞かせてもらえる。また、その業界・職種で本当に必要とされるスキル、昇進、給与水準、休みのとり方など貴重な情報を聞かせてくれるだろう。
仮に、相談できる知人・先輩がいない場合は転職アドバイザーを活用しよう。公認会計士におすすめする転職エージェントについてはこちらの記事をご覧いただきたい。
経験豊富な公認会計士にとって、キャリアチェンジは新たな可能性を模索することになる。新たなスキルを身につけ、将来的な収入を増やす絶好の機会となり得る。綿密な計画とリサーチにより、公認会計士は未知の分野への道を切り開ける。
そして、よりやりがいのあるキャリアを手に入れることができるのだ。