転職は民間企業だけでなく、公務員になることも可能だ。
公務員は安定と言われているため、現在の会社の運営状況から転職する方も多い。
しかし公務員といえど「国家公務員」と「地方公務員」に分かれる。さらに民間企業から転職したくても資格や年齢などの制限が設けられているため、転職するのであれば事前に確認しておかなければいけない。
本記事では、公務員の種類と注意点や転職する2つの方法を紹介する。これから公務員への転職を検討している方はぜひ参考にしてほしい。
公務員の種類と違い
公務員は大きく分けて5種類ある。ここではそれぞれの業務内容と、国家公務員と地方公務員の違いについて解説する。
国家公務員総合職
国家公務員総合職は、法律の制定や改正、企画などに携わるキャリア官僚のことだ。
内閣府や総務省などの中央省庁や機関で勤めることになる「大臣」や「裁判官」などが挙げられる。決して簡単に転職できるわけではなく、難易度が高い試験と面接をクリアしなければならず、大卒が条件だ。
合格率は10%前後しかないが、一流の国立大等の出身が求められるケースが多い。
国家公務員一般職
ノンキャリアと呼ばれる一般職。大臣などが立案した政策などを運用していくのが主な業務なため、サポートのようなポジションだ。
国や自治体、行政などを円滑にすすめ、住民の相談や指導を行うことも仕事である。もちろん国家公務員ということもあり、ある程度の大学を出ていることや、大手企業での経験などが求められる。
国家公務員専門職
行政の特定分野に従事するのが国家公務員専門職。
主に以下の専門職が該当する。
- 国税専門官
- 労働基準監督官
- 外務省専門職員
- 法務省専門職員
- 裁判所職員
- 航空管制官
- 食品衛生監視官
総合職や一般職は、広範囲にわたる知見が必要となる一方、専門職は特定の分野だけとなる。
地方公務員(技術職)
市役所や役場で勤めている人の中で、「土木」「建築」「電気」「機械」「化学」「農業」「農学」などの専門分野に携わる人の事を指す。
民間企業からの相談窓口や申請関連の手続き、国家からの指示に従って市町村の維持管理に従事する仕事だ。中途採用の数も多く、民間企業から公務員へ転職する方が最も多い。
地方公務員(公安職)
消防士や警察官などが当てはまる。基本的に高卒・専門卒・大卒の新卒を採用するケースが多いが、中途採用も行っている。
とはいえ各行政によって毎年募集人数と要項が異なるため、事前に確認してほしい。
地方公務員(行政職)
県庁や市役所などに勤め、自治体が住民のために行う行政施策の立案や企画、業務などを行う。
イメージしやすい仕事内容で挙げると、「住民登録」や「年金手続き」、「介護・福祉の窓口」等が挙げられる。
その他にも各種税金や小中学校の運営、水道事業などもあり、多岐にわたる業務範囲があるのは行政職の特徴だ。
国家と地方の違い
国家公務員と地方公務員は民間企業の社員ではないため、リストラの可能性はない。さらに退職金もしっかりもらえることは双方の利点。その他にもメリット・デメリットがあるため、以下の表で違いをまとめている。
国家公務員 | 地方公務員 | |
---|---|---|
メリット | 国の政策に携わることができる 地方公務員より年収が高い 責任感の高い仕事ができる 社会的信頼度が高い | 市町村からの転勤はない 毎年基本給が上がる(数百円~数千円程度) |
デメリット | 全国転勤の可能性もある 合格率が非常に低い | 年功序列である 給料は民間企業の方が高いケースが多い |
公務員になるときに気を付けること
民間企業から公務員へ転職する際は、気を付けなければいけないことが2つある。
資格が求められることも
公務員の職種によっては資格がなければ採用されないケースもある。
例えば看護系技官であれば看護師の資格が必要だ。保健師であれば、看護師と保健師の国家資格が必要となる。その他にも公務員の職種によって求められる資格があるため事前に確認しておく必要がある。
年齢制限が設けられている
国家公務員の受験資格があるのは、採用年の4月1日時点で30歳未満でなければいけないことが多い。
とはいえ近年では年齢の引き上げを行っている自治体も増えているため、事前に確認してほしい。
また、地方公務員も同様に年齢制限を設けている。詳しくは各自治体のホームページを確認してほしい。
公務員になる方法
公務員になるには「一般枠」と「経験者枠」のどちらかを受験することとなる。
民間企業から転職する場合は経験枠となるが、専門職に転職しない場合、一般枠の中途採用に応募することとなる。
ではそれぞれの概要について解説する。
一般枠を受験する
一般枠の試験は、出願が毎年3月〜4月前後、一次試験が5月〜6月、二次試験が7月〜8月前後に行われることが多い。
一次試験は筆記、二次試験は面接となる。試験内容は主に「教養」「専門」「論文」の3つで構成されるが、職種によって異なるため、事前に確認してほしい。
なお中途採用は10月から勤務することとなる。
経験者枠の受験
民間企業での経験を活かして転職する場合、「経験者枠」として受験することとなる。企業に勤めていた年数も条件の一つとなっており、おおよそ5年程度。
とはいえ職種によって異なるため、事前に確認してほしい。経験者枠も筆記と面接が行われるが、民間企業で行ってきた仕事や社会人経験を重視するため、筆記のウエイトが軽いという特徴がある。
さらに大手の企業で勤めていた場合は優遇する傾向にもあるため、前職での経験を十分アピールしてほしい。
まとめ
今回は公務員の種類と注意点、転職する2つの方法を紹介してきた。公務員は大きく分けて5つ。
国家公務員は難易度が高く、簡単に転職できる職種ではない。
一方、地方公務員であれば、社会人としての経験を生かして転職することも可能だ。とはいえ年齢制限や資格の条件を設けている職種もあるため、事前に確認してから転職活動を行うべきだ。