銀行からの転職先には様々な転職先があるが、中にはベンチャー業界を選択する人も多い。銀行のような安定した業種からベンチャー業界へ転職するのは、思い切った決断のようにも感じられるが、どのようなメリットがあるのだろうか。
本記事では、銀行業界からベンチャー業界へ転職するメリットやその後のキャリアプランについて解説していく。ぜひ銀行から転職する際の参考にしていただきたい。
銀行業界からベンチャー業界へ転職するメリット
銀行業界からベンチャー業界へ転職することには、主に次のようなメリットが挙げられる。
・銀行での経験をそのまま活用できる ・事業を成長させる楽しみがある ・将来的にCFOのポジションを狙える ・ストックオプションを受け取れる |
それぞれ詳しく解説していこう。
銀行での経験をそのまま活用できる財務分析
銀行業界からベンチャー業界へ転職した場合、資金調達や会計部門の仕事を任されることが多い。銀行業務で学んだ財務分析や会計に関する知識がそのまま活用できるため、これまでの経験が実を結ぶ充実感が得られる。
銀行と融資交渉を行う場合には、これまでの経験からポイントを押さえた交渉ができるため、効率よく資金調達することも可能だろう。
また、ベンチャー業界で活用できるのは、財務に関する知識だけではない。銀行で培ったコンプライアンス意識や管理体制も重宝されるスキルである。ベンチャー業界のように企業体制が構築できていない環境では、銀行で叩き込まれたコンプライアンス意識が歓迎されることもある。
事業を成長させる楽しみがある
ベンチャー業界では、事業の成長に当事者として関われる楽しみがある。銀行での業務ももちろんやりがいはあるものの、企業の規模が大きいだけに「自分の仕事が銀行の成長に貢献している」という実感は得にくい。そのため、日々の仕事が退屈に感じることもあるだろう。
一方、ベンチャー業界では少数精鋭で業務に携わるため、自分の活躍が企業の今後を左右するといってもいい。自分の頑張りによって企業が成長していくのを見られるのは、ベンチャー業界ならではの楽しみといえる。
将来的にCFOのポジションを狙える
銀行業界からベンチャー業界へ転職した場合、将来的にはCFO(最高財務責任者)としてのポジションを与えられるケースもある。いち従業員としてではなく、役員として企業の経営に携われるのは、銀行ではなかなか経験できないことだ。
もちろんその分業務量や重圧感は増えるものの、「責任ある立場で企業に関わりたい」、「企業の経営に直接携わりたい」という人にとっては、嬉しいキャリアアップといえる。
ストックオプションを受け取れる
ベンチャー業界の特徴として、従業員にストックオプションが与えられることが挙げられる。ストックオプションによって株式を得た場合、事業が成長することによってまとまった資産を得られるメリットがある。
銀行でも持ち株制度があるところがあるが、多くの銀行では既に企業が成熟していることから、大幅な株価上昇は望みにくい。しかし、ベンチャー業界では成長によっては企業価値が何倍、何十倍にも成長する期待がある。自分の頑張りが利益として還元されるのは、大きなメリットである。
ただし、ストックオプション付与の有無や条件については各企業によって異なるため、転職時には細かい点まで確認しておくことがおすすめだ。
ベンチャー業界には成長フェーズがある
ひとくちに「ベンチャー業界」といっても、企業の成長フェーズによって労働環境や手掛ける業務が全く異なる。ベンチャー業界における成長フェーズは主に4段階あり、詳細は下記の通りだ。
成長フェーズ | 概要 |
---|---|
シード期 | ・事業の立ち上げ期 ・事業計画を立てたりメンバーを集めたりする段階 |
アーリー期 | ・事業の開発期 ・事業の仕組みや枠組みを確立していく段階 |
グロース期 | ・事業の拡大期 ・サービスが本格的に成長していく段階 |
レイター期 | ・事業の確立期 ・事業の基盤が安定し、IPOやバイアウトを目指す時期 |
このように成長フェーズには4段階あり、どの段階に位置しているかで担う仕事が大きく異なってくる。ベンチャー業界へ転職する際は、この成長フェーズに注目することも大切だ。
例えば、「事業の立ち上げから関わりたい」という人はシード期やアーリー期、「IPO前の最終的な資金調達に貢献したい」という人はグロース期やレイター期に属する企業を選ぶとよいだろう。
ベンチャー業界へ転職した後のキャリアプラン
転職活動では、長期のキャリアプランも見据えておく必要がある。銀行業界からベンチャー業界に転職した場合では、どのようなキャリアプランが描けるのだろうか。ここからは、主な選択肢を紹介していこう。
企業の成熟を目指す
転職した企業にそのまま在籍しながら、企業の成熟を目指すのもひとつの選択肢だ。長く在籍することで裁量権も大きくなれば、新しい事業の立ち上げを企画したり、企業の今後に関わる意思決定にも携われる。
「企業理念に共感できる」、「企業の成長性を確信している」と感じられるような企業であれば、長く働き続けるのも良い選択である。
M&Aによるバイアウト
ベンチャー業界の中には、バイアウトによるExitを目指している企業もある。バイアウトによってまとまった資金が得られれば、それを原資として自分で事業を立ち上げることも可能だ。「ベンチャー業界で学んだ経営ノウハウを活かして、いずれは自分で事業を立ち上げたい」と考えている人には、バイアウトはそのきっかけのひとつになるだろう。
また、バイアウトを成功させた当事者として他のベンチャー企業やスタートアップ企業へ移ることも可能だ。同じようにバイアウトを目指す企業であれば、成功体験の保有者として歓迎される可能性が高い。場合によっては、これまでの経験・キャリアを買われてCFO(最高財務責任者)として迎えられるケースもあるだろう。
銀行業界からベンチャー業界へ転職するためには
銀行業界からベンチャー業界へ転職するためには、主に次の2つの方法が挙げられる。
・知人からの紹介、自分からのアプローチ
・転職エージェントの活用
それぞれ詳しく解説していこう。
知人からの紹介、自分からのアプローチ
ベンチャー業界への転職では、大手企業のように何度も面接を重ねて採用試験を受けるのではなく、知人や従業員の紹介によって採用が決まるケースがある。銀行での人脈が活きることも少なくないため、常にアンテナを張っておくように意識しよう。
また、入社したいベンチャー企業を自ら発掘する方法もある。「この企業で働きたい」という強い意思があれば、その意欲や銀行での経験を買われることもあるだろう。ただし、その場合は、転職後に「イメージと違った」「思っていたような働き方ではなかった」とギャップを抱くことのないよう、しっかりと情報収集を行っておくことが大切だ。
転職エージェントの活用
銀行業界からベンチャー業界への転職では、エージェントを活用することもおすすめである。ベンチャー業界への転職は、全く環境が違う企業に飛び込むこととなるため、あらかじめ自分の強みやキャリアプランを明確にしておくことが大切だ。
転職エージェントでは、キャリアコンサルタントがスキル棚卸やキャリアプランの形成をサポートしてくれるため、多忙な銀行業務の中でも円滑に転職活動が進められる。「効率よく転職活動を行いたい」、「第三者のアドバイスを受けたい」という人は、ぜひ転職エージェントの活用を検討しよう。
銀行での経験を活かして転職しよう
銀行業界からベンチャー業界への転職は、全く新しい環境へのチャレンジになるが、財務分析や会計に関する知識など、銀行で学んだスキル・経験をそのまま活用することが可能だ。将来的にはCFOへの就任やバイアウトなど、大きなキャリアアップにつながることもあるため、「銀行で得た知識を活かしてキャリアアップを目指したい」という人にはおすすめの転職先である。
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