「今の勤務先に特に不満はないが、このまま勤め続けてもキャリアアップできないのではないか」
「現職は昇給の見込みが薄いので、転職してキャリアアップも給料も上げられれば…」
今の職場に行き詰まりを感じていたり、待遇に不満を持っていたりする人は多い。
そんな悩みを解決する方法のひとつに「転職によるキャリアアップ」がある。成功すれば大幅な昇給も見込める。一方で失敗すれば、逆に待遇が悪化したり、望まない退職に追い込まれたりなど、リスクも否めない。
この記事では、転職でキャリアアップを成功させるコツと失敗しないための注意点を解説する。さらに、キャリアアップのための転職以外の方法もあわせて紹介していく。
転職でキャリアアップを考えている人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてほしい。
キャリアアップとは
「キャリア」を直訳すると「経歴」であり、ビジネスシーンにおいては仕事をする過程で積み上げた経験を指す。その経験を、職務を遂行する能力をブラッシュアップすることでさらなる高みに押し上げていくことがキャリアアップである。
似た言葉に「キャリアチェンジ」と「スキルアップ」があるが、意味するところは大きく異なる。混同しないよう、それぞれについて解説しよう。
キャリアチェンジとは
キャリアアップが今の仕事の経歴を上げていくことの意であるのに対して、キャリアチェンジは今とは違う仕事に“鞍替え”することを指す。つまり、職種や業界を変えて経験値の無い地点からリスタートするということである。
職種を変えれば、今まで積み上げてきた経歴はストップするが、身につけた経験やスキルは転用できる。また、新しい世界を知ることで視野が広がり、それまでとはまったく別の人脈を得ることもできる。とはいえ実質“ゼロスタート”の扱いとなるため、給料や地位が下がる場合が多い。
一般的には転職で職種を変えるケースが多いが、複数の事業やプロジェクトを持つ大きな会社の社内でまったく別の業務を選ぶというケースもある。
スキルアップとは
文字通り、いまの仕事のスキル(技能)をブラッシュアップしたり、関連する資格を取得したりすることを指す。スキルアップして能力や成績の向上が認められれば昇進や昇給が期待できる。転職しなくても達成可能で、取り組んだとしても失うものが少ない。
スキルアップは、ビジネスパーソンならば常に自分に求めたいアクションだと言える。
転職でキャリアアップするためのポイント
転職してキャリアを積み上げるためには、成功確率が上がる行動に取り組み、失敗するリスクをできるだけ下げることが大切だ。成功のコツと失敗しないためのヒントを以下に解説する。
成功させるコツ
まず、今の自分の置かれている状況と、そこからどうしたいのかを明確にすることから始めよう。今の仕事の不満点・不安などネガティブな要素(問題点)を洗い出し、その問題を解決するための方法(転職やスキルアップ)を考える。
「将来こうなりたいイメージ」が明確なら、そこから逆算して必要なもの・足りないものを炙り出していくのも良い。
また、今の自分がもつ「強み(得意)」と「弱み(苦手)」を自己分析しておけばキャリアプランを描く際に役に立つ。
自己分析には、専用のツール※を利用してみるのも良いだろう。
自分の強み・弱みは、面接などの採用選考時に問われることが多いポイントでもある。自信を持って答えられるように把握しておきたい。
将来設計や自己分析を行なった結果、転職が最適解となったなら、そのための準備に取り掛かろう。
- 転職先の候補を絞り、その会社のホームページや「四季報」などを活用して研究する
- 応募書類(エントリーシート・履歴書・職務経歴書など)の効果的な書き方を修得する
- 面接対策を練る
転職は必ずしも成功するものではないため、リスクヘッジとして失敗した場合の“B案”も用意しておきたい。詳しくは次項で述べる。
失敗しないために心がけたいこと
キャリアアップを目指して転職しても、失敗してはどうにもならない。かといって、失敗を恐れるあまり行動が起こせなくなるのも問題だ。
前提として、チャレンジにはリスクがともなう。言うまでも無く転職は大きなチャレンジである。失敗した場合に備えて準備を整えておくことは必須だと言える。
転職後すぐに退職してしまった場合、ある程度の生活費は必ず確保しておくことをすすめたい。失業すると(条件を満たしていれば)失業保険がもらえるが、自己都合による退職の場合は原則2カ月間の待期期間がある。最低3カ月は持ちこたえられる金額が望ましい。
結婚や出産などの大きなイベントを控えている人は、転職によるリスク(給料のダウンや早期の退職)も十分にプランに折り込んでおこう。次の仕事に活かせる人脈が今の自分にあるのかを考えてみるのも良い。人脈があれば、転職先で早期に成果を上げられやすくなる上、いざというときに頼ることもできる。
もしそんな人脈が無いなら、今から構築を図っても遅くはない。上席や同僚はもとより、取引先とも良好な関係を普段から築いておくことが肝要だ。
また、転職先を給与や福利厚生の待遇面だけで決めないことも重要である。転職の目的がキャリアアップであるならば、もし現職より待遇が悪くなったとしてもキャリアプランに沿った転職先を選ぶべきだ。
設計したプラン通りに進めば、いずれ昇進や昇給も可能となる。近視眼的ではなく、長期を見据えたうえで判断するようにしたい。
このほか失敗しないためには、転職先を入念に調べ上げることも重要である。入社後に「こんなはずじゃなかった…」とミスマッチを嘆く破目に陥るのは決してレアケースではない。
幸い、今はネット環境とパソコン1台あれば会社のリサーチには事欠かない時代だ。事前に調べもせずに「なんとなく」転職先を決めるのだけは避けてほしい。
キャリアップする手段は転職だけではない
キャリアアップするための手段として転職にフォーカスして解説してきた。だが手段はほかにもある。
- 今の会社内でキャリアップが見込める(より専門的な仕事や大規模な仕事に携われる)他の部署に異動する
- 職歴や人脈を活かして独立起業する(士業やコンサルなど)
視野を広げて、さまざまな可能性の中から今の自分の立場やリスク許容度を勘案し手段を精査することが大切だ。
迷った場合は転職エージェントへ
キャリアアップするための転職はリスクも多いが、自己分析に裏打ちされた将来のプランニング・事前の情報収集・B案の用意などを行なって最大限にヘッジすれば成功確率は上がる。そして成功した場合のリターン(新しい視野や人脈、昇給・昇進など)は大きい。
また、転職以外にもキャリアアップする道はある。記事を参考にして、どの道が自分に合っているのか今一度立ち止まって考えてもらえたら幸いである。
それでも道に迷ったのなら「転職エージェント」に相談する方法もある。専門的な知見を持つ彼らのサポートは、目指すべき方向を指し示す強力な羅針盤となるだろう。