ウィークリーセミナー
主に金融商品の提案・販売を取り扱う銀行のリテール営業は、支店の収益の稼ぎ頭だ。やりがいのある仕事だが、与えられる目標も大きく、「ノルマのプレッシャーが辛い」、「残業が多くハードワークだ」と転職を考える人も多い。
そこで本記事では、銀行のリテール営業からの転職先や、転職活動で役立つ資格について解説していく。
銀行のリテール営業を辞めたい理由
転職活動を始める前には、まず自分が仕事を辞めたいと考える理由を明確にしておくことが大切である。転職をしたい理由が分かっていなければ、新しい職場でも同じような不満を感じる可能性があるためだ。
ここからは、銀行のリテール営業を辞めたいと考える主な理由について紹介していこう。
営業目標のプレッシャーが大きい
銀行のリテール営業では、半期ごとに営業目標が課せられる。リテール営業は支店に与えられた営業目標の大半を担うため、自分のノルマが到達しなければ支店全体の営業目標も未達になるプレッシャーがある。
「どうにか目標を達成できた」と思っても、新しい半期を迎えればまた1からのスタートだ。営業目標に到達した瞬間は達成感ややりがいが感じられるものの、常に数字に追われるプレッシャーは相当のものである。「いつまでこの繰り返しなのだろう」と考えると、転職を考えるのも無理はないといえる。
銀行内でのキャリアプランが見えない
銀行のリテール営業は、銀行内でのキャリアプランが見えにくいデメリットもある。リテール営業が取り扱う金融商品の勧誘・販売は、銀行の本業ではないこともあり、長期でのキャリアプランが展開しにくい。
今後、支店長代理、次長、支店長とキャリアを積み重ねていく中では、本業の与信を取り扱う法人営業の方が王道コースを歩みやすいだろう。銀行におけるリテール営業は、あくまで御用聞き的な側面が大きいことから、「預り資産営業が好きなのに、リテール営業だけではキャリアを積み重ねづらい」と不満を抱く行員も少なくない。
転勤生活に疲れた
銀行で働く限り、転勤は避けて通れない。入行前から転勤については覚悟していても、およそ3年周期で環境が一新するのはなかなか慣れるものではないだろう。「せっかくお客さまと関係が築けたのに、また転勤でリセットされてしまう」と残念な思いをすることも珍しくない。
また、結婚や出産、介護などの事情で転勤が難しくなるケースもある。銀行側もそうした個別の事情は配慮してくれるが、「転勤のない会社の方が働きやすい」、「転勤生活では家庭と両立できない」とやむを得ない事情で転職を考える人もいる。
銀行のリテール営業の強みを活かす転職先
銀行のリテール営業では、顧客とのコミュニケーション能力や折衝力、営業スキルなど多くの強みを身につけられる。そうした強気やスキルを活かせる転職先として、次のような例が挙げられる。
・他の金融機関
・無形商材の営業職
・IFA
それぞれ詳しく解説していこう。
他の金融機関
銀行のリテール営業の経験は、他の金融機関でも活用できる。証券会社や保険会社であれば、リテール営業の経験が大きく活きることもあり、「なかなか仕事に慣れない」ということも少ないだろう。
また、証券会社や保険会社ではキャリアプランが描きやすいこともメリットだ。銀行のリテール営業は本業の法人融資を取り扱わないこともあり、なかなか銀行内で長期でのキャリアプランが描きにくい。その点、証券会社や保険会社では、自分の頑張り次第でキャリアを積んでいくことが可能である。
「預り資産営業のスキルを磨きたい」、「金融商品の販売に特化した仕事をしたい」という人は、他の金融機関への転職を検討してみよう。
無形商材の営業職
銀行のリテール営業の経験は、無形商材の営業職でも活用できる。銀行のリテール営業で取り扱う金融商品は、目に見えない無形商材だ。商品の良さや特性が視覚からは伝えられないため、行員の説明や営業スキルで顧客が契約してくれるかどうかが決まるといってもいい。
そのうえ、金融商品には元本割れのリスクもある。「もしかしたら損失が発生するかもしれない」という商品を顧客が契約してくれるのは、きちんと行員と顧客との間に信頼関係が築けているからだろう。
無形商材の中でも特に難しい金融商品を販売した経験は、たとえ異業種であっても役に立つ。「営業職は続けたい」、「金融業界以外で働きたい」という人は、IT業界や人材業界などの無形商材の営業職を検討してみよう。
IFA
銀行のリテール営業はIFAへも転職可能だ。IFAとは「独立系ファイナンシャルアドバイザー」とも呼ばれ、特定の金融機関に所属せずに金融商品を販売する職種である。
銀行のリテール営業を務める中で、手数料優先の営業姿勢に心を痛めた経験がある人も多いだろう。IFAは金融機関からノルマを与えられることがないため、真に顧客目線での営業ができる。ノルマに追われることなく営業活動が行えるのは、精神的なメリットも大きい。
また、IFAは会社都合の転勤がないため、生涯担当制で顧客と付き合っていくことができる。「顧客のためになるような金融商品を販売したい」、「長期にわたって関係性を築いていきたい」という人は、ぜひIFAへの転職も視野に入れてみよう。
銀行のリテール営業からの転職で活かせる資格
転職活動では、スキルの証明ともなる資格を取得しておくことも大切だ。銀行のリテール営業からの転職では、主に次のような資格が役に立つといえる。
・ファイナンシャル・プランニング技能士
・プライベートバンカー資格
・宅地建物取引士
それぞれ詳しく解説していこう。
ファイナンシャル・プランニング技能士
金融系資格の代表格であるファイナンシャル・プランニング技能士は、ぜひ取得しておきたい資格である。ファイナンシャル・プランニング技能士では金融商品の仕組みだけでなく、不動産や税制、年金制度など幅広い知識が学べる。金融業界以外に転職する場合にも役立つ資格であるため、積極的に取得することがおすすめだ。
また、金融業界内での転職を検討している場合は、ファイナンシャル・プランニング技能士と並行して、AFPやCFPのFP資格の取得にもチャレンジしてみよう。
プライベートバンカー資格
金融業界内での転職は、プライベートバンカー資格の取得もおすすめだ。プライベートバンカー資格は日本証券アナリスト協会が認定している資格で、資産承継や税務、相続などに関する知識が身につけられるものである。
近年では、銀行や証券会社でもプライベートバンク部門を設けるところも増加しているため、金融業界内で転職を検討している場合は、積極的に取得しておこう。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産資格の代表格であるが、金融業界で役に立つ知識も身につけられる。不動産の評価額の算出方法などは銀行やIFA、証券会社の業務でも使える実用的なスキルだ。
不動産業界への転職はもちろんのことだが、金融業界内で転職する場合も有効な資格であるため、計画的に取得しておくことがおすすめである。
強みを活かして転職を成功させよう
本記事では、銀行のリテール営業からの転職先や役立つ資格について解説してきた。高い営業力やコミュニケーション能力、折衝力が身につくリテール営業は、転職市場でも高く評価される傾向にある。
金融業界内だけでなく、異業種でも役立つスキルや強みが多く身についているため、ぜひ自信を持って転職活動に取り組もう。
本サイト「IFA転職」では、金融業界での転職活動をサポートしております。銀行のリテール営業からの転職を検討されている方は、ぜひお気軽にIFA転職へご相談ください。
