「こんな理由で転職したいなんて思ったらわがままなのか?」
「完璧な職場なんてない。これくらいの理由で転職を考えてはいけないのか?」
組織への貢献意識が高い人ほど、今の仕事に対する不満が転職理由になるのか、それとも単なるわがままなのかを悩む。安心して欲しい。どのような理由でも転職理由になる。大切なことは、面接官に対してどのように転職理由をどのように伝えるかだ。
伝え方のポイントは以下2点に集約される。
- 退職理由はポジティブに表現すること
- 志望動機につなげて話すこと
本稿ではよくある転職理由と、それに対する回答例を紹介する。
この記事を読むことで面接で堂々と回答できるようになり、自信に溢れた転職活動ができるはずだ
よくある転職理由
厚生労働省の調査によれば、よくある転職理由は下記3つであった。
- 給与等収入が少なかった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 労働条件、休日等の労働条件が悪かった
男女別主な離職理由(会社理由、定年退職などを除く)
給与等収入が少なかった | 職場の人間関係が好ましくなかった | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった | |
---|---|---|---|
男 | 9.4% | 8.8% | 8.3% |
女 | 8.8% | 13.3% | 6.0% |
なぜ面接官は、転職理由を尋ねるのだろうか。
理由は2つある。1つは「仮に採用したとしても同じ理由で辞めてしまうのではないか」と考えるため。2つめは、回答によって、仕事への取組み姿勢がわかるからだ。
つまり、転職理由は「面接者を試す」質問である。「なんとなく嫌だ」ではなく、「なぜ辞めたいのか」を整理して、回答をしっかり準備しておくことが大切だ。
面接で転職理由を聞かれた場合の応え方
では、具体的にどのように回答するのが好ましいのだろうか。
「給与など収入が少なかった」場合の回答例
「成果に応じた報酬ではなかった」「将来、家庭をもって充実した気持ちではたらきたい」などを伝えるとよい。
「お金のことしか興味がない」「会社への不満や批判」と判断されないような表現をしよう。
〈回答例〉
現在「現在入社4年目です。2年目以降毎年目標を達成していますが、会社の給与制度の影響で、入社時から収入がほとんど変わりません。成果に応じた報酬制度の御社でモチベーション高く、仕事に取り組みたいと考え志望いたしました」
「職場の人間関係が好ましくなかった」場合の回答例
人間関係を前面に退職理由を説明することは、避けたほうが無難だ。他人と一緒にはたらく以上、どの会社でも人間関係のトラブルは発生しうるからだ。間違えてもトラブルメーカーだと誤認されることのないよう、「チームワーク」や「コミュニケーション」など前向きな単語をつかって説明していきたい。
〈回答例〉
「現在の会社では、個々人に大きな裁量が与えられている一方で、仕事のやり方やノウハウを共有する文化はありません。個人の長所を活かすやり方もよいとは思いますが、優れた事例やノウハウは共有したほうがよいと思っています。会議でナレッジ共有を提案したこともありますが、上司自身が「スーパープレイヤータイプ」であることもあり、賛同を得られませんでした。御社のHPには、プロジェクトチーム単位で業務に取り組んでいると記載がありました。同僚、先輩とコミュニケーションを取る中で持てる力をチームとして最大限発揮したいと考え志望いたしました。」
「労働時間、休日などの労働条件が悪かった」場合の回答例
「月●時間の残業」など具体的数値をあげて話すことで、客観性と説得力が増す。また、業務効率に取り組んできた実績をアピールすることもおすすめだ。「ゆっくり休みたいから転職する」といった印象を与えないような話し方が重要になる。
〈回答例〉
「提案書のフォーマットを統一させる、データ取得作業を自動化させるなど、さまざまな業務効率化を図ってまいりました。しかし現在は、月平均70時間の残業が状態化しており、プライベートの時間がとりにくい状況です。私はこの業界で長く働くために、●●の資格取得にチャレンジしたいと思っております。働きながら、業務に役立つスキルアップを目指し続けるために転職を決意いたしました。」
この章では転職理由をポジティブに言い換え、志望動機に結びつける話法を紹介した。ここまで読むことで、転職理由は「答えにくい質問」ではないことがおわかりいただけたであろう。転職理由の説明は、仕事に対する「想い」と志望動機を話せる自己アピールタイムなのだ。
しっかり準備をして堂々と面接に臨もう。
転職エージェントを利用しよう
転職活動において、退職理由の整理など自己分析が大切なことはいうまでもない。一方で忘れてはならないのが、その企業が人員募集に至った背景を知ることだ。
欠員補充による募集なのか、新規事業参入に伴う募集なのか。募集の背景によって、面接官に刺さるトークはおのずと変わってくる。とはいえども、採用の背景を把握することはむずかしい。
そこで、おすすめしたいのが、転職エージェントの利用だ。エージェントは、その企業がなぜ募集しているのか、どういった人材を求めているのかを熟知している。
だから自分一人で頑張るより、ずっと的確に面接対策ができる。また、アピールすべき点が、わかりやすく訴求された職務経歴書だって容易に作れる。採用プロセスが進む過程では、年収や入社時期の交渉もしてくれる。
これらのサービスが受けられるにもかかわらず、求職者は無料で利用できる。使わない手はない。
退職理由をしっかり説明できるようになったら、転職エージェントに添削してもらうことをおすすめする。しっかりとした自己分析 × 転職エージェントの利用でパワフルで効率的な転職活動ができるはずだ。