株式会社Innovation IFA Consulting-代表取締役社長 柏原 聖士氏
「豊かさを創造する」
数多くあるIFA会社のなかでは珍しく、上場企業の資本参加を受けているのが、株式会社Innovation IFA Consultingです。
今回は代表取締役の柏原氏に会社の強みや今後の金融業界についてお話をお伺いしました。
これまでの経歴を教えてください。
大学卒業後、新卒で野村證券に入社し、9年間リテールの営業に従事したのち、金融とは異なる分野で起業し、同時に業務委託IFAとして活動していました。
その後、株式会社Innovation IFA Consultingから経営に参画しないかというオファーを頂いたことをきっかけに正社員として入社し、現在は代表取締役を務めています。
IFAになった経緯を教えてください。
証券会社時代は常に成果が求められる環境の中で、精神的にも若く野心に満ちており、「同期に勝ちたい、会社に評価されたい」という思いが、「お客様にとって最善の資産運用を提供する」という思いを上回ってしまっていたと思います。
しかし年次が上がり、証券営業としての経験を積むにつれてお客様の大切な資産を預かる責任の重さを改めて認識するようになり始めますが、手数料収入や公募商品の販売のようなやらなければいけないことと対峙するお客様との間でジレンマを感じながら働いていました。
最終的に、証券会社でのキャリアと上記のような疑問に対しての違和感を払拭できず、自ら事業を始めることを決意して退職しました。
しかし、この事業が思うように進まず、資金繰りが非常に厳しい状況に陥りました。そんな時、IFAという働き方を知りました。とはいえ当時は本業があったため、副業でIFAとしてのキャリアをスタートしました。
「野村證券で10年間培ったスキルを活かし、本業の資金繰りの改善を図れれば」という思いでした。
IFAとしての活動は0からの開拓でしたが、税理士の方からのご紹介などのご縁にも恵まれ、徐々に成果を上げることができました。中立的な立場でお客様に最適な提案をすることができ、特に魅力を感じたのが「自己研鑽や時間的リソースをすべてお客様に向けられる」というところです。
私は株式会社Innovation IFA Consultingで業務委託として働いていましたが、「経営に参画しないか」というオファーを頂いたのはそんな時でした。本業が厳しい状況だった際にIFAという働き方に助けられたことに感謝し、恩返しの気持ちも込めて経営に参画することを決意しました。
株式会社Innovation IFA Consultingのミッションを教えてください。
弊社のミッションは「資産運用を日本のスタンダードに押し上げ、社会・お客様・従業員の豊かさを創造すること」です。
社会・お客様・従業員の「豊かさ」というものを下記のように定義しています。
社会の豊かさとは、「間接金融から直接金融への移行を促し、良い資金循環を作ることで日本経済が発展し、ひいては日本全体が潤う」こと。
お客様の豊かさとは、「お客様自身やお客様が大切にしたい存在が長期的に金銭的な不安や懸念を感じることなく、好きなことに十分な資金を使うことができ、突発的な事態への備えが十分に出来ている」ことを指します。
上記の上にそれぞれの幸せな人生を描けると考えております。
従業員の豊かさとは、「社会貢献の実感、自身の成長、十分な報酬、共に働く楽しい仲間がいる」ことです。
株式会社Innovation IFA Consultingの強みを教えてください。
弊社の強みは上場企業グループの傘下にあることです。これにより、お客様からの信用を得るだけでなく、上場企業としての厳格なガバナンスが効いている点が大きな強みです。
特に、IFA法人はコンプライアンスリスクを抱えることが多く、ルール整備や管理、チェックが十分に行き届かないケースが見受けられますが、弊社は、内部監査やチェック機能をしっかりと導入しています。また、親会社の顧客基盤やリソースを活用できることも、弊社の強力なアドバンテージです。
注力している取り組みを教えてください。
弊社では現在、特にリードの獲得に注力しています。具体的には、送客サービスやマッチングサイトの利用、セミナーの開催、紹介サービスの提供、紹介契約の推進、さらには上場企業とのIRウェビナーなど、多岐にわたる取り組みを行っています。
我々の業界は、新規開拓が基本であり、新規開拓は最も難易度の高い仕事です。ここに関しては会社としてまさにアクセルを全開で取り組んでいます。その結果として、月に200件以上の新規のお客様から面談希望をいただいています。今後はこの数字を10倍、100倍にしていきたいです。
どのようなご相談を受けることが多いですか。
WEB上の集客媒体を通じてご相談いただくお客様の特徴として、金融資産が1億円未満で、30代から50代の方が多いです。特に、将来のために自分の老後資金をどのように築いていくかという相談が多く寄せられています。
最近では、2,000万円問題や4,000万円問題といった報道が不安を煽っており、引退後のための資産形成について早めに対策を始めたいという声をよく耳にします。また、現在運用している商品の見直しや、キャッシュフローのシミュレーションを希望される方も多くいらっしゃいます。
提案の際のポイントを教えてください。
弊社では提案を行う際に必ずお客様のライフプランの作成から始めます。「特定の銘柄や商品を勧めて欲しい」というご相談をいただくこともありますが、資産運用の最適解は個々のお客様で異なります。
そのため、お客様に最も適した資産運用を提案する為に、まずはキャッシュフロー、ライフプラン、年齢、家族構成、考え方などを詳細に把握し、シュミレーションを行います。
こうした情報に基づいて、どのように資産を活用するかを提案し、お客様の豊かさの実現を目指しています。
具体的には、初回の面談ではお客様のお話を十分にお伺いすることに重点を置いています。
その後、2回目の面談ではポートフォリオを組む際に、理論的な背景や資産を分散してポートフォリオを組む必要性についてご説明し、作成したライフプランに基づき、お客様の目標や夢を実現するために、現在の資産をどのように運用すべきかをご提案しています。
業務委託と正社員の割合を教えてください。
現在、営業の人数の割合は、業務委託が70%、正社員が30%です。
それぞれの方に対して業務委託と正社員の条件を提示し、選んでいただいております。
所属する外務員の皆様のバックボーンを教えてください。
弊社に所属する外務員のほとんどは証券会社出身です。具体的には、約95%が証券会社での営業経験を持っており、保険業界や銀行出身の方は少数です。
所属IFAの紹介を通じて新たに入社していただくケースが多く、証券会社出身者の割合が高くなっています。
御社の年齢層を教えてください。
弊社では30歳から35歳の層が中心となっており、30代前半の社員が全体の50%を占めています。
IFAの平均的な年齢層は35歳から40歳と思いますが、他社と比較して若い年齢層が多いのが特徴です。
今、現在の金融業界に感じている課題を教えてください。
多くの人々が20年後、30年後の日本の状況や、自分たちが望む豊かな生活を送ることができるかどうかについて不安を抱いています。
日本経済の規模やGDPの成長が新興国に比べて鈍化しており、現在支払っている年金が将来どうなるかも不透明な状況です。このような将来への不安が日本の社会課題の一つであると考えています。
私たちはこの課題を解決するために、「資産運用を日本のスタンダードに押し上げる」ことを目指しています。
特に不安を抱えている世代の方々に安心を提供し、この課題に真摯に取り組んでいきたいと考えています。
IFA業界の今後についてはどのようにお考えですか。
IFA業界は、今後IFA業者の特徴の多様化、多極化が進むと考えています。富裕層のお客様に特化するか、マス層と呼ばれるお客様に特化するか、業務委託を中心に営業をするか、正社員を中心に営業をするか。
加えて、手数料のベースダウンや開示など規制やルールなども大きく変わってくる可能性があるなかで、「何を追及して何を捨てる」のかが業者によって大きく異なってくるのではないかと考えています。
その中で、我々は「富裕層対応とマス層対応の2つのモデルを明確に分け、どちらにも対応できる組織を作り、それを強みにしていきたい」と考えています。
マス層のお客様獲得や対応は、ある程度ルールに基づいた安定したサービス提供が求められる一方で、富裕層と呼ばれるお客様には、証券限らない金融リテラシーと業界を超えた様々な教養をバックボーンとした個別対応の柔軟性も求められるため、IFAが比較的自由な裁量を持って対応するのが適していると考えています。
その為、お客様の金融資産やステージ、年齢に応じて最適なサービスを提供できるよう、組織の対応を明確に分けていくことが重要だと考えており、上場企業の傘下という強みと所属する正社員IFA、業務委託IFAというリソースをフルに活用して構築していきたいと考えています。