STIファイナンシャル株式会社 大川貴司氏 TOPインタビュー
本日は、東京を拠点にIFA事業を展開している、STIファイナンシャル株式会社 代表取締役大川様に、
IFA事業の現状や将来展望、そして会社の強みや特色について詳しくお聞きしました。
会社の歴史や特徴
経歴を教えてください。
私は大学を卒業後、2007年に大和証券に入社し、去年まで勤めていました。株式や投資信託、債券などの金融商品の販売を担当するリテール営業部門に勤め、途中新人教育にも携わってきました。
その後、新しい支店を開設することになり、準備段階から携わりました。
2018年から営業所の営業所長を5年間勤め退職し、その後STIファイナンシャル株式会社の創設に参画し、代表を務めています。16年間のキャリアを通じて、金融商品の専門知識だけでなく、新人教育や支店管理などマネジメント業務の幅広い経験を積むことが出来ました。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)を知った理由、目指した経緯を教えてください。
IFAを知ったきっかけは大和証券時代の同期や同僚がIFAに転身したり、新聞や雑誌で特集を目にすることが多かったからです。これらの情報から自然とIFAの存在を認識するようになりました。
IFAになった理由は、営業所長を勤めていた期間に地域密着の顧客サービスを行ってきた経験が大きく影響しています。支店の立ち上げ準備期間を含めると約7. 8年にわたって在籍していました。従来は長くても5、6年でいずれかは転勤になり、今担当しているお客様との関係はなくなってしまいます。
その時に、お客様にずっと寄り添って身近でサポートさせていただくのは厳しいことなんだと痛感しました。
お客様にも「いずれは転勤になるんでしょう。」と言われることがあり、「どの株がいいんですか。」のような相談が来たとしても、本質的な相談はいただけないと感じるようになりました。この経験を通し、長期的な関係を構築し、一生涯を寄り添いサポートしていきたいという思いが強くなりIFAとして独立することを決めました。
会社の経営方針を教えてください。
「金融を通し、社会に貢献する。」です。
現在日本では年金や給料が他の先進国と比べると少ない現状と将来の老後資金に関する不安が高まっていることから、個人の資産形成がより重要になっています。多くの日本人が金融教育を受ける機会がなく、資産運用を始める際に不安を抱えています。結果としてネットの情報を鵜呑みにして投資を行う傾向にあります。
このような状況を踏まえ、私たちはお客様一人ひとりに寄り添い、的確なアドバイスを提供する事で、お客様の真のパートナーを目指しています。
貴社の強みを教えてください。
弊社の強みは多様な知識を持つメンバーがいる事です。弊社のチームは大手証券会社や外資系金融機関での豊富な経験を持つ専門家で構成されており、各々が特定の分野に特化しています。
ですので、この多様性により、お客様のニーズに応じたオーダメイドのソリューションを提供する事が可能です。例えば、ファンドの組成などの金融商品のカスタマイズやニッチな金融商品の提案などお客様の要望に応じた幅広いサービスを提供しています。
まだ、規模は大きくないですが、一人ひとりのお客様に対する丁寧なサポートとスピーディーな対応を実現しています。この手厚いサポート体制はお客様からの信頼関係を築き
弊社を選んでいただく理由の一つです。
貴社が注力している取り組みを教えてください。
IFAは働き方を自分自身で選択し、自由に営業活動を行うことができます。しかし、この自由度の高さが孤立感を生むこともあり、そのような声を耳にすることもあります。
この課題に対応するため、当社では組織全体の知識共有と協働を深める為、月に数回市場の環境の変化に対する情報共有の場を開き、メンバー間での意見交換の時間を設けています。
また、良いアイデアや働きやすい環境の構築に関する提案も積極的に共有し、これらを支援する体制を整えています。これらの活動を通じて、個々のIFAが感じる孤立感を軽減し、会社全体としての結束力を高めています。
お客様からよく受ける相談内容やお客様の属性を教えてください。
最近弊社では、新 NISAに関する相談が増えています。政府による推奨やメディアでの取り上げでNISAへの関心が高まっていることが伺えます。
お客様の属性としては、金融資産5000万円以上保有する経営者や士業の方が多いです。年齢層は40歳から60歳が多く、現在は特に法人のお客様へのサービス提供に力を入れております。
資産形成のサポートに留まらず、事業支援を含む幅広い金融コンサルティングサービスを提供し、お客様のニーズに全面的に応えています。このような手厚いサポートがお客様の信頼や満足度の向上に繋がると考えています。
どのように開拓をされていますか。
既存のお客様からの紹介が中心です。最初からこの商品を買ってくださいとか、初対面で直接的な販売を促進するのではなく、お客様が直面している問題や解決策を提案することで、何らかの形で役立つことを心がけています。
このアプローチによりお客様との信頼関係を築き、長期的な関係性を構築しています。
具体的な提案内容を教えてください。
弊社では、お客様一人ひとりのニーズやリスク許容度を重視し、個別の提案を行っています。その為、特定の商品を一律に推奨する事はありません。まず、お客様との対話を通じて、お客様がどのような将来を望み、手持ちの資金をどのように活用したいかを詳細にヒアリングします。
多くのお客様は日常では自身の金融目標について詳細に考える機会が少ないかもしれませんが、お客様と会話を重ねることで、お客様自身も気づいていなかったニーズが明らかになることもあります。弊社は特定の商品を売ることを目的としておらず、お客様のニーズに基づいて「この商品が適しています。」という形で、最適なソリューションを提案します。
メンバーとして求める方はどんな人物ですか。
弊社では何かノルマや具体的な営業活動の指示を出すような方針はとっていません。そのため自ら考え、主体的に行動をできる方を求めています。指示待ちの姿勢ではなく、状況を見て、自分で考え適切なアクションが取れる能力が重要になります。
お客様の獲得や関係構築においても積極的に動ける方と共に進めていきたいと思っています。
IFA業界の思い
今のIFA業界についてどのように感じていますか。
IFAを目指す方が増えており、わたしもその動きを証券業界の新たな潮流と捉えています。
しかし、この議論に終わりはないかもしれませんが、一部の業者が取引の回数を増やして手数料収入を上げる手法に依存しているという話を耳にしています。そのようなアプローチが果たしてお客様最善の利益を追求したものであるか疑問を感じています。
今後のIFA業界をどのように考えていますか。
資産運用において、全ての人に一様に「良い」と言える投資信託や債券が存在するわけではありません。お客様個々のニーズや目標に合わせて、金融商品を選択し、最適な商品を見極め適切なアドバイスを提供することが重要です。
金融業界は、多様な金融商品の中からそれぞれのリスクとリターンを正確に理解し、客観的な情報を基にした適切なアドバイスを行う責任があります。
断定的な「絶対に良い」「絶対に避けるべき」といったアドバイスではなく、お客様自身が情報に基づいて自らの判断投資を下せるよう、情報提供とサポートを行う事が重要です。
特にこれまでの証券営業は手数料を重視し、投機的な取引を促す傾向があったことは否めません。
今後のIFA業界は、このような顧客中心のアプローチを重視し、お客様の真のニーズに応えるサービスを提供する方向に進化していく必要があると考えています。