IFA法人エチュード株式会社 吉住俊彦氏 TOPインタビュー
今回は、長年の証券会社勤務で得た知識を基に、2018年からIFA業界で活躍するエチュード株式会社代表の吉住氏に話を伺いました。
会社の歴史や特徴
まずは、吉住氏の経歴を教えてください。
1986 年に当時の日興證券(現在 SMBC 日興証券)に入社しました。
これまでに、本社組織・個人営業・法人営業(公益法人・上場法人・金融法人)・投資銀行業務・投資開発部・株式トレーディング部など様々な業務を経験してきました。
また、本店営業部長をはじめ、6 つの支店で支店長・部長としてマネジメントの経験もしました。長年証券会社で培った経験、知識、投資スキル、ネットワークなどを活かし、お客様のパートナーとしてお役に立ちたいとの思いで 2018 年に独立いたしました。
IFA 法人を設立したきっかけを教えてください。
私が IFA という職業を知ったのは今から 30 年以上前のことです。当時研修でアメリカに行き証券会社を見学しました。そこでは IFA が個々のオフィスを構え、専属の秘書と共にお客様に高度なサービスを提供していました。
アメリカの IFA は決められた商品ではなく、お客様の為に最適な商品をピックアップし、かつそのサービスが高く評価を受けていることに驚きと同時に大きな刺激を受け、IFA としてのビジネスモデルに魅了されました。
日本に戻ってきてすぐに IFA にはなりませんでしたが、お客様を喜ばせたいという想いを持ち続け、仕事に励んでいました。
55 歳になったタイミングで早期退職制度の機会があり、これまでの経験を生かし、IFAのビジネスモデルを実践するチャンスだと思いました。
長年にわたり、証券会社で培った豊富な経験、深い知識、磨いてきた投資スキル、そして築いてきたネットワークを活用し、 IFA としてお客様への更なる価値提供が可能だと感じました。
この思いを胸に、2018 年に IFA 法人エチュード株式会社の設立に至りました。
仕事をする上で意識をしていることは。
お客様第一の姿勢、提案に対する深い洞察力と綿密な準備です。
具体的には、お客様の立場に立ったサービス提供、提案前の徹底的な顧客情報のレビュー、一過性の提案を避け、長期的な関係を心がけることを行なっていました。
これらの要素が、信頼関係を深め、お客様にとって真に価値のあるサービスを提供する上での基盤となっています。
IFA法人エチュード株式会社の社名の由来を教えてください。
エチュードには多様な意味があります。ラテン語で「熱意」や「情熱」を、フランス語では「試み」を意味し、主に学習や練習の文脈で用いられています。
例えば、有名なショパンの楽曲エチュードは優れた芸術作品ではありますが、 練習曲と言う意味があります。また、美術では「下絵」、演劇では「即興」という意味を持ちます。
投資やライフプランの基礎を描くことや常に変化する市場環境に対応する柔軟性を象徴しています。
これらの意味を踏まえ、エチュードは資産形成を始めたばかりの方から経験豊富なベテランの方まで幅広いお客様を支援する意志を示しています。
それぞれのお客様のビジョンの基礎をしっかりと築き、変化する環境やマーケット、人生のイベントに対して柔軟に対応し、共に学び成長していくことを目指しています。
貴社の強みを教えてください。
IFA では金融のプロフェッショナルとして専門性が求められます。私は大手証券会社で多様な部門での経験を積み、広範囲なネットワークを構築し、あらゆる相場環境を経験してきました。
これらの経験を活かし、お客様に高度な情報を届けられるのが弊社の強みです。 弊社は相続や贈与に関する税務相談は辻・本郷税理士法人さんと提携しています。また、昨年からは保険商品の販売も開始しており、日本生命さんやジブラルタ生命さんなど国内外の大手保険会社と提携しています。
私自身は、ストラテジストやアナリストとの連携、株式投資やポートフォリオ設計の専門部署にも携わっていた経験があるので、お客様の多様な要望に答える事が可能です。
弊社は金融商品仲介業に留まらず、監査法人を含む広範なネットワークを通じて信頼と実績を築いてきました。
このオールラウンドな対応能力には絶対的な自信を持っており、お客様のあらゆるニーズに答えられる体制を整えております。
注力している取り組みを教えてください。
YouTube、公式ラインなどを通じ、資産運用に関する情報の発信を行い、知識や投資スキルの向上を支援しています。
インターネット上で、投資に関する情報が出回っていますが、多くの場合コストの安さの部分だけを強調する情報が多いように感じます。
私たちは時代に合った、適切な情報提供の重要性を認識しています。目指すリターンや許容するリスクもそれぞれ異なる為、それぞれに合わせた提案が必要だと考えています。
また、当社では定期的にセミナーを開催し、 IFA の選び方や退職金の運用方法、投資信託の有効な活用方法、保険を活用した資産管理など 4 つの主要テーマに基づき行っています。
セミナーが個別相談に進むきっかけになり、しばしば新たなお客様に繋がっています。これらの取り組みを通じて当社は知識の共有と深い信頼関係構築に注力しています。
具体的な提案内容を教えてください。
当社は「コア・サテライト戦略」を中心としたアプローチを行なっています。
コア・サテライト戦略とは資産ポートフォリオ管理におけるアプローチ手法です。 資産を「コア(核)」部分と「サテライト(衛星)」部分に分けて、ポートフォリオを構築し、コアの部分で長期的な安定収益を確保しつつ、サテライトの部分で値上がりを期待できる資産に投資をする事で、ポートフォリオ全体のバランスを保ちながら、市場変動に対する耐性を高めつつ運用効率を高めることが可能になると考えています。
現在多くの金融機関において、コアの部分の投資としてインデックスファンドのみに依存する傾向にありますが、私は、一つのアセットクラスに依存するのはリスク管理からかけ離れていると感じています。
本来、コア・サテライト戦略は資産の分配方法だけでなく、資金管理やリスク管理の枠組みとしても機能します。
お客様によってライフステージや資金の性格、リスク許容度や運用期間や投資対象が異なる為、きちんとアセットアロケーションの調整が重要です。
私たちはマーケットの状況や将来の見通しを踏まえ、各資産について徹底的に研究し、クライアントにとって最良の投資戦略を提供することに注力しています。これが正しい「コア・サテライト戦略」だと弊社は考えています。
IFA 業界について
今の IFA 業界の現状についてどう考えていますか。
まず、IFA として、お客様のニーズに基づき、オーダーメイドで提案する事が大切です。しかし、現実にはこの基本理念を実践しない専門家が存在し、利益追求を優先する傾向があるという問題があります。
具体的には仕組み債や劣後外債など、特定の金融商品に偏った提案がなされていることも多くあるように感じます。
さらに、 IFA の方のレベルの格差も感じています。インターネットを通じて情報が容易に得られる現代で、専門家として信頼を築くためには、価値ある情報の提供が特に重要だと考えています。
今後の IFA 業界に必要だと思われることを教えてください
資産運用への関心が高まるにつれ、IFA を目指す人々の数も増えるでしょう。そのため、私たち金融商品仲介業者やプラットフォーム運営者には、倫理的な行動を重んじ、高品質のサービスを提供することが求められます。
お客様に誠実に対応することで、 IFA がアメリカやイギリスのように広く認知される未来が訪れるかもしれません。これにより業界全体のレベルが上がり、顧客に対してより良いサービスを提供できると考えています。
IFA を目指している人に向けてメッセージをお願いします。
IFA に挑戦する方々には IFA としての誇りと決意を持って欲しいと思います。小さなスタートから着実にステップを踏み、お客様の満足度や金融のスペシャリストになることを追求し、夢を持つことが重要です。
また、コンプライアンスとお客様の自己責任を重視し、お客様と双方向で学び合いながら共に進む姿勢が大切だと思います。