株式会社マネーコンサルティングはこれまでに2008年から2022年までの14年間でマネーセミナー開催回数は686回開催し、資産形成をサポートしています。
今回は代表取締役 伊藤 英行氏にお話を伺いました。
会社の歴史や特徴
ご経歴
大学卒業後、財閥系商社に入社し、主に木材トレードを担当しました。これは金融業界と異なる木材トレードの分野での経験です。その後、30歳の時に当時AIGグループのアリコジャパンからスカウトを受けて、外資系生命保険会社へ転職しました。
転職後、4年で支店長に昇進し、35歳の時には約60人を束ねるエージェンシーマネージャーとして、オフィス運営、人材スカウト、教育およびマネジメント業務全般を担当していました。2007年に退職しマネーコンサルティンググループを設立しました。
IFAを目指したきっかけを教えてください。
当時支店長に昇格すると2泊3日の金融先進国並みの金融教育を行ってくれました。特に米国では 2000年頃にはセールスという分野の他にコンサルティングという分野が確立されており、顧客と共に資産を増やすビジネスモデルが主流になっていました。いわゆる、資産形成ビジネスというものです。セールスではなく、クライアントの資産をどう殖やしていくか?これを実現していくビジネスモデルです。
私は60人を束ねてエージェンシーマネージャーとして勤めていましたが、このビジネスモデルが非常に魅力的だと感じ、自分自身で事業を行うことを目指して独立を決心しました。
しかし、日本では規制が厳しく、2004年になってようやく規制が緩和されました。緩和後、3年間準備し、2007年に正式に独立しました。
社名の由来を教えてください。
研修で一番学んだことはセールスとコンサルティングの違いについてでした。
具体的にはセールスは売り手の満足を目的とした活動であり、自己の利益を追求することが中心です。
一方で、コンサルティングは単に商品を売ることではなく、問題を解決することに重点を置いています。問題解決のために必要な商品やサービスを提供する訳です。つまり、セールスは薬品会社の営業マン、コンサルティングは医師の役割を担っているといえます。医師が不必要な治療や手術をしないように、コンサルタントも無駄な商品を勧めることはありません。
ただ、この資産形成ビジネスを表す言葉がありませんでした。そこで、この分野で活動するために「マネーコンサルティング」という言葉を思いつきました。同じ価値観を持った人々を集めるために「グループ」という言葉をつけました。
御社の経営方針を教えてください。
我が社はフィデューシャリー・デューティー(顧客の利益を最大化することを目標とする)を厳守することを経営方針としています。
お客様の資産形成を支援する金融教育を行いながら、その問題解決にも取り組んでいきます。
※フィデューシャリー・デューティーとは日本語では受託者責任と訳されます。金融機関は資産を預けている顧客に対し、利益を最大限にすることを目標に利益に反する行為を行なってはならないとするもの。
御社の強みを教えてください。
弊社の強みは2つあります。
①トータルな資産形成を行い、安定運用実現の最新の運用ノウハウを持っているということです。
⓶トータルな資産形成を実現するために、弊社は金融商品だけでなく、不動産商品や保険商品、住宅ローンなど幅広いマネープラン実現のための商品を一緒に選び、管理することができます。
注力している取り組みを教えてください。
私たちはセミナーを通じて金融知識を発信することに力を入れています。
私たちの使命は、購入者側に立った知識や理論を提供することです。これにより、金融機関に依存する事なく自立した判断が可能になります。
実際に欧米では1985年頃に多くの多くの金融機関の閉鎖とともに、独立系コンサルタントが台頭し、コンサルティング分野が成立しました。
セミナーでは、私たちの投資哲学や価値観を共有し、参加者を私たちの船に乗せて目指すべき目的地へと導くことが目的です。
現在、月に3回のセミナーを開催しており、これまでに700回を超えるセミナーを実施し、7000名以上の参加者に金融知識を提供してきました。
具体的な提案内容を教えてください。
資産形成のプロセスはサッカーチームを構築することに似ています。チームには様々な役割が必要です。ゴールキーパーは防御の要で、ゴールを守りますが、直接得点には絡みません。これは、医療保険やガン保険のような保護の役割に似ています。
ディフェンダーも同様に直接的な得点には基本絡まないですが、守備には不可欠です。これは生命保険や預貯金といった基本的な資産防衛に相当します。
一方で、ミッドフィルダーは攻守にわたって活躍し、チームのバランスを保ちます。これは元本保証の外貨投資や終身年金のような、より柔軟で中間的な資産形成戦略に似ています。
そしてフォワードは得点を目指すような役割で、積極的な資産運用、例えば株式や投資信託に該当します。
ただし、全ての選手がフォワードだけでは機能しないように、資産運用もバランスが重要です。各役割に見合った戦略を組み合わせることで、環境の変化や市場の成長に適応し、安定した成果を目指します。
資産形成は単に商品を選ぶことではなく、戦略的な仕組みを構築することです。最終的には、適切な商品を選び、戦略に組み込むことになりますが、その選択はプロセスの最後に行われます。
当社はフォワードの部分では投資信託をオススメしております。、投資家が複数の株式や債券に分散投資できる為、個々の国や企業への直接投資よりもリスクを軽減することが出来るためです。
サッカーの世界でいうと、クライアントはチームのオーナーとしてお金を出し、IFAがGMもしくは監督の役割を果たして試合に勝ちます。素人は素人としての戦い方があるので極力プロと直接戦わない戦術を取るのです。
IFA業界について
IFA業界の現状について教えてください。
日本の金融教育は長らく販売側の視点で構築されてきました。この為、販売側にとって都合がいい情報が中心であり、ほとんど売る側の理屈で皆さん教育されています。
これではたとえ、どれだけ努力をしても、資産形成において期待通りの結果を得ることは困難です。その結果、日本における資産形成のスキルはまだまだ発展途上にあります。
投資家の知識を向上させる為には、購入者側の視点からの知識や理論の提供が必須です。きちんと伝えなければ、今後投資家の金融知識のレベルは上がってこないのではないかと思います。
IFAの数が増加する中で私たちは顧客のニーズを深く理解し、短期的な売り上げに捉われず、長期的な価値提供を追求していくことが、より一層重要になると感じています。
IFAの今後をどのように考えていますか。
多くの業界に共通する見解として、セールスの多くも側面にAIよって担われるようになるでしょう。ファンドの選定やパフォーマンス比較など、データベースに基づくセールス活動はAIが効率的に処理可能です。
しかし、お客様の一人ひとりの話をじっくりと聞き、現実的かつ総合的な資産形成プランを策定することは様々な、専門分野の知識、人間の感情や意向が複雑に絡み合う為、AIには難しいと思われます。
したがって私たちはセールスからコンサルティングへとシフトすべき時にあると思います。
単に商品を販売して顧客の一時的な満足を追求するのではなく、顧客の満足を解決し、長期的な、満足と信頼を築く必要があります。
このような問題解決のアプローチを取り入れることで、業界はより大きな支持を得られると同時に、多くの人々が資産形成に前向きになると思っています。
最終的にはこれは現場での取り組み次第です。