株式会社株式会社M&Tファミリーオフィス 三反田 純一郎氏 TOPインタビュー
今回は日本ではまだ珍しいファミリーオフィスサービス事業を展開し、中小企業オーナー中心にサポートしている株式会社M&Tファミリーオフィス 代表取締役の三反田氏にサービスの内容や会社のビジョンについてお話を伺いました。
会社の歴史と特徴
ご経歴を教えてください。
大学を卒業した後、石油会社に入社し、不動産開発や経営企画の業務に携わりました。この経験を生かして、不動産に特化した税理士法人を立ち上げましたが、企業のサポートを進める中で、税理業務だけでは企業の様々な問題は解決できないと感じるようになりました。
その後、企業に複合的なサービスを提供しサポートする為、既存の税理士法人の中にファミリーオフィス部門を立ち上げました。
IFA業務を始めた理由を教えてください。
税理士として中小企業を支援を行う中で、多くの企業が内部留保の増加や従業員の豊かさの面で成長していない事を目の当たりにし、日本の中小企業の経営に問題があると感じました。
実際に中小企業の数は年々減ってきており、後継者不足は深刻な問題になっています。
その時期、私は出張でスイスやシンガポールを訪れる機会がありました。そうした中で、事業家一家に専門性の高いアドバイスを提供するファミリーオフィスサービスの存在を初めて知りました。
ファミリーオフィスとは金融資産の管理にとどまらず、事業承継や経営コンサルティング業務など企業運営など多岐にわたる面でサポートを提供しています。
より専門性の高いアドバイスを提供するためM&Tグループでファミリーオフィス事業を始めました。
御社の強みを教えてください。
弊社の強みは単に、お客様の資産管理や資産形成のアドバイスを提供するだけでなく、税理士法人の基盤を生かし、経営コンサル業務も行なっている点にあります。私たちは経営と家族の双方の視点を大切にし、特にファミリービジネスに関しては、資産、家族、経営という3つの要素のバランスを考慮した総合的なアプローチを提供しています。
多くの金融機関が資産運用に重点を置く中、私たちは家族や社員を含む、税務の視点から捉え、バランスの取れた提案を行います。
企業経営において証券会社や銀行、税理士、弁護士など多くの専門家との連携は必要ですが、これらが別々になっていると統一された戦略が取りづらくなりがちです。私たちはこれら全体を見渡すサポートをし、企業の経営課題に対して一元的な窓口として機能し、優先順位の設定から行動に移すまでを支援します。
経営理念を教えてください。
「豊かさを取り戻そう」というものです。会社や従業員、そして彼らの家族など全員にとって多面的な豊かさを提供し、それを次世代に繋ぐことが大事だと考えています。ファミリーオフィス事業を通じ、豊かさの実現に向けた、複合的なサービスを提供しようと考えております。
お客様の具体的な属性を教えてください。
弊社の主な顧客層は、中小企業のオーナー様を中心に構成されております。これには、そのご家族や従業員などオーナー様と繋がりのある方々が含まれますが、個人のお客様の受付は行なっておりません。現在、約50件の口座を管理し、仲介する預かり資産で約20億円を担当させていただいております。
具体的な提案内容を教えてください。
弊社はまずお客様の将来の目標について詳細なヒアリングを行います。これには、20年後にM&Aの実現や工場の設備投資を可能にするための資産形成などが含まれます。お客様の目標に基づいて、適切なシュミレーションを行い、具体的な計画を策定します。
主にリスク分散と長期投資を重視したアセットアロケーションに基づき、投資信託やETF、債券を用いた運用を提案します。
その際、経営者のお客様が日々の株価変動に振り回されることなく経営に専念できるよう、個別の株は控えめにしています。
また、お客様の年齢や金融資産に応じて安全性と成長性のバランスを考慮した提案を行っています。特に、次世代への資産継承を視野に入れ、コア資産の増加に注力しています。
最近では、将来の万が一の経済的ショックに備え、ETF等の比率を調整し、債券の比率を高める戦略を採用しています。外国債券に関する情報は当社のホームページで随時更新していますのでご興味ある方は是非ご覧になって欲しいと思います。
また、これまで定期預金や積立保険を利用している法人顧客にはインフレや円安のリスクに対応するため金融ポートフォリオの再構築を提案しています。保険からの収益がある場合、これが会社の財務や税務に影響を及ぼす可能性があるため
決算書を見ながらアドバイスを行なっています。
IFA業界について
IFA業界の現状・今後についてどのように考えていますか。
IFA業界は日本における1000兆円の預貯金という膨大な資本と、人口増加の停滞という課題を背景に経済成長への鍵を握るポテンシャルを持っています。ですので、この預貯金をどのように活用して、経済を成長させるかが重要なテーマであり、今後IFAが中心的な役割を担っていくのは間違いないと考えています。
ただ、お客様とどのように向き合いサポートしていくのかが重要になると考えています。
誤ったアプローチは金融庁からの指導を受けるリスクがあり、これは「貯蓄から投資へ」の政府の方針とも相反します。
直近は仕組み債やIPOの話題もあり、まだまだ改善することは多く存在しますが、IFA業者は中立性を活かしてお客様に多様な選択肢を提案できる点で、証券会社のプッシュ型の営業とは異なる資産運用の新たな方法を提供できます。
これは業界にとって明るい兆しだと感じています。
最後に今後どのようになっていきたいですか。
日本でまだ馴染みの薄いファミリーオフィス文化を広め、中小企業の後継者不足問題にも取り組みたいと考えています。
中小企業が現在、370万社あると言われておりますが、2025年には約100万社が後継社不足と言われています。これを放置すると多くの企業が存続の危機に危機に瀕します。
資産運用を通じて、個人や企業の未来を豊かにするサポートを行い、次世代に明るい未来を提供したいと思います。