「ノルマの精神的な負担が大きい」、「金融業界の先行きが不安だ」など様々な理由によって、銀行から転職を考える20代は多い。しかし、十分なスキルや経験が備わっていない段階でのキャリアチェンジは不安も大きいだろう。新卒で入社した企業であれば、なおさらだ。
そこで本記事では、20代銀行員が転職するメリット・デメリットについて解説していく。転職活動を円滑に進めるためのコツも解説していくため、ぜひ転職を検討する際の参考にしていただきたい。
銀行員が20代で転職する3つのメリット
銀行員が20代で転職するメリットとして、次の3点が挙げられる。
・第二新卒として転職活動ができる ・未経験の業種・業界でもチャレンジしやすい ・銀行員としての社会的信頼を活用できる |
それぞれ詳しく解説していこう。
第二新卒として転職活動ができる
20代での転職であれば、第二新卒として転職することが可能だ。第二新卒に明確な定義はないものの、大学卒業からおよそ3年以内の人を指すことが多い。
第二新卒としての転職活動は、一度社会人としての経験を踏んでいることから、新卒時の就職活動に比べて余裕を持って取り組めるメリットがある。自分が会社に求めるポイントも明確になっているため、就職活動で「なんとなく銀行を選んだ」という人でも、転職によって自分に合った企業を見つけられる可能性があるだろう。
未経験の業種・業界でもチャレンジしやすい
20代での転職は、未経験の業種や業界にチャレンジしやすいことも特徴だ。転職市場では、これまでの経験やスキル・専門性を重視されるが、20代の若手人材であれば、たとえ未経験であっても今後の成長性や伸びしろを評価されるケースもある。
「もう少し今の環境で頑張って経験を積んだ方がよいのではないか」と悩むこともあるかもしれないが、異業種へチャレンジする場合は、年齢の若さが有利に働くことも覚えておこう。
銀行員としての社会的信頼を活用できる
20代の銀行員による転職では、銀行員の社会的信頼の高さを有効活用できる。銀行では、入行当初にビジネスマナーや接遇応対に関する研修がしっかりと行われる。銀行経験者は社会人としての基本的なマナーが既に身についているため、企業側としても「人材育成にかかるコストを削減できる」というメリットがある。
また、銀行はストレスの多い職場環境であることが一般的にも広く知られているため、「銀行員としての業務をこなしてきた」という実績は、転職活動でも高く評価される傾向にある。
銀行員が20代で転職する3つのデメリット
銀行員が20代で転職することには複数のメリットが挙げられる一方、次のようなデメリットも存在する。
・アピールできるスキルや知識を身につけていない ・ストレス耐性を懸念されてしまう ・転職を繰り返す習慣がついてしまう |
それぞれ詳しく解説していこう。
アピールできるスキルや知識を身につけていない
20代で転職するデメリットとして、企業側へアピールできる十分なスキルや知識を身につけていないことが挙げられる。特に20代前半での転職では、金融経済に関する専門知識を売りにして転職活動をすることは難しいだろう。
中途採用を行う企業の中には、「法人営業としての業務経験が3年以上」といった業務経験に一定の条件を設けていることもある。そのため、キャリアを重ねていない段階での転職活動は、選択肢が限られてしまうことも考えられる。「銀行での業務経験を活かして転職をしたい」という場合は、企業側へアピールできる分かりやすい強みや成功体験を備えておく必要があるだろう。
仕事へのストレス耐性を懸念されてしまう
新卒入行からあまりに早く転職を行う場合は、企業側からストレス耐性を懸念される心配もある。「うちの会社が気に入らなければ、またすぐに転職してしまうのではないか」と不信感を抱かれる恐れがあるため、早期に転職するに至った理由を明確にしておくことが大切だ。
また、その際に意識したいのが、前向きな理由を挙げることである。「銀行での業務に慣れなかったから」、「ノルマがきつかったから」といったネガティブな理由を正直に伝えてしまうと、企業側も良い印象を抱かない。「早々に転職するに至ったのは、前向きな理由があるからだ」と企業側も納得するような理由をきちんと準備しておこう。
転職を繰り返す習慣がついてしまう
20代での転職では、転職を繰り返す習慣が身についてしまうことも心配だ。「気に入らなければまた辞めればいい」という考えが身についてしまうと、転職先の選定にもブレが生じる。
本来であれば、長期のキャリアプランや自分の人生設計に沿って転職先を選ぶ必要があるが、「ダメならまた転職しよう」という考えがあると、安易な気持ちで転職先を選んでしまいかねない。
もちろんキャリアアップのために転職を行うのは悪いことではないが、「ダメなら転職すればいい」という中途半端な気持ちは持たないようにしよう。
転職活動を円滑に進めるためのコツとは?
20代銀行員の転職活動を円滑に進めるためには、次の3点を重視することが大切だ。
・銀行業務で得た強みを理解する ・長期のキャリアプランを形成する ・転職エージェントを利用する |
それぞれ詳しく解説していこう。
銀行業務で得た強みを理解する
転職活動では、銀行業務で得た強みを理解することが大切である。20代の業務経験では高度な専門知識を身につけることは難しいものの、これまでの業務を通じて身につけた強みは何かあるはずだ。例として、次のような能力や強みが挙げられる。
・顧客とのコミュニケーション能力 ・無形商材の営業ノウハウ ・顧客との折衝能力 ・ノルマに対する責任感 ・仕事を計画通り進める管理能力 ・正確な事務力 ・自己啓発に取り組む力 ・新しい環境に適応する力 |
転職活動を始める前には、これまでの銀行員生活を振り返り、自分の強みをしっかりと明確にしておこう。
長期のキャリアプランを形成する
転職活動では、長期のキャリアプランを形成しておくことも大切だ。特に20代の転職では、「もう今の会社で働くことがつらい」という気持ちから、転職先を急いで決めてしまうことがある。
しかし、「早く転職したい」という気持ちから転職先を選んでしまうと、転職後に「思っていた会社ではなかった」、「あのまま銀行で働いていた方が良かった」と後悔を抱きかねない。現状の職場環境への不満から、早く転職活動を進めたい気持ちはあっても、まずは長期のキャリアプランを形成することが大切だ。
「10年後、20年後になりたいビジネスパーソンとは」、「自分が歩みたいキャリアプランとは」といったことをじっくりと考えよう。
転職エージェントを利用する
20代の転職活動では、転職エージェントを利用することもおすすめだ。転職エージェントでは、情報提供をしてくれるだけでなく、スキル棚卸やキャリアプラン形成のサポートを行ってくれる。
第三者からのアドバイスを受けることで、自分では気付かなかった強みや意向がハッキリとすることもある。特に「新卒で銀行へ入行して、初めて転職活動を行う」という人は、転職市場に精通したキャリアコンサルタントのサポートを受けることで、勉強になる点も多いだろう。
また、転職エージェントは非公開の求人情報を保有していることも魅力のひとつだ。好条件での求人情報は一般公開されず、転職エージェントなどクローズな環境で紹介されることが多い。効率よく求人情報を集めるためにも、転職エージェントを活用することがおすすめである。
転職エージェントを活用して情報収集を行おう
本記事では、20代銀行員による転職のメリット・デメリットについて解説してきた。若手人材の転職は、スキルや経験で戦えないデメリットはあるものの、今後の将来性や仕事への意欲を評価されることも多い。「自分には何も武器がない」と不安になる気持ちがあるかもしれないが、転職市場においては若さが強みになることもある。銀行員としてのポテンシャルの高さも武器のひとつであるため、ぜひ自信を持って転職活動に取り組もう。
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