在籍した勤務先から新しい職場に転職をすると、さまざまな手続きが必要だ。国民年金と健康保険の切り替えも、そのうちの1つである。国民年金や健康保険を、いわゆる社会保険と呼ぶが、社会保険は生活で生じるケガや病気、老後の生活を支えるために必要な制度だ。
一般的に、転職は頻繁にするものではないので、手続きで分からなくなる人も多い。どのような手順で切り替え、また注意する点はあるのだろうか。
今回は、転職してから社会保険を切り替える手順や注意点について解説を行う。これから転職を検討している場合、転職後にどのような手続きが必要なのかを知るための参考にしてもらいたい。
転職で社会保険はなぜ必要?
社会保険は転職をするときに、切り替えしないといけない手続きなのだが、手続きが必要な理由について解説する。社会保険への切り替えが求められる理由は、以下の2つである。
- 国民年金や健康保険の支払いが義務化されているため
- 医療費が高額にかさむため
2つの理由について、それぞれ解説していこう。
国民年金や健康保険の支払いが義務化されているため
国民年金と健康保険は、全ての国民が保険料を支払わなければならない制度である。健康保険は、75歳未満の国民全員が加入する必要があり、転職をしても、手続きは必ず行わなければならない。
健康保険の保険料は、居住している自治体によって金額が異なるので、保険料は統一されていない。国民年金は、20歳以上60歳未満の国民全員が支払うもので、保険料は一律に設定されている。
2022年度の国民年金の保険料は1ヶ月当たり16,590円で、支払いは口座引き落としや納付書を使った現金払いがある。以上から、国民全員が必ず加入する必要がある制度なので、切り替え手続きをしなければならない。
医療費が高額にかさむ
健康保険に加入していない状況が続くと、医療費が高額になる点がデメリットとなる。そのため、治療費が高額にならないように、健康保険の切り替えをすぐに行っておく必要がある。
一般的に、健康保険に加入していれば医療費は保険診療であれば3割の自己負担で済む。つまり医療費にかかる7割は国が保障してくれるため、治療費にかかる自己負担を抑えられる。
そして、転職活動を終えて切り替えを忘れている場合があるので、手続きはすぐに済ませておく必要がある。
こうした事態を防ぐために、社会保険への切り替えが早急に必要となる。
社会保険はどうやって切り替える?
社会保険の切り替えが早急に必要な理由を先ほど述べたが、ではどのようにして転職後に切り替えを行えばよいのだろうか。一般的には、以下の流れで手続きを行う。
- もともと勤務していた会社に健康保険を返却
- 社会保険の切り替えに必要な書類を用意
ここでは、会社員だった人が新たに転職して会社員として働くケースを想定した手順について、確認していこう。
勤めている会社に健康保険を返す
勤めていた会社に、まずは健康保険証を返す必要がある。これは、勤めていた会社の健康保険を脱退しなければならないからだ。
健康保険証を返却しないと、退職先の企業に手間をかけるだけでなく、転職先にも負担になる。結果的に、新たに加入するまでに時間がかかってしまう。
切り替えの手続きをスムーズに行うためにも、健康保険証の返却は早急に対応しておくことが望まれる。
切り替えに必要な書類を用意
次に、必要な書類を用意する。健康保険を切り替える場合は、次の5つの書類を用意しておくと良い。
- 健康保険資格喪失証明書
- 健康保険被扶養者異動届
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 年金手帳
これらの書類は転職先で提出するため、退職先から用意してもらう必要があるので、事前に必要な書類と部数を確認しておくことが望ましい。事前に書類を用意しておかないと、切り替え手続きに時間がかかる。
健康保険の切り替えがスムーズにできずに、結果的に健康保険証を受け取るタイミングが遅くなる。転職をしてから社会保険に切り替える流れと、必要な手続き書類は、事前に把握しておこう。
社会保険の切り替えで注意すべき点
では、社会保険の切り替えにおいて注意しておかなければならない点は、どこにあるのだろうか。基本的に、会社員だった人が転職して会社員となる場合、必要な書類が揃えばその後は転職先の人事や総務で対応してくれる。
そのため、そこまで手続きに注意する必要はない。しかし、以下のようなケースであれば、注意が必要となる。
- 国民年金に切り替える場合
- 国民健康保険に切り替える場合
それぞれのケースで注意すべきポイントについて、それぞれ解説していこう。
国民年金に切り替える場合
転職する日よりも前に退職した場合は、切り替え手続きを自ら行わなければならない。切り替え手続きは、国民年金と国民健康保険それぞれで必要となる。
国民年金は退職したタイミングによって、手続きの方法が違うので注意が必要である。
- 月末が退職日:次月1日から国民年金の加入者
- 月の途中が退職日:退職日の翌日から国民年金の加入者
以上から、一般的には退職日の翌日から国民年金へ加入する必要がある。手続きに必要な書類と窓口は、以下を参考にすると良い。
- 窓口:居住地の市区役所もしくは町村役場
- 持ち物:基礎年金番号通知書もしくは年金手帳
- 手続き期限:退職日から14日以内
以上から、転職までのブランクがある場合は自分で切り替えの手続きが必要になるので、退職日と転職までの間が空いている場合は注意してほしい。
国民健康保険に切り替える場合
国民健康保険の切り替えは、国民年金と同じく居住している市区町村の役所で以下の書類を持参して行う。
- 健康保険資格喪失証明書
- 本人確認書類
扶養親族がいない場合に限り離職票や退職証明書でも手続きが可能である。退職日から14日以内が手続き期限なので、国民年金と同じタイミングで手続きをしておくことが望ましい。
転職をする際は社会保険の切り替えも滞りなく対応すること
社会保険の手続きについて、流れや注意点を解説した。社会保険の手続きをしておかないと、医療費がかさんだり、年金の受給額が少なくなるのでデメリットに繋がってしまう。
特に、転職までにブランクがある場合は自分で手続きをしないといけないので、退職日と転職するタイミングはうまく調整しておくと良いだろう。
IFA転職は、金融業界に特化した転職サイトで、非公開求人も数多く取り扱っている。自分に合った理想の転職先を転職アドバイザーが紹介してくれるので、希望する転職先をまずは気軽に相談してみよう。