近年、証券会社からの転職先として注目を集めているIFA。特定の金融機関に所属せずに金融商品を販売する職種であるが、証券会社の営業職とどのような違いがあるのだろうか。本記事では、IFAと証券会社での働き方の違いについて解説していく。ぜひ、転職を検討する際の参考にして頂きたい。
IFAとは
IFAとは、「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれ、特定の金融機関に属さずに金融商品の売買を仲介する職種である。
金融先進国の欧米では古くから活躍している職業だが、日本で解禁となったのは2004年の証券取引法改正以降であり、その歴史はまだ浅い。
しかし、近年の個人投資家の増加や金融リテラシーの向上から、中立の立場でアドバイスを行うIFAが大きく注目を集めている。IFAとして営業活動を行う人も年々増加しており、2022年6月末時点で5,500人を超える登録者数がある。
下記の表は、直近5年間のIFA法人数およびIFA人数の推移を示したものだ。
IFA人数 | IFA法人数 | |
---|---|---|
2022年6月末 | 5,558 | 642 |
2021年6月末 | 4,738 | 618 |
2020年6月末 | 4,036 | 598 |
2019年6月末 | 3,632 | 571 |
2018年6月末 | 3,244 | 584 |
IFA法人とIFA人数どちらもおよそ右肩上がりに増加しており、金融業界において徐々にその存在感が高まっていることが分かる。
今後NISAの恒久化などによって個人投資家の増加が期待される中で、顧客目線でのアドバイスを行うIFAはますます活躍の場を広げていくだろう。
IFAと証券会社の働き方の5つの違い

IFAも証券会社も「顧客へ金融商品を提案・販売する」という意味では、業務に大きな違いはない。にも関わらず、IFAへ転職する人がこれほど増加しているのはどのような理由があるのだろうか。
- 特定の金融機関に所属しない
- ノルマが課されない
- 取扱商品が幅広い
- 営業成果によって収入が変動する
- 会社都合による転勤がない
そこには、IFAと証券会社の働き方に大きな違いがあることが挙げられる。主な違いは、次の5点だ。
次項にて、それぞれの違いを詳しく解説していこう。
特定の金融機関に所属しない
まず大きな違いとして、IFAは特定の金融機関に所属しないことが挙げられる。IFAはIFA法人に所属するか、自らIFA法人を立ち上げて働くため、特定の金融機関の職員となることはない。
IFAの中立性が保たれているのはこのためで、自社の収益のために特定の商品を推進したり、より手数料率が高い商品を販売する必要がないのである。
なお、IFAが販売を手掛けるのは、所属するIFA法人と業務提携を結んでいる証券会社の商品となっている。複数の証券会社と提携している場合は、その中からより顧客のニーズにマッチした商品を提供できるのもIFAの強みである。
ノルマが課されない
IFAには営業ノルマが課されない点も、証券会社との大きな違いだ。証券会社では半期ごとに販売額や手数料収入のノルマが課され、ノルマ達成を目標として日々の営業活動を行っている。多くの証券会社では顧客第一での営業を行っているが、ノルマのプレッシャーが大きいあまりに、顧客の意向に沿わない商品を勧めてしまう例もみられる。
証券会社で営業を行う中で、「本当に顧客のためになるのだろうか」「ノルマ優先で営業しているのではないだろうか」と自責の念に駆られたことがある人も多いだろう。
その点、IFAでは特定の金融機関に属していないことから、営業員にノルマが課されることはない。「毎月これだけの手数料収入をあげなければいけない」というプレッシャーもないため、顧客のニーズに沿わないと思ったら商品を提案しないという選択肢もある。
証券会社での営業スタイルに疑問を感じている人にとっては、ノルマに縛られないIFAの働き方は大きな魅力となるだろう。
取扱商品が幅広い
IFAは、証券会社に比べて取扱商品が幅広いことも特徴だ。商品ラインナップはIFA法人によって異なるが、主に次のような商品・サービスが取り扱われている。
- 国内・海外株式
- 国内・海外債券
- 投資信託
- 生命保険
- 損害保険
- 不動産仲介
- M&A仲介
- 相続対策
- タックスプランニング など
株式や投資信託など特定の金融商品の売買を手掛ける証券会社と違って、IFAは保険商品や相続対策、不動産仲介など幅広い業務を手掛けている。中には、税理士やM&A仲介業者などと連携して顧客をサポートする例も見られる。
顧客のマネープランに寄り添いながら多角的なアプローチができるため、「証券だけではなく、総合的に顧客のサポートをしたい」といった思いがある人はIFAでの仕事にやりがいを感じるだろう。
ただし、IFA法人によっては株式や投資信託の販売に特化したところもある。顧客へどのようなサービスを提供しているかは各法人で大きく特色が異なるため、転職活動の際は複数のIFA法人を比較することがおすすめだ。
営業成果によって収入が変動する
IFAには、「正社員型」と「業務委託型」の2種類の働き方があり、その内「業務委託型」は営業成果がそのまま収入に直結することが特徴である。細かい報酬体系はIFA法人によって異なるが、顧客の支払った取引手数料の一部がIFAへ還元される「コミッション型」の報酬体系がとられていることが一般的である。
例えば、IFAへの還元率が70%で、月に100万円の手数料をあげた場合、IFAには70万円の手数料が還元される仕組みだ。場合によっては、証券会社と同じ成績で収入が大きくアップするケースもあるだろう。
およその年収が想定できる証券会社とは違い、業務委託型IFAは青天井の収入を狙うことも可能なのである。
会社都合による転勤がない
IFAは、会社都合による転勤がないことも証券会社との大きな違いだ。証券会社ではおよそ3年周期で転勤があるため、「せっかく顧客と関係を築けたのにまた転勤か」と残念な思いをしたことがある人も多いだろう。
その点、IFAでは会社都合による転勤の制度がないことから、自分の担当顧客と末長い関係を築くことも可能である。「顧客と深い関係を築きたい」「自分が販売した商品は責任を持ってフォローしたい」という人にとって、転勤がない働き方は大きな魅力となるだろう。
また、子育てや介護などの都合で転勤ができない人にとっても、IFAの働き方はニーズがあるといえる。
IFAへの転職に興味がある方は「IFA転職」へ

本記事では、IFAと証券会社の働き方の違いについて解説してきた。IFAには「ノルマが課されない」「会社都合による転勤がない」といった特徴があり、証券会社との働き方とは大きく異なる。
「顧客と長い関係を築きたい」「ノルマありきの営業から脱却したい」という思いがある人は、ぜひIFAへの転職を検討してみよう。
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