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債券ポートフォリオ運用とは

ポートフォリオ運用の基本的な考え方については別のコラムでご紹介しました。(リンク:株式ポートフォリオ運用)債券のポートフォリオ運用においても基本的な考え方は同じであり、ポートフォリオを組む目的はリスク分散です。今回は株式との違いを交えながら債券ポートフォリオの特徴について詳しく説明していきます。

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目次

満期の存在

 債券には満期があります。つまり満期を迎えると投資家の意志に関わらず現金化されてしまいます。そのため債券投資を継続するためにはキャッシュフロー管理して、利子の支払いや満期償還の度に再投資先を確保していく必要があります。ちなみに株式の場合は、倒産や一部のTOB(株式公開買い付け)等の場合を除けば投資家の意志に反して現金化されてしまうことはありません。

 ここで満期の異なる複数銘柄をポートフォリオ運用することでキャッシュフローを安定化させることができます。資金が必要なるタイミングで適宜利子や元金が支払われるようにして必要な現金を確保したり、満期償還されたのはいいものの代わりの投資先がなく現金が遊んでしまうリスクを避けたりといったことができるのです。

・ラダー型ポートフォリオ

短期債から長期債まで、残存期間の異なる債券に、同額ずつ投資するポートフォリオ。債券の残存期間(年限構成)と投資額をグラフにした時に「梯子(ladder)」を横にしたような形状をしていることに由来します。償還毎にその時点の長期債に投資し、基本的に償還まで持ち切るため、金利予想をする必要がなく、ポートフォリオの管理が楽であるという特徴があります。

0か100か:デフォルト(債務不履行)の可能性

 債券の本質は発行体による借金です。そのため途中での売却を考慮しなければ、最終的に払い戻される利子と元金の総額は一定です。これは発行体の財務状況に関係ありません。たとえ赤字の会社であっても資金繰りが回っている限りは債券の利子と元本は約束された金額が現金で戻ってきます。しかし、発行体がデフォルト(債務不履行)した場合は、原則として未払いの利子と元本の全額が失われます。しかも、デフォルト(債務不履行)は利払い日や償還日になって現金が支払われないことで初めて発覚し、投資家が事前に察知して損切することもできない内に突如大幅な損失となる場合も少なくありません。発行体が元利金の支払いを再開したり、投資家が発行体に対して裁判を起こして残った財産から取り立てを行ったりすれば未払いの利子と元本の一部を回収できる可能性はあります。それでも回収できる現金は当初の想定よりもかなり少ない金額になることがほとんどです。このように債券には基本的にはキャッシュフローが安定しているが、デフォルト(債務不履行)発生時の損失が極端に大きいという特徴があります。

 一方、株式であれば会社の業績に応じて株価も配当も変化し、償還されることもないため投資家が手にする最終的なキャッシュフローは不透明です。最終的なリターンが不確実である代わりに数倍~数十倍の大きなリターンを達成できるかもしれません。株式は都度時価で売買されるため、会社の業績見通しが芳しくなければ損失が小さいうちに損切することも容易です。

基本的にキャッシュフローは安定しているが、デフォルト(債務不履行)発生時の損失が極端に大きいという債券の特徴を踏まえると、数百銘柄単位以上で債券ポートフォリオを組むことがリスク管理の上で有効です。仮にどれかの銘柄がデフォルト(債務不履行)した場合でも、ポートフォリオ全体の損失を限定することができます。各銘柄のデフォルト確率は格付けを基に予想できるため、ポートフォリオを組むことで利回りとデフォルト確率から債券ポートフォリオ全体のリスク・リターンを調整した運用を行うことができます。

・ハイイールド債ポートフォリオ

ハイイールド債は「ジャンク債」、「投機的格付債」とも呼ばれ、格付けが低く投資適格に満たない一方で、利回りが高い債券を言います。ハイイールド債の複数銘柄をパッケージにして運用すれば、リスクが分散されます。この場合、いくつかの銘柄はデフォルトすることを計算に入れたうえで、リスクに見合ったリターンが得られると見込まれるポートフォリオを組んで高いリターンを狙っていくことになります。

低い流動性

 流動性とは、取引量や制約条件による売買のしやすさ(性質)のことです。一般的に債券の流動性は株式と比べて低い傾向にあります。株式の場合は個人投資家から機関投資家まで誰もが自由に参加できる取引所(例:東京証券取引所)が整備されています。一方で、債券は相対取引が基本であり、取引の参加者が限られます。一つの発行体が複数の債券銘柄を発行することも多く取引条件も株式に比べて複雑です。取引単位の点でも株式の場合は1株~100株といった小さい単位での取引が可能であることがほとんどです。一方で、債券の場合は1億円や100万ドルが最低取引単位となることも多く、そもそも大口投資家でないと購入できないこともあります。

 しかし、多くの投資家から資金を集めて投資信託やETF(上場投資信託)を設定し、まとまった資金で債券ポートフォリオを組めば流動性を確保することができます。つまり投資信託やETFであれば、現物の債券への投資に比べて保有期間や投資金額の点で柔軟な調整ができるようになるのです。

・債券ETF(上場投資信託)

 国債、投資適格社債、ハイイールド債など様々のパッケージの債券が債券ETF(上場投資信託)として上場されています。これらのETFは株式と同様に市場で取引をすることができます。またETFには原則として満期がないため、ポートフォリオの一部が強制的に現金化されてしまうことなく、運用を継続することができます。

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債券インデックス

 債券にもいくつかのインデックスが存在します。円建債券を対象にしたNOMURA-BPI、グローバルの債券市場を対象にしたブルームバーグ債券インデックス等が有名です。債券インデックス内でも国債、社債等の債券種別、年限別、国別、格付け別といった様々なサブセクターがあります。

 債券ポートフォリオにおいてもこうした債券インデックスをベンチマーク(目安)としてリスク・リターンの管理を行うことがよくあります。また債券インデックスに合わせた運用成果を目指すパッシブ運用があります。

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この記事を書いた人

IFA転職を運営し、IFA専門転職支援サービスを展開。創業から100名以上のIFAへの転職を支援。また、アドバイザーナビ経由でのIFAになった方の転職者のコミュニティ「Club IFA」も運営しており、IFA業界の転職市場に精通している。

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