IFAへ報酬を支払うのは、原則としてIFAの業務提携先となる証券会社などが一般的になる。証券会社と顧客を仲介する業務以外に、顧客へ直接サービスを提供するビジネスを行っている場合は、顧客から報酬を得るケースも存在する。
当記事ではIFAの報酬制度や、業務委託と正社員といった契約形態による報酬の違いなどを解説していく。
報酬は誰が払うのか?利益の仕組みを解説
IFAに利益が発生する主な仕組みや、その他のさまざまな収入源に関して見ていこう。
IFAに利益が発生する仕組み
IFAの主な収益源は「業務委託している金融商品取引業者(証券会社など)からの手数料」だ。原則として金融商品取引に関して、顧客から手数料を直接受け取ることはない。
例えば顧客が「A社の金融商品がおすすめ」というIFAのアドバイスに従って、A社の証券口座を開設したとしよう。顧客はA社の証券口座を使って取引を行い、A社は顧客から売買手数料などを受け取る。
その後、A社は受け取った利益の一部を業務委託手数料としてIFAに還元する、という仕組みだ。IFA法人の場合だと、取引手数料のうち約6~8割を業務委託手数料として受け取る。
証券会社から受け取る手数料の、主な種類およびタイミングは次のとおりだ。
・金融商品の売買が発生した際の手数料(コミッション) ・顧客が証券口座に預けている投資信託から発生する手数料(信託報酬) ・顧客の預かり資産に一定の率を乗じた額の管理口座料(楽天の管理口座コース) |
IFAのビジネスモデルや詳細な取引手数料の率などについては、弊社コラム記事の「IFAのビジネスモデル最前線|IFAは儲かる?」でも解説している。

業務委託手数料以外のIFAの収入源
IFAの収入は証券会社などから得る各種手数料がメインではあるものの、金融商品仲介業の収入のみでは経営が厳しいといったデータ(日本資産運用基盤の「日本におけるIFAビジネス(2020年12月)」)も一部ではある。
証券会社からの手数料以外で、IFAの収入源と挙げられるのは次のとおりだ。
・生命保険(損害保険)代理店営業による手数料(保険商品販売の手数料) ・ファイナンシャルプランナー業務(相続・事業承継、保険、税金関係など) ・投資に関するコンサルティング・顧問料(投資助言) ・不動産関係の各種手数料 ・税務・会計・監査業務 ・住宅ローン取次・銀行代理業 ・執筆活動・講演料 ・業務提携中の他専門家の紹介料 |
上記を行うには、IFAが持つ「証券外務員資格」以外にも、保険募集人の資格取得や投資助言・代理業の登録なども必要になる。
原則として顧客から手数料を徴収しないのがIFAであるものの、ファイナンシャルプランナー業務やコンサルティングなど顧客と直接やり取りする業務に関しては、顧客から報酬を得るビジネスモデルとなる。
業務委託と正社員でもらえる報酬の違い
IFAの働き方には、主に「IFA法人や金融機関となどと業務委託契約を結ぶ」と「IFA法人で正社員や契約社員として働く」の2種類がある。それぞれを解説していく。
文中に登場するIFA法人とは、IFAのビジネスモデルで経営を行う企業のこと(例:株式会社アイ・パートナーズフィナンシャル)を意味する。個人IFAは、IFAとして働く1人の従業員というイメージで問題ない。
業務委託のIFAの報酬
業務委託しているIFAの報酬は、完全成果報酬型(完全歩合制)となっているケースが多い。
以下では、「IFA法人と契約している個人IFA」をモデルケースとして、報酬の流れを見ていこう。
①IFA法人と契約する個人IFAの仕事によって、顧客がA社の証券口座を開設する ②A社の証券口座で発生した売買手数料やその他管理関係の手数料のうち、IFAの業務委託手数料がIFA法人への報酬として入る ③IFA法人に入った報酬のうち、あらかじめ決められた還元率(法人受け取り収益の5~9割が目安)やIFA個人へ成果に応じた報酬が入る |
IFA法人によっては、IFA法人のシステムやブランド使用料や業務サポート料に関して、「在籍料」として個人IFAから徴収するところもある。在籍料を徴収するIFA法人の場合は、IFA個人への還元率が高いケースが多い。
自らが法人・個人事業主として金融取引仲介業者を立ち上げて独立している場合は、金融機関が設定する還元率をそのまま利益として得ることが可能だ。
ただし完全独立の場合は、運営に関する営業・経理・その他雑務などをこなす労力や、発生する人件費(業務提携するIFAへの報酬やバックオフィス人員への給料)なども考えておく必要がある。
原則としてIFAを始める場合は、IFA法人に所属してから独立するかを判断するのがよいだろう。
業務委託契約のIFAの平均年収は、1,000万円を超えることも珍しくない。とはいえ前職経験を活かして稼ぐ人も多いため、顧客獲得力や提案力によっては、後述する雇用契約のIFAの働き方もおすすめだ。
業務委託契約におけるIFAの具体的な報酬の計算例は、弊社コラム記事の「IFAの報酬は誰が支払う?IFAの報酬のしくみと計算方法を解説!」でも解説している。

雇用契約(正社員など)のIFAの報酬
正社員や契約社員のIFAとして働く場合は、他の仕事と同じく固定給が支払われる。また固定給に加えて、成績に応じた成果報酬がプラスするIFA法人もある。
業務委託契約と比べると還元率は少ない傾向があるものの、他職種のサラリーマンと同じような安定収入や労働保険・社会保険への加入など、収入額には表れない雇用契約ならではのメリットも多い。

IFAがより大きな報酬を得るためのスキルとは
IFAとして働くうえで報酬を上げるために必要なのは、「顧客開拓力」だ。IFAとして優れたスキル・知識を備えていても、新しい顧客との出会いや顧客ニーズを読む力がなければ、成果を挙げるのは難しくなるだろう。
IFAの顧客開拓力とは、具体的には次のとおりだ。
・自分が得意するターゲット(富裕層の資産運用か、若者の長期的な資産形成か)を見極めるマーケティング能力 ・自ら新しい営業先(IFAコミュニティや士業事務所など)や提携先を増やす営業力 ・既存の顧客からの信頼を得て、既存顧客からの新規顧客紹介につなげるコミュニケーション能力 ・SNSやブログなどを利用したWeb集客を活用できる柔軟性(IFA法人所属の場合は許可を得ること) |
上記の能力はIFAへの転職活動においても、アピールポイントになる。これからIFAへの転職をお考えの場合は覚えておくとよいだろう。
その他、IFAに関する働き方や転職についてご相談がある場合は、弊社アドバイザーナビ株式会社のサービス「IFA転職」へぜひ相談いただけると幸いである。