特定の金融機関に所属しないIFAは、年々増加傾向にある。近年、特にIFAの増加スピードが増しているのには、どのような背景があるのだろうか。今回の記事では、IFAが増加している背景やIFAの評判、今後の展望について解説していく。
IFAが年々増加している背景とは
IFAの登録人数については、日本証券業協会が毎年6月・12月末時点のデータを公開している。以下の表は、2016年以降のIFAの登録人数についてまとめたものである。
年 | 金融商品仲介業者の登録外務員数(12月末時点) | 前年対比 |
---|---|---|
2021 | 5,141 | +877 |
2020 | 4,264 | +431 |
2019 | 3,833 | +378 |
2018 | 3,455 | +332 |
2017 | 3,123 | +19 |
2016 | 3,104 | – |
出典:日本証券業協会「協会員の従業員数等」(2021年12月末)
2021年12月末時点でのIFAの登録人数は5,141人となっており、年々増加傾向にある。特に2018年以降は増加スピードが加速しているが、その背景には個人投資家の増加があるといえるだろう。
2016年にNISA制度が開始して以降、口座開設数は年々増加している。少子高齢化や物価上昇、長引く低金利を受けて、資産運用の必要性への意識が高まっているのである。
とはいえ、投資の初心者の多くは「どのような資産運用が最適なのか」と不安を抱えている。そこで中立の立場でアドバイスをくれるIFAの需要が増しているのである。
IFAを利用している人からの評判
年々人数が増加しているIFAであるが、実際に利用した人からはどのような評判があるのだろうか。ポジティブな評価・ネガティブな評価のどちらも紹介していこう。
・金融に関する幅広いことを相談できるため助かる
IFAは、金融に関するあらゆる相談が行える点が高く評価されている。
IFAは金融商品を販売するだけでなく、相続・贈与対策や不動産仲介、事業承継の支援など幅広い業務を手掛けている。そのため、顧客はお金に関する相談がワンストップで済む利便性があるのだ。
また、IFAは特定の金融機関に所属しないため、中立の立場でアドバイスを行ってくれる点もポジティブな評価につながっている。
・転勤がないため担当者がコロコロ変わる心配がない
IFAは会社都合による転勤がないため、担当者がコロコロと変わる心配がない。金融機関の営業担当者は3~4年周期で転勤があるため、長く信頼関係を構築できない点に不満を抱えている顧客は多い。
その点、IFAは生涯にわたって顧客を担当できるため、長期にわたってライフプランをサポートしてもらえる安心感があるのだ。
・金融のプロから直接アドバイスを受けられる
IFAは金融機関出身者が多く、さまざまな経験を積んだ金融のプロである。顧客は豊富な経験のもとアドバイスを受けられる点に大きなメリットを感じている。
近年ではネット証券の利用も一般化しているが、「自分にとって最適の商品が分からない」と悩みを抱えている人も多い。そのような際に、金融のプロであるIFAから直接アドバイスが受けられる点がIFAのポジティブな評価につながっているのである。
また、IFAは長期にわたった付き合いとなるため、顧客のライフプランや投資意向に合った商品を提案してくれる点も魅力のひとつとなっている。
一方、IFAに対するデメリットの意見も見られる。
・ネット証券から、IFAコースに変更した場合に取引手数料が高くなる
そのひとつが取引手数料に対する評価である。
IFAを通じて金融商品を購入した場合、ネット証券で直接購入する際よりも手数料が割高になることがある。ネット証券では多くの商品がノーロードとなっているため、IFAを通じた場合の取引手数料を「割高だ」と感じる顧客もいるようである。
・相性の良いIFAを探すのが難しい
顧客にとって、相性の良いIFAを探すのは簡単なことではない。IFAは生涯付き合っていく存在となるため、「心から信頼できる相手かどうか」という点は非常に重要なポイントである。
特に地方在住であれば、IFA法人の数が限られている面もある。日本証券業協会によると、2021年12月末時点のIFA法人の数は628社となっている。まだまだ発展途上のIFA業界の中で、相性の良いIFA探しに苦労している顧客は多いといえる。
IFA業界の今後の展望
年々増加傾向にあるIFAは、証券業界において確実に存在感を増している。今後も個人投資家が増加していく中で、IFAの需要も比例して大きくなっていくのは間違いないだろう。
IFAが証券業界で確固たる地位を築いていくためには、以下の2つのポイントが重要である。
・証券会社からのコミッションに依存しない収益源の確保
IFAが正当に評価されるためには、証券会社からのコミッションに依存しない収益構造が必要となる。
現在IFA法人の収益源は、提携先の証券会社からのコミッションや投資顧問業による相談料、証券会社の預かり資産残高に応じたフィー収入などが挙げられる。しかし、収益のほとんどは証券会社からのコミッションに大きく依存している状況だ。
IFA法人の売上が顧客の金融商品の取引に大きく左右される状況では、真に顧客目線での営業を行っているとは言い難い。顧客の金融商品の取引とIFAの収益がなるべく切り離されることによって、ようやく中立の立場が担保できるといえるのではないだろうか。
・プロのアドバイスに対価を支払う顧客の意識の変化
IFAの収益構造を変革するためには、顧客の意識の変化も欠かせない。証券会社からのコミッションに取って代わる収益源は、顧客からのフィー収入に他ならないためだ。「プロからの専門アドバイスを受けるためには、相応の対価を支払う必要がある」といった意識が醸成されれば、IFAの在り方は大きく変化するだろう。
この2点がクリアされれば、金融先進国の欧米のようにIFAが社会で広く認知されるようになるのは間違いないといえる。
IFAは今後も需要が大きい業界
IFAは、近年個人投資家の増加と共に大きく注目を受けている存在である。今後も国民の金融リテラシーが向上していくにしたがって、IFAの需要も比例して大きくなっていくだろう。
ただし、IFAビジネスが長期的に社会に定着するためには、収益構造の変化や顧客の意識の変化が欠かせない。
おわりに
IFAになる際に、基本的にはどこかの法人に所属する形を取ることになる。
しかし、全国には約650社ものIFA法人があり、情報を取ることや比較することが難しい。
また、
「どのぐらい収益があれば生活が安定するのか?」
「皆どのようなビジネスをしているのか?」
等、IFAになること自体に対する不安の声も多い。
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【出典】
・日本証券業協会「協会員の従業員数等」(2021年12月末)(2022年4月アクセス)